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2025/01/31 20:59 |
ランカ・リーと80年代アイドル
 本日お台場ヴィーナスフォートで、『マクロスF』のランカ・リー役中島愛さんのミニライブが行なわれました。会場の教会広場は教会っぽい作りの広場で、天井に青空を投影した室内会場です。周囲は飲食店が普通に並んでるので、真横のイタリアンレストランでランチをとっていた人は何事かと思ったでしょうね。

 登場して「愛、おぼえていますか」を歌いだした直後、感極まって声を詰まらせてしまった中島さん。実はこのシーン、ちょっと惜しかった! 客席から、フォローして一緒に歌おうとする動きがちょっとあったんですが、盛り上がりきる前に中島さんが立て直して立ち消え。ライブ開始直後、緊張と感激が混ぜこぜになった感じの涙だったので、客席の対応が一瞬遅れた(まだ入り込んでなかった)んですね。これが1番を歌いきったぐらいのタイミングで涙→客席が歌ってフォロー→立ち直りって感じだとかなりの伝説になったと思うんですが、そうそううまくははまらないのがライブは生き物たる所以でしょうか。ですが、あの場所、あの観衆の前で歌うことに喜びと達成感を感じて泣いてくれるってのは、やっぱりファンとしては嬉しいと思います。ちょっとぐっと来ましたもの。

 ライブ全体を俯瞰して感じたのは、ふりつけや歌唱全体から伝わってくる80年代テイストです。「What'bout my star?」などは特に顕著で、シェリルと同じ曲を歌って、これだけアイドルなテイストになるんだなぁと驚きました。で、ちょっと面白かったのが中島さんの趣味。レコード集めだそうで、ふーん、それはまたすいーつというかタワレコな…と思いきや、探すレコードが「80年代アイドル」たそうで、ずーっと80年代のアイドルのレコードばかり聞いているそうです。なるほど、そういうバックボーンがあるから、パフォーマンスにいやみがないんだな、と納得したんです。これは何も、レコードや過去の映像を見ていれば同じことができる、というわけではありません。ただ、「80年代アイドル的キャラクター・パフォーマンスをやらされている」というのは、非常に鼻につくものなんですよ。その点、本人がそのジャンルが好きで聞きこんでいるのであれば、聞き手に違和感なく入ってきやすいんだと思います。

 僕が堀江由衣さん、田村ゆかりさんが未だに特別であることの理由のひとつに、彼女たちが80年代のアイドル文化を肌で感じてきた世代であることが挙げられると考えています。一般の芸能界では許容されなくなった(しかし需要はある)80年代アイドル的なパフォーマンスが、声優・アニメというフィルターを通すことで、脱臭されて許容されていると思うんです。

 今日のライブで、それに近いことが、中島さんにも成立するんじゃないかな? という淡い予感を感じました。アイドル的なパフォーマンスも、“ランカ・リー”というフィルターを通すことで、受け手にもより届きやすく、受け入れやすくなるでしょう。もちろん80年代のニュアンスが入っているだけで、好きなもの→アメプロ、部屋にはストーンコールドのポスター貼ってます、的な変化球が入るのは今のセンスですよね。

 歌唱に関しても、「アイドルとしてかなり巧い」です。単純な歌唱力で言えば、May'nさんや坂本真綾さんに比べれば荒削りです。ですが、それでいいんだと思います。こと、アイドルに“完成された歌唱力”は必要ないというより、時には足枷になります。これから花開いていく未完のアイドル「ランカ・リー」を演じるには、絶妙な匙加減と言えると思います。

 で、May'nさん、中島さんのライブを見終えたあとで、今後の発売予定を見るとこんなのがあるわけです。

8/6 “ライオン”
(マクロスF 新OPテーマ)
歌:May'n/中島愛

>どちらも、攻撃的で激しく
>めちゃくちゃカッコイイ曲ですよ!!!!
>めぐみちゃんとのデュエットRECも楽しかったです♪
>早くみんなに聴いてほしーい♪
(May'nさんブログより)

 ああもう、ゾクゾクするなぁ。マクロスFの一連の仕掛けは、本当に気持ちよく躍らせてくれるので、とても心地よいです。
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2008/06/14 23:02 | Comments(3) | TrackBack() | マクロス
スレイヤーズという時代
 7月から『スレイヤーズREVOLUTION』が始まります。現在30前後の世代にとっては、これはなかなかのビッグニュースです。しかし若い世代からすると、90年代に人気だったライトノベル発のアニメ…と認識はしていても、時代を共有していない世代の人にはなかなかピンと来ないかもしれません。同じ林原めぐみさんがヒロインを務める作品でも、エヴァと比べると認知度はかなり落ちるでしょう。内容も、それほどとんがった作品ではありません。では何が特別だったかといえば、今では“当たり前”になっている扉を幾つも開いた作品だったんです。

 スレイヤーズは、1989年に創設された「ファンタジア長編小説大賞」の第1回準入選作品です(第1回は大賞は出ていません)。ライトノベル界の御三家といっていい「角川スニーカー」「電撃」「富士見ファンタジア」ですが、その中でも最古の小説賞の最初の受賞作品なわけです。その最初のアニメ化は、1995年のことでした。黎明期のライトノベルアニメ化に関しては、角川スニーカー文庫が一歩先んじており、1990年~1991年のOVA『ロードス島戦記』、1993年のOVA『フォーチュンクエスト』、1991年~1995年に劇場版・OVAで展開された『アルスラーン戦記』などの例があります。これらスニーカー文庫3作に、1992年に劇場映画化された富士見ファンタジア文庫の『風の大陸』を加えた4作品を、90年代前半の角川は(ラノベの中では)強く推していた気がします。

 この頃の従来のラノベは、今よりもずっと固く、いい言い方ではないかもしれませんが、“本格的な”小説でした(『魔獣戦士ルナ・ヴァルガー』のような大問題作もありましたが)。そして見れば分かる通り、90年代前半のラノベのアニメ化は、OVAや劇場版ばかりです。『機動警察パトレイバー』などで確立された、「コンテンツの映像そのものをビデオパッケージにし、マニア層に販売する」というフォーマット上でのビジネスです。ラノベ発の作品は、あくまでもマニア向けのニッチな作品でした。

 そうした環境を激変させたのが、『スレイヤーズ』だったのです。“ラノベらしい正統派ラノベ作品。主人公は美少女だが、女子も楽しめる明るく楽しい作風”という、それまでにありそうでなかった作品性が大受け。弱小のテレビ東京が、金曜の18時30分からの時間帯で視聴率10%近くをコンスタントに叩き出すのは、まさに脅威でした。このヒットを受け、前述のOVA・劇場版化されていた作品が、97年~98年頃に、次々とTVアニメにリメイクされ、スマッシュヒットを続けました。『スレイヤーズ』の最大の功績…それは、「ラノベのアニメ化作品は、地上波でもビジネスになる」ことを広く知らしめたことなのです。当時、人気アニメの企画が小説に落とし込まれることはあっても、ヒットしたラノベがアニメに…なんてルートはありませんでした。今ではギャルゲ、エロゲにいたるまでが供給源になっていますが、ラノベにTVアニメ化の道を開いたのは、『スレイヤーズ』といっても過言ではありません。あのヒットが無ければ、ハルヒもわっちもふもっふもかのこんもバッカーノも図書館戦争もなーんにもなかったかもしれない…そう思うと、ちょっと特別な作品に思えてきます。もちろん、道を開くだけでなく、『スレイヤーズ』は快進撃を続けます。

スレイヤーズ(1995年4月~9月・TVアニメ)
劇場版スレイヤーズ(1995年夏・劇場版)
スレイヤーズEX.(1995年10月~4月・ラジオドラマ)
スレイヤーズNEXT(1996年4月~9月・TVアニメ)
スレイヤーズRETURN(1996年夏・劇場版)
スレイヤーズN・EX.(1996年10月~4月・ラジオドラマ
スレイヤーズすぺしゃる(1996年7月~1997年5月・OVA)
スレイヤーズTRY(1997年4月~9月・TVアニメ)
スレイヤーズぐれえと(1997年夏・劇場版)
スレイヤーズごぅじゃす(1998年夏・劇場版)
スレイヤーズえくせれんと(1998年10月~1999年3月・OVA)
スレイヤーズぷれみあむ(2001年冬・劇場版)

これだけ制作されたんですから、笑いが止まらないぐらい儲かったのは間違いないでしょう。また、最近のファンの人には林原さんといえば、「綾波の人でしょ」ですんでしまうと思うのですが、当時の林原人気は異常でした。アニメージュのアニメグランプリで声優部門を1989年から2001年まで連覇、アルバム「iravati」売り上げが27万枚とされてますが、最終的には40万枚を超えた、なんて話もあります。上記のスレイヤーズ系の作品でもほとんどで主題歌を担当し、これまた売れまくってるわけです。そうした時代を担った声優にとってのあの頃の「代表作」は何かと考えると、僕はエヴァよりもスレイヤーズなんじゃないかな、と思います。

そういう作品が、10年ぶりに帰ってくるのです。
懐かしさ半分、今の自分の目にどう映るかの興味半分だとは思いますが。
おっさんたちのテンションが上がりがちな理由、おわかり頂けたでしょうか。

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あ、そうそう。
今月のアニメージュのネットにまつわるコラムコーナーで、「銀河の歌姫が現実になった日。」というテキストを書きました。機会があれば、ぜひ。

2008/06/11 05:53 | Comments(30) | TrackBack() | 雑記(アニメ系)
声優・役者のカメラ適応能力
 『ハヤテのごとく』の今週号掲載分で、「不意にカメラを向けられた時にも、ばっちりポーズまで決めてしまうマリア」というネタがありました。これを見て、「あー、あるある」と思ったので、アニメ・声優業界のカメラ適応能力についてちょっと書いてみようと思います。

 この、「向けられたカメラに反応する能力・感覚」というのは、当たり前の話ですが、視線やカメラを向けられることに慣れていないと磨かれません。僕はライターですが、一緒に写真を撮ってくるように頼まれることも多いです。ファインダー越しに見ていて感じるのは、こういう「視線」や「カメラ」に鋭敏なのは、舞台経験が豊富な人に多い特徴な気がします。会見中にカメラを何気なく向けて、バッチリこちらに視線が向いているな……と感じる人でまず思い浮かぶのが、横山智佐さん、富沢美智恵さんのサクラ大戦コンビ。なんとなく、横山さんは「見られ、撮られ続けた経験値」、富沢さんは「たゆまぬ訓練の結果」て雰囲気を感じるのですが、いずれにしても10年以上キャラクターとして舞台を踏んできた人たちならではでしょう。同じような感覚を、『ミュージカルギャラクシーエンジェル』蘭花役などネルケ舞台でおなじみ、小出由華さんからも感じた覚えがあります。

 一方、それとは別のベクトルで、写真写りに隙のない人種がいます。キャラクター作りがしっかりしているアイドルタイプの人がそれで、その完成形がゆうこりんこと小倉優子さんです。とにかく、報道陣の前に出ている間は、常に完璧に「ゆうこりん」なんです。高度に計算された立ち居振る舞いと修練を重ねたキャラクターが条件反射レベルで染み付いてるので、どの角度、どのタイミングで撮影しても金太郎飴のようにゆうこりん。あれにはもはや感服するしかないというか、どのタイミング、どのカメラで抜かれても一定のクオリティを求められる映像メディアの人ならではなんでしょうね。

 そういうタイプの人は、声優業界にはいないのでしょうか。実は一人だけ、「カメラ大好き、向けられたカメラに反応する超反射」と「どのタイミングで撮っても安定したクオリティ」の両属性を併せ持ったキラキラモンスターがいます。それが、「ファンの前でスポットライトを浴びた堀江由衣さん」です。浅野さんの「ほっちゃんは普段はゆりえほいちゃん」というのはすごく本質を突いた言葉だと思うんですが、囲み取材などで大勢の取材陣を前にした堀江さんは、どちらかといえば控えめな普通の(超かわいい)女性です。ところが、一度ファンの歓声とスポットライトを浴びると、「バチン!」とスイッチが入るんです。無敵モードに入った堀江さんは、どの角度で撮っても外れがありませんし、種われモードのキラ君のように的確にカメラに視線を飛ばしてくれます。いわゆる半目状態もほとんどなく、おそらくステージ中は瞬きの回数自体減ってるんじゃないかと思います。ステージ上の堀江さんを見ていると、この人はアイドルになるために生まれてきたんだな、とつくづく思うのです。

 一方、役者肌の人の中には、「楽しくもないのに笑えるか」という人も、当然います。僕自身、男女で一人づつ、「一度でいいからこの人の自然な笑顔を撮ってみたい」という人がいるのですが、こちらの名前は伏せておくことにします。プロのカメラマンの人って、撮影のスキルだけでなく、被写体をほぐすのもうまいんですよね。ひきこもりの僕は、ああいうのはかなり憧れます。

2008/05/30 18:31 | Comments(0) | TrackBack() | 雑記(アニメ系)

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