『To Heart2 Another Days(以下、AD)』をやってるのですが、(´・ω・`)? みたいな感じになってきました。キャラクターは変わらずに魅力的なのに、なんでこんなに居心地が悪いんだろう、というのを考えてみました。
●確定した別々の平行世界をひとつにぶちまけた弊害
ギャルゲというものは、魅力的な女子を中心とした心地よい友人関係を構築して、どうやらみんな俺のことが好きらしい、でも鈍感な俺は気づかずその中からフラグ構築した子ときゃっきゃうふふするぜ、という構造が基本なわけです。複数プレイで別々の人生を歩むことで、それぞれのプレイの時間の流れの中では、主人公は対象のヒロイン一筋で誠実なわけです。「潜在的にハーレムであっても、各ルートでの本命は基本一人(一組)」「その対象はプレイヤーの主体的な選択によって決定される」事が肝なんですね。だから前作で、強制的にルートに介入してくる黄色ちゃんは評判がいまいちなのだと思います。
ところが、ADのベースになっているのは、貴明が「誰も選ばなかった未来」です。しかし、各ヒロインは、貴明が選ばなければ、解決されなかったはずの諸問題を乗り越えているように見えます。そして、にも関わらず、主人公と結ばれる、主人公との恋愛の過程というものだけがきれいに消失しているのです。“一旦結末を迎えた物語を、リセットせずにやり直す”という難題が生み出したゆがみですね。
この、世界をひとつにぶちまけたゆがみは、他の部分も侵食しています。初期のギャルゲーとは違い、最近の作品に求められる要素として、「心地よい日常・友人関係」というものがあります。男の友人はみんないい奴で、魅力的な女の子はみんな俺に好意を持ってるが、鈍感な俺は気づかない。文化祭・体育祭・生徒会などで思わぬ重責を背負わされるが、みんなの協力で成し遂げることで一目置かれちゃう俺。そんな具合に、恋愛だけに留まらない、トータルな理想的青春時代を追体験するのが昨今のギャルゲーの王道なわけです。
ところが、ADの世界では、貴明くんが世界のモテキングであることを、自他共に認めてしまっています。その上でみんなにいい顔をして、しかも誰とも付き合わないというスタンス。こんな奴、嫌われますよ。作中ではことあるごとにクラスメイトにそれをいじられる程度ですが。こうした「心地よい世界の破綻」はあちこちに見られて、幼馴染を起こしに行ったら若くて綺麗なお母さんが出迎えてくれて、という理想的なお隣さんだった柚原家で、プレイヤーがなんの関与も心の準備もしていないタイミングで、唐突に主人公が春夏さんを異性として強烈に意識し始めても、困惑するしかないのです。僕はお隣で春夏さんの作るご飯をうめぇうめぇと食べて、春夏さんはそれをにこにこしながら見ていてくれればそれで満足なんです。
序盤で出てくるキャラクター、出てくるキャラクターが主人公にボディコンタクトをしてくるのも、サービスを意図しているのでしょうが逆効果な気がします。ADのヒロインたちは本編の脇キャラクターですから、主人公に対して好意を持っていても、決して一線を越えることはありませんでした。そのキャラクターたちが一斉に性的な方向からアプローチしてくるってのは、正直嬉しいよりもなんか引いてしまいます。タマ姉やこのみ、いいんちょ、雄二との快適なモラトリアムの世界にとって、がんがん踏み込んでくる彼女たちは世界の均衡を崩す異物なのです。あげく、貴明自身の台詞で、タマ姉、このみ、雄二との世界を閉塞した状態として否定するコメントまで出て来るのですから、違和感はやはりぬぐえません。
前作での草壁さんルートは、他との整合性を崩さず独自ルートへと進んでいました。もっとうまいやり方はなかったのかな……という気がしますね。少なくとも、共通ルートは顔合わせに留めて、各ルート分岐後の接触を個別に充実させる形なら、違和感ははるかに少なかったはずです。フルコンプしたら印象が変わることを願ってますが、「TH2」本編の時間を過ごしたあとの貴明が、ヒロインたちを選ばず、他の子に行く時点で違和感は残るでしょうね。うーん、僕はToHeart1では「綾香、セリオ、シンディ宮内がいい」と初期から口走っていた、自他共に認める脇キャラ好きなんですが、それでもこう感じるんですね。そういえば『ときめきメモリアル』でも、伊集院家の設定の不整合なんか問題になりました。完結した作品の続編というのは、いつだって難しいものです。
おまけ あとイルファさんのメモリは壊れてしまったんでしょうか。ライター違うのかな。
●確定した別々の平行世界をひとつにぶちまけた弊害
ギャルゲというものは、魅力的な女子を中心とした心地よい友人関係を構築して、どうやらみんな俺のことが好きらしい、でも鈍感な俺は気づかずその中からフラグ構築した子ときゃっきゃうふふするぜ、という構造が基本なわけです。複数プレイで別々の人生を歩むことで、それぞれのプレイの時間の流れの中では、主人公は対象のヒロイン一筋で誠実なわけです。「潜在的にハーレムであっても、各ルートでの本命は基本一人(一組)」「その対象はプレイヤーの主体的な選択によって決定される」事が肝なんですね。だから前作で、強制的にルートに介入してくる黄色ちゃんは評判がいまいちなのだと思います。
ところが、ADのベースになっているのは、貴明が「誰も選ばなかった未来」です。しかし、各ヒロインは、貴明が選ばなければ、解決されなかったはずの諸問題を乗り越えているように見えます。そして、にも関わらず、主人公と結ばれる、主人公との恋愛の過程というものだけがきれいに消失しているのです。“一旦結末を迎えた物語を、リセットせずにやり直す”という難題が生み出したゆがみですね。
この、世界をひとつにぶちまけたゆがみは、他の部分も侵食しています。初期のギャルゲーとは違い、最近の作品に求められる要素として、「心地よい日常・友人関係」というものがあります。男の友人はみんないい奴で、魅力的な女の子はみんな俺に好意を持ってるが、鈍感な俺は気づかない。文化祭・体育祭・生徒会などで思わぬ重責を背負わされるが、みんなの協力で成し遂げることで一目置かれちゃう俺。そんな具合に、恋愛だけに留まらない、トータルな理想的青春時代を追体験するのが昨今のギャルゲーの王道なわけです。
ところが、ADの世界では、貴明くんが世界のモテキングであることを、自他共に認めてしまっています。その上でみんなにいい顔をして、しかも誰とも付き合わないというスタンス。こんな奴、嫌われますよ。作中ではことあるごとにクラスメイトにそれをいじられる程度ですが。こうした「心地よい世界の破綻」はあちこちに見られて、幼馴染を起こしに行ったら若くて綺麗なお母さんが出迎えてくれて、という理想的なお隣さんだった柚原家で、プレイヤーがなんの関与も心の準備もしていないタイミングで、唐突に主人公が春夏さんを異性として強烈に意識し始めても、困惑するしかないのです。僕はお隣で春夏さんの作るご飯をうめぇうめぇと食べて、春夏さんはそれをにこにこしながら見ていてくれればそれで満足なんです。
序盤で出てくるキャラクター、出てくるキャラクターが主人公にボディコンタクトをしてくるのも、サービスを意図しているのでしょうが逆効果な気がします。ADのヒロインたちは本編の脇キャラクターですから、主人公に対して好意を持っていても、決して一線を越えることはありませんでした。そのキャラクターたちが一斉に性的な方向からアプローチしてくるってのは、正直嬉しいよりもなんか引いてしまいます。タマ姉やこのみ、いいんちょ、雄二との快適なモラトリアムの世界にとって、がんがん踏み込んでくる彼女たちは世界の均衡を崩す異物なのです。あげく、貴明自身の台詞で、タマ姉、このみ、雄二との世界を閉塞した状態として否定するコメントまで出て来るのですから、違和感はやはりぬぐえません。
前作での草壁さんルートは、他との整合性を崩さず独自ルートへと進んでいました。もっとうまいやり方はなかったのかな……という気がしますね。少なくとも、共通ルートは顔合わせに留めて、各ルート分岐後の接触を個別に充実させる形なら、違和感ははるかに少なかったはずです。フルコンプしたら印象が変わることを願ってますが、「TH2」本編の時間を過ごしたあとの貴明が、ヒロインたちを選ばず、他の子に行く時点で違和感は残るでしょうね。うーん、僕はToHeart1では「綾香、セリオ、シンディ宮内がいい」と初期から口走っていた、自他共に認める脇キャラ好きなんですが、それでもこう感じるんですね。そういえば『ときめきメモリアル』でも、伊集院家の設定の不整合なんか問題になりました。完結した作品の続編というのは、いつだって難しいものです。
おまけ あとイルファさんのメモリは壊れてしまったんでしょうか。ライター違うのかな。
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第2回「声優アワード」の発表・授賞式が、3月8日(土)に迫ってきました。声優アワードとは昨年、外画50周年を記念し、声優業界の発展と人材育成の場として設立された“声優界のアカデミー賞”というべき賞です。昨年は、主演女優賞の朴ろ美さん、主演男優賞の福山潤さんをはじめとした人々が各賞を受賞しました。今年は一体どんな内容になるのか気になるところですが、こういう賞は、受賞者確定前にあーだこうだと言ってるのが一番楽しい、ということで、結構ガチで予想をしてみました。余裕があれば各賞について分析したいのですが、とりあえず今日は一番材料が豊富な「主演女優賞」について予想してみたいと思います。まず、現時点でweb上で発表されている中間発表で、ノミネートされている皆さんを列挙してみます。ノミネート者の2007年の代表作っぽいものを併記してますが、これはあくまでも「参考」ですので、ご了承ください。あの人の代表作はこれだろ、と言い始めると止まりませんので……^^;
●第二回「声優アワード」中間発表時のノミネート者一覧
浅野真澄『一騎当千 Dragon Destiny』孫策伯符 『ドージンワーク』長菜なじみ
阿澄佳奈『ひだまりスケッチ』ゆの 『ぼくらの』カナ/宇白可奈
安藤麻吹『精霊の守り人』バルサ
伊藤かな恵『しゅごキャラ!』日奈森亜夢
井上麻里奈『天元突破グレンラガン』ヨーコ 『月面兎兵器ミーナ』月城ミーナ 『さよなら絶望先生』木津千里 『みなみけ』南夏奈
植田佳奈『魔人探偵脳噛ネウロ』桂木弥子 『鋼鉄神ジーグ』珠城つばき
緒方恵美『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』碇シンジ
折笠富美子『電脳コイル』ヤサコ
加藤英美里『らき☆すた』柊かがみ
川上とも子『風の少女エミリー』エミリー・バード・スター
川澄綾子『のだめカンタービレ』野田恵 『怪物王女』姫 『スカイガールズ』桜野音羽 『もっけ』檜原静流
神田朱未『CLANNAD -クラナド-』藤林椋
釘宮理恵『灼眼のシャナII』シャナ 『ゼロの使い魔 ~双月の騎士~』ルイズ 『ハヤテのごとく!』三千院ナギ
桑島法子『CLAYMORE』クレア 『CLANNAD -クラナド-』坂上智代
小清水亜美『キミキス pure rouge』星乃結美 『Myself ; Yourself』八代菜々香
小林沙苗『地球へ…』フィシス 『BACCANO! -バッカーノ-』エニス
小林ゆう『Saint October』聖三咲 『爆丸バトルブローラーズ』空操弾馬
斎賀みつき『地球へ…』ジョミー 『げんしけん2』高坂真琴
榊原ゆい『PRISM ARK』プリーシア
坂本真綾『劇場版 空の境界』両儀式
三瓶由布子『Yes! プリキュア5』夢原のぞみ
白石涼子『ハヤテのごとく!』綾崎ハヤテ
高木礼子『金色のコルダ』日野 香穂子
高山みなみ『ゲゲゲの鬼太郎第五期』鬼太郎 『名探偵コナン』江戸川コナン
竹内順子『NARUTO -ナルト- 疾風伝』うずまきナルト 『Yes! プリキュア5』夏木りん
田中理恵『キミキス pure rouge』二見瑛理子 『ハヤテのごとく!』マリア
田村ゆかり『魔法少女リリカルなのはStrikerS』高町なのは 『もえたん』虹原いんく 『ひぐらしのなく頃に解』古手梨花
茅原実里『Venus Versus Virus』鷹花スミレ 『ドラゴノーツ -ザ・レゾナンス-』トア 『みなみけ』南千秋
豊口めぐみ『バンブーブレード』千葉紀梨乃
中原麻衣『CLANNAD -クラナド-』古河渚 『ひぐらしのなく頃に解』竜宮レナ 『かみちゃまかりん』花園花鈴
能登麻美子『sola』四方茉莉 『キミキス pure rouge』祇条深月
朴ろ(王路)美『CLAYMORE』テレサ 『しおんの王』斉藤歩
花澤香菜『スケッチブック ~full color's~』梶原空 『ぽてまよ』ぽてまよ 『ムシウタ』杏本詩歌
林原めぐみ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』綾波レイ 『名探偵コナン』灰原哀 『ハローキティ』キティ
平野綾『らき☆すた』泉こなた 『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』衛藤芽生
広橋涼『キミキス pure rouge』咲野明日夏 『バンブーブレード』川添珠姫
堀江由衣『ながされて藍蘭島』すず 『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』天宮学美 『D.C.II ~ダ・カーポII~』朝倉由夢
水樹奈々『魔法少女リリカルなのはStrikerS』フェイト 『AYAKASHI』夜明エイム
水沢史絵『ロミオ×ジュリエット』ジュリエット
水田わさび『ドラえもん』ドラえもん
皆川純子『ぼくらの』ウシロ
桃井はるこ『瀬戸の花嫁』瀬戸燦
雪野五月『げんしけん2』春日部咲 『ひぐらしのなく頃に解』園崎魅音、園崎詩音
多いですね……リスト作ってるだけでも疲れました。全員について語っているとキリがないので、ひとまず、“年度を代表するとまではいえない作品に主演”、“どう見てもヒロインよりも名バイプレイヤー”といった方々を除外し、「中里独断と偏見予選」を通過した人のみに絞り込みたいと思います。
●第一次中里勝手に予選通過者
阿澄佳奈『ひだまりスケッチ』ゆの 『ぼくらの』カナ/宇白可奈
井上麻里奈『天元突破グレンラガン』ヨーコ 『月面兎兵器ミーナ』月城ミーナ 『さよなら絶望先生』木津千里 『みなみけ』南夏奈
緒方恵美『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』碇シンジ
川澄綾子『のだめカンタービレ』野田恵 『怪物王女』姫 『スカイガールズ』桜野音羽 『もっけ』檜原静流
釘宮理恵『灼眼のシャナII』シャナ 『ゼロの使い魔 ~双月の騎士~』ルイズ 『ハヤテのごとく!』三千院ナギ
白石涼子『ハヤテのごとく!』
高山みなみ『ゲゲゲの鬼太郎第五期』鬼太郎 『名探偵コナン』江戸川コナン
竹内順子『NARUTO -ナルト- 疾風伝』うずまきナルト 『Yes! プリキュア5』夏木りん
田村ゆかり『魔法少女リリカルなのはStrikerS』高町なのは 『もえたん』虹原いんく 『ひぐらしのなく頃に解』古手梨花
中原麻衣『CLANNAD -クラナド-』古河渚 『ひぐらしのなく頃に解』竜宮レナ 『かみちゃまかりん』花園花鈴
花澤香菜『スケッチブック ~full color's~』梶原空 『ぽてまよ』ぽてまよ 『ムシウタ』杏本詩歌
林原めぐみ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』綾波レイ 『名探偵コナン』灰原哀 『ハローキティ』キティ
平野綾『らき☆すた』泉こなた 『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』衛藤芽生
堀江由衣『ながされて藍蘭島』すず 『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』天宮学美 『D.C.II ~ダ・カーポII~』朝倉由夢
水田わさび『ドラえもん』ドラえもん
これで15人です。ここから具体的に絞込みに入っていきます。まず、キャリアが非常に浅い、若手・新人の人を除外します。この人たちは今後の伸びしろが大きく、現時点で主演女優賞という天井を設ける可能性が低いからです。昨年の平野綾さんでさえ新人賞であったことを考えれば、流石にないでしょう。というわけで、2005年デビューの阿澄佳奈さん、活動本格化が2006年以降の花澤香菜さんは予想から外します。井上麻里奈さんに関しては、出演量・話題性が別格なので一旦キープです。次に、『ハヤテ』は長期にわたって話題をキープしたものの、相対的に見て番組代表は釘宮さんになるだろうということで、白石さんも予想からははずします。でもって、いわゆる「年度年度の賞レース」からは浮き上がった存在である、「ドラえもん」も除外していいでしょう。それから、竹内順子さんの『NARUTO』は長期作品であり、このタイミングで2007年の顔とするのにはちょっと無理があるので除外。結果、「中里的には」次の10人を主演女優候補として検討します。
○井上麻里奈さん
○緒方恵美さん
○川澄綾子さん
○釘宮理恵さん
○高山みなみさん
○田村ゆかりさん
○中原麻衣さん
○林原めぐみさん
○平野綾さん
○堀江由衣さん
流石に早々たるメンバーとなってきました。ここからの絞込みが難しいのですが、まず、井上麻里奈さんを予想からはずします。理由はやはり前述のもので、僕が審査員なら、まず間違いなく新人賞レースの大本命に推すからです。その理由で行けば、昨年新人賞をとった平野綾さんには、主演女優賞へのステップチャンスがあります。しかし、ここでネックになるのが昨年との相対評価です。2007年の平野さんの目玉である『らき☆すた』は確かにビッグタイトルですが、2006年の新人賞の原動力になった『涼宮ハルヒの憂鬱』を大きく上回る評価・存在であるかといえば微妙です。なんせ、昨年は別口の「東京国際アニメフェア」は「ハルヒ」を大きく評価して、平野さんに声優賞を贈ってるぐらいですからね。新人賞の昨年を大きく上回っていない以上、皮肉にも「去年の自分が一番の敵」という形で、予想からは外します。次に、ベテラン3トップである林原さん、緒方さん、高山さんに関してですが、「2007年の旬」という意味では、コナンが長寿番組である以上、高山さんはちょっと分が悪い。やはり、「エヴァ」というタイトルにはそれだけ別格の突破力があるのです。10年前の作品の再編集・リメイク版である「エヴァ」をどう賞として評価するかはあとで検討するとして、ひとまず「エヴァ」代表を決めましょう。林原さん、緒方さんの二択で言えば、“今回なら”緒方さんだと思います。理由としては、林原さんは「スレイヤーズ」新作の話が原作者・神坂一さんから出ていること。新エヴァの劇場版も続きが控えてますから、2008年は、本格的に林原イヤー再びな可能性があるわけです。そう考えると、おそらく2007年・2008年を通した代表作がエヴァになるであろう緒方さんは、紛れもない主演ですし、座りがいいと思うのです。あと、林原さんは受賞の打診が来ても水面下で辞退しそうな気がしなくもないです。立場的に。というわけで……
●中里勝手に選考最終ノミネート者
○緒方恵美さん
○川澄綾子さん
○釘宮理恵さん
○田村ゆかりさん
○中原麻衣さん
○堀江由衣さん
の6人に絞ってみました。ここからは、加点方式でそれぞれの視点での優位性を検討して、最後に総合的に予想を出そうと思います。
■視点1 作品としての世間に対する突破力
実はこれが一番大きいかもと思っているのですが。声優アワードは、今回が2回目の賞。業界全体として、「声優界のアカデミー賞」のような存在にしていきたいと考えているのは間違いないでしょう。そのためには、一般メディアの報道ができればほしいはず。昨年の主演女優賞である朴さんは、「NANA」という申し分ない弾を持っており、一般ニュースなどでも、「NANA」などの……という報じられ方をしていました。この分野では圧倒的に強いのが……
川澄綾子さんの『のだめカンタービレ』と、緒方恵美さんの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』だと思います。
■視点2 所属事務所
これは生っぽい話になりますが、「声優アワード」の協力団体に「日本声優事業社協議会」が入ってる以上、日声事所属の事務所から受賞者が出る可能性はより高いでしょう。日声事は非常に業界内の参加率が高い組織ですから、この影響を政治だコネだ、と言い始めたら、完全一般投票型以外のコンテストはできなくなります。ここでリストを見てみると、緒方恵美さん(JTBエンタテインメント)、川澄綾子さん(大沢事務所)、釘宮理恵さん(アイムエンタープライズ)、田村ゆかりさん(アイムエンタープライズ)、中原麻衣さん(アイムエンタープライズ)、堀江由衣さん(VIMS)……という具合になっています。非加盟なのはJTBエンタテインメントですね。アイムさん、VIMSさんの現状の扱いがちょっとわかりかねるのですが、一番すんなりとまとまるのは大沢事務所さんだと思います。
というわけで、この視点では川澄さんをプッシュ。
■視点3 『ヱヴァンゲリヲン』をどう見るか
昨年、「ヱヴァ」が大きな話題となった作品であることは間違いありません。しかし、この作品の扱いが難しい。なんせ、基は10年前の作品の上、まだ「序章」しか公開されていないのです。果たして、この作品を2007年度の作品の賞レースで考慮していいものか? これに関しては、現時点では、「棚上げ」が結論でないかな、と思います。来年度にさらなるブレイクをする可能性があり、逆に、本当に庵野監督が、今度こそまとめきって完結させてくれるかに、懐疑心をぬぐえない人は多いと思うのです。それらを総合すると……
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』は、第二回もしくは第三回の「シナジー賞」あたりを受賞し、個人賞レースではある程度評価を減じて考慮される、と考えます。
■視点4 一般投票
受賞者決定に当然大きく関与するであろう一般投票。第一回で主演女性賞を受賞した朴さんの勝因の一つは、“女性票の吸収”だと思います。女性声優を応援しているのは当然男性が多いですが、男性票は割れます。一方、女性ファンが「男性声優を応援する視点で」応援する女性声優は限られるため、大きな得票力を持つのではないか、と僕は考えます。女性ファンの息の長い組織票は本当にあなどれません。その観点から行くと、強いのは緒方恵美さんだと思います。
残りの5人の比較で言えば、今回はネット投票にかなりのウェイトが置かれていますから、釘宮さんはかなりの強みを発揮すると思います。それから、固定ファンの支持母体の大きさという意味では、堀江さん・田村さんは当然圧倒的です。…といってもこのクラスになると、川澄さん、中原さんも当然上位には安定して食い込んでるでしょう。
というわけで長くなってきましたが、諸々を総合しての僕の声優アワード・主演女優部門予想は……
本命:川澄綾子さん
対抗:緒方恵美さん
有力:釘宮理恵さん
で行きたいと思います。
ただ、2007年の声優界を見渡して、堀江さんも田村さんもいない声優賞というのはやはりいびつなので、他の賞でバランスがとられると思うんですが、これはいずれ改めてってことで。
よければ皆さんの予想も聞かせてください。
●第二回「声優アワード」中間発表時のノミネート者一覧
浅野真澄『一騎当千 Dragon Destiny』孫策伯符 『ドージンワーク』長菜なじみ
阿澄佳奈『ひだまりスケッチ』ゆの 『ぼくらの』カナ/宇白可奈
安藤麻吹『精霊の守り人』バルサ
伊藤かな恵『しゅごキャラ!』日奈森亜夢
井上麻里奈『天元突破グレンラガン』ヨーコ 『月面兎兵器ミーナ』月城ミーナ 『さよなら絶望先生』木津千里 『みなみけ』南夏奈
植田佳奈『魔人探偵脳噛ネウロ』桂木弥子 『鋼鉄神ジーグ』珠城つばき
緒方恵美『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』碇シンジ
折笠富美子『電脳コイル』ヤサコ
加藤英美里『らき☆すた』柊かがみ
川上とも子『風の少女エミリー』エミリー・バード・スター
川澄綾子『のだめカンタービレ』野田恵 『怪物王女』姫 『スカイガールズ』桜野音羽 『もっけ』檜原静流
神田朱未『CLANNAD -クラナド-』藤林椋
釘宮理恵『灼眼のシャナII』シャナ 『ゼロの使い魔 ~双月の騎士~』ルイズ 『ハヤテのごとく!』三千院ナギ
桑島法子『CLAYMORE』クレア 『CLANNAD -クラナド-』坂上智代
小清水亜美『キミキス pure rouge』星乃結美 『Myself ; Yourself』八代菜々香
小林沙苗『地球へ…』フィシス 『BACCANO! -バッカーノ-』エニス
小林ゆう『Saint October』聖三咲 『爆丸バトルブローラーズ』空操弾馬
斎賀みつき『地球へ…』ジョミー 『げんしけん2』高坂真琴
榊原ゆい『PRISM ARK』プリーシア
坂本真綾『劇場版 空の境界』両儀式
三瓶由布子『Yes! プリキュア5』夢原のぞみ
白石涼子『ハヤテのごとく!』綾崎ハヤテ
高木礼子『金色のコルダ』日野 香穂子
高山みなみ『ゲゲゲの鬼太郎第五期』鬼太郎 『名探偵コナン』江戸川コナン
竹内順子『NARUTO -ナルト- 疾風伝』うずまきナルト 『Yes! プリキュア5』夏木りん
田中理恵『キミキス pure rouge』二見瑛理子 『ハヤテのごとく!』マリア
田村ゆかり『魔法少女リリカルなのはStrikerS』高町なのは 『もえたん』虹原いんく 『ひぐらしのなく頃に解』古手梨花
茅原実里『Venus Versus Virus』鷹花スミレ 『ドラゴノーツ -ザ・レゾナンス-』トア 『みなみけ』南千秋
豊口めぐみ『バンブーブレード』千葉紀梨乃
中原麻衣『CLANNAD -クラナド-』古河渚 『ひぐらしのなく頃に解』竜宮レナ 『かみちゃまかりん』花園花鈴
能登麻美子『sola』四方茉莉 『キミキス pure rouge』祇条深月
朴ろ(王路)美『CLAYMORE』テレサ 『しおんの王』斉藤歩
花澤香菜『スケッチブック ~full color's~』梶原空 『ぽてまよ』ぽてまよ 『ムシウタ』杏本詩歌
林原めぐみ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』綾波レイ 『名探偵コナン』灰原哀 『ハローキティ』キティ
平野綾『らき☆すた』泉こなた 『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』衛藤芽生
広橋涼『キミキス pure rouge』咲野明日夏 『バンブーブレード』川添珠姫
堀江由衣『ながされて藍蘭島』すず 『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』天宮学美 『D.C.II ~ダ・カーポII~』朝倉由夢
水樹奈々『魔法少女リリカルなのはStrikerS』フェイト 『AYAKASHI』夜明エイム
水沢史絵『ロミオ×ジュリエット』ジュリエット
水田わさび『ドラえもん』ドラえもん
皆川純子『ぼくらの』ウシロ
桃井はるこ『瀬戸の花嫁』瀬戸燦
雪野五月『げんしけん2』春日部咲 『ひぐらしのなく頃に解』園崎魅音、園崎詩音
多いですね……リスト作ってるだけでも疲れました。全員について語っているとキリがないので、ひとまず、“年度を代表するとまではいえない作品に主演”、“どう見てもヒロインよりも名バイプレイヤー”といった方々を除外し、「中里独断と偏見予選」を通過した人のみに絞り込みたいと思います。
●第一次中里勝手に予選通過者
阿澄佳奈『ひだまりスケッチ』ゆの 『ぼくらの』カナ/宇白可奈
井上麻里奈『天元突破グレンラガン』ヨーコ 『月面兎兵器ミーナ』月城ミーナ 『さよなら絶望先生』木津千里 『みなみけ』南夏奈
緒方恵美『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』碇シンジ
川澄綾子『のだめカンタービレ』野田恵 『怪物王女』姫 『スカイガールズ』桜野音羽 『もっけ』檜原静流
釘宮理恵『灼眼のシャナII』シャナ 『ゼロの使い魔 ~双月の騎士~』ルイズ 『ハヤテのごとく!』三千院ナギ
白石涼子『ハヤテのごとく!』
高山みなみ『ゲゲゲの鬼太郎第五期』鬼太郎 『名探偵コナン』江戸川コナン
竹内順子『NARUTO -ナルト- 疾風伝』うずまきナルト 『Yes! プリキュア5』夏木りん
田村ゆかり『魔法少女リリカルなのはStrikerS』高町なのは 『もえたん』虹原いんく 『ひぐらしのなく頃に解』古手梨花
中原麻衣『CLANNAD -クラナド-』古河渚 『ひぐらしのなく頃に解』竜宮レナ 『かみちゃまかりん』花園花鈴
花澤香菜『スケッチブック ~full color's~』梶原空 『ぽてまよ』ぽてまよ 『ムシウタ』杏本詩歌
林原めぐみ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』綾波レイ 『名探偵コナン』灰原哀 『ハローキティ』キティ
平野綾『らき☆すた』泉こなた 『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』衛藤芽生
堀江由衣『ながされて藍蘭島』すず 『がくえんゆーとぴあ まなびストレート!』天宮学美 『D.C.II ~ダ・カーポII~』朝倉由夢
水田わさび『ドラえもん』ドラえもん
これで15人です。ここから具体的に絞込みに入っていきます。まず、キャリアが非常に浅い、若手・新人の人を除外します。この人たちは今後の伸びしろが大きく、現時点で主演女優賞という天井を設ける可能性が低いからです。昨年の平野綾さんでさえ新人賞であったことを考えれば、流石にないでしょう。というわけで、2005年デビューの阿澄佳奈さん、活動本格化が2006年以降の花澤香菜さんは予想から外します。井上麻里奈さんに関しては、出演量・話題性が別格なので一旦キープです。次に、『ハヤテ』は長期にわたって話題をキープしたものの、相対的に見て番組代表は釘宮さんになるだろうということで、白石さんも予想からははずします。でもって、いわゆる「年度年度の賞レース」からは浮き上がった存在である、「ドラえもん」も除外していいでしょう。それから、竹内順子さんの『NARUTO』は長期作品であり、このタイミングで2007年の顔とするのにはちょっと無理があるので除外。結果、「中里的には」次の10人を主演女優候補として検討します。
○井上麻里奈さん
○緒方恵美さん
○川澄綾子さん
○釘宮理恵さん
○高山みなみさん
○田村ゆかりさん
○中原麻衣さん
○林原めぐみさん
○平野綾さん
○堀江由衣さん
流石に早々たるメンバーとなってきました。ここからの絞込みが難しいのですが、まず、井上麻里奈さんを予想からはずします。理由はやはり前述のもので、僕が審査員なら、まず間違いなく新人賞レースの大本命に推すからです。その理由で行けば、昨年新人賞をとった平野綾さんには、主演女優賞へのステップチャンスがあります。しかし、ここでネックになるのが昨年との相対評価です。2007年の平野さんの目玉である『らき☆すた』は確かにビッグタイトルですが、2006年の新人賞の原動力になった『涼宮ハルヒの憂鬱』を大きく上回る評価・存在であるかといえば微妙です。なんせ、昨年は別口の「東京国際アニメフェア」は「ハルヒ」を大きく評価して、平野さんに声優賞を贈ってるぐらいですからね。新人賞の昨年を大きく上回っていない以上、皮肉にも「去年の自分が一番の敵」という形で、予想からは外します。次に、ベテラン3トップである林原さん、緒方さん、高山さんに関してですが、「2007年の旬」という意味では、コナンが長寿番組である以上、高山さんはちょっと分が悪い。やはり、「エヴァ」というタイトルにはそれだけ別格の突破力があるのです。10年前の作品の再編集・リメイク版である「エヴァ」をどう賞として評価するかはあとで検討するとして、ひとまず「エヴァ」代表を決めましょう。林原さん、緒方さんの二択で言えば、“今回なら”緒方さんだと思います。理由としては、林原さんは「スレイヤーズ」新作の話が原作者・神坂一さんから出ていること。新エヴァの劇場版も続きが控えてますから、2008年は、本格的に林原イヤー再びな可能性があるわけです。そう考えると、おそらく2007年・2008年を通した代表作がエヴァになるであろう緒方さんは、紛れもない主演ですし、座りがいいと思うのです。あと、林原さんは受賞の打診が来ても水面下で辞退しそうな気がしなくもないです。立場的に。というわけで……
●中里勝手に選考最終ノミネート者
○緒方恵美さん
○川澄綾子さん
○釘宮理恵さん
○田村ゆかりさん
○中原麻衣さん
○堀江由衣さん
の6人に絞ってみました。ここからは、加点方式でそれぞれの視点での優位性を検討して、最後に総合的に予想を出そうと思います。
■視点1 作品としての世間に対する突破力
実はこれが一番大きいかもと思っているのですが。声優アワードは、今回が2回目の賞。業界全体として、「声優界のアカデミー賞」のような存在にしていきたいと考えているのは間違いないでしょう。そのためには、一般メディアの報道ができればほしいはず。昨年の主演女優賞である朴さんは、「NANA」という申し分ない弾を持っており、一般ニュースなどでも、「NANA」などの……という報じられ方をしていました。この分野では圧倒的に強いのが……
川澄綾子さんの『のだめカンタービレ』と、緒方恵美さんの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』だと思います。
■視点2 所属事務所
これは生っぽい話になりますが、「声優アワード」の協力団体に「日本声優事業社協議会」が入ってる以上、日声事所属の事務所から受賞者が出る可能性はより高いでしょう。日声事は非常に業界内の参加率が高い組織ですから、この影響を政治だコネだ、と言い始めたら、完全一般投票型以外のコンテストはできなくなります。ここでリストを見てみると、緒方恵美さん(JTBエンタテインメント)、川澄綾子さん(大沢事務所)、釘宮理恵さん(アイムエンタープライズ)、田村ゆかりさん(アイムエンタープライズ)、中原麻衣さん(アイムエンタープライズ)、堀江由衣さん(VIMS)……という具合になっています。非加盟なのはJTBエンタテインメントですね。アイムさん、VIMSさんの現状の扱いがちょっとわかりかねるのですが、一番すんなりとまとまるのは大沢事務所さんだと思います。
というわけで、この視点では川澄さんをプッシュ。
■視点3 『ヱヴァンゲリヲン』をどう見るか
昨年、「ヱヴァ」が大きな話題となった作品であることは間違いありません。しかし、この作品の扱いが難しい。なんせ、基は10年前の作品の上、まだ「序章」しか公開されていないのです。果たして、この作品を2007年度の作品の賞レースで考慮していいものか? これに関しては、現時点では、「棚上げ」が結論でないかな、と思います。来年度にさらなるブレイクをする可能性があり、逆に、本当に庵野監督が、今度こそまとめきって完結させてくれるかに、懐疑心をぬぐえない人は多いと思うのです。それらを総合すると……
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』は、第二回もしくは第三回の「シナジー賞」あたりを受賞し、個人賞レースではある程度評価を減じて考慮される、と考えます。
■視点4 一般投票
受賞者決定に当然大きく関与するであろう一般投票。第一回で主演女性賞を受賞した朴さんの勝因の一つは、“女性票の吸収”だと思います。女性声優を応援しているのは当然男性が多いですが、男性票は割れます。一方、女性ファンが「男性声優を応援する視点で」応援する女性声優は限られるため、大きな得票力を持つのではないか、と僕は考えます。女性ファンの息の長い組織票は本当にあなどれません。その観点から行くと、強いのは緒方恵美さんだと思います。
残りの5人の比較で言えば、今回はネット投票にかなりのウェイトが置かれていますから、釘宮さんはかなりの強みを発揮すると思います。それから、固定ファンの支持母体の大きさという意味では、堀江さん・田村さんは当然圧倒的です。…といってもこのクラスになると、川澄さん、中原さんも当然上位には安定して食い込んでるでしょう。
というわけで長くなってきましたが、諸々を総合しての僕の声優アワード・主演女優部門予想は……
本命:川澄綾子さん
対抗:緒方恵美さん
有力:釘宮理恵さん
で行きたいと思います。
ただ、2007年の声優界を見渡して、堀江さんも田村さんもいない声優賞というのはやはりいびつなので、他の賞でバランスがとられると思うんですが、これはいずれ改めてってことで。
よければ皆さんの予想も聞かせてください。
「孤独のグルメ」をご存知でしょうか。久住昌之(原作)・谷口ジロー(作画)のコミック作品で、最近復刊されて静かな人気が出ています。ジャンルはグルメ漫画……になるのでしょうか。雑貨輸入商、井之頭五郎が、ふらりと立ち寄った飲食店での出来事をモノローグ主体で淡々と描いた作品です。全体の空気というか、何が面白いかは説明しにくい作品なのですが、「む、豚と豚がかぶってしまった」「ソースの味って男のコだよな」など、無意味に使いたくなるフレーズが口をつくようになったら、あなたも井之頭ワールドの一員です。そんな「孤独のグルメ」に関する話題で、
「豆かんってどんな食べ物?」
ふと、書店員の友人が呟いたのがきっかけでした。豆と寒天で豆かんだというのはもちろんあるのですが、自分の味覚のライブラリーの中に「豆かん」というものがないのです。いかに「孤独のグルメ」のグルメ要素がわりとどうでもいい(グルメ漫画で「コンビニで夕食」とか「病院食」とかテーマにならないでしょう)とはいえ、やはり味がわからないことには内容に共感がしにくい。というわけで、作品に登場する「松むら」のモデルになった浅草「梅むら」に行ってみることにしました。




作中ではすきっ腹で甘味→その後近くの洋食屋「佐久間」に駆け込む、という展開でしたが、僕らはやはりおいしく食べたいってことで逆回しで攻めることに。まずはこちらもモデルとなった洋食「佐久良」をランチで訪問しました。メニューから悩んだ末、「ビーフシチュー」と「ハンバーグ」、「カニクリームコロッケ」をシェアして、+それぞれにんにくライスをオーダーすることに。待つことしばし、最初に運ばれてきたのはビーフシチュー。一見してゴロゴロとビーフが塊で入ってます。高いとこのビーフシチューというとシチューというかこれはソースじゃね? ぐらいの感じが多いイメージですが、ここは濃厚ないわゆる「シチュー」ですね。肉と野菜の旨みがぎゅっと凝縮しつつも、肉がとろっとろでほんとおいしい。後で厚焼きトーストもオーダーしたんですが、ここのメニューは基本的に「ご飯を食べる」ためのものな感じがしました。ハンバーグは一口食べて「肉!」という一品。いわゆる肉汁したたるような、という感じとは違いますが、牛肉の風味がしっかりと詰まって、それでいてぱさつきはせず。半熟の目玉焼きを崩しながら食べるのが楽しいです。カニクリームコロッケは、お店の奥さんから「何もつけないで食べるといいよ」と言われたのが納得なぐらい、ふわぁっとした濃厚さが口の中にあふれます。握りこぶし大の球形のカニクリームコロッケなんて初めて食べた。何もつけなくても十分でしたが、卓上の小瓶のソース(リーアンドペリンみたいな感じでした)をちょびっとつけてもおいしかったです。
会計は2人で6700円。ちょっと値の張るランチですが、値段分は堪能しました。井之頭先生なら、小腹がすけばこれぐらい食べるはずです。はぁ、満足……! しかし、今回のメインはこれではないのです。浅草界隈を散策、カラオケに立ち寄りなどして腹をこなします。浅草寺、仲見世や近辺の刀剣店などをぶらつくのも楽しいですが、なんでもない街中を歩いているのも楽しいです。小料理屋が並ぶ住宅街に、唐突に現れる「ミスターデンジャー(プロレスラー・松永のステーキ屋)」や「アニマル浜口ジム」、駅前にそびえるうんこビルなどが旅情を満たしてくれます。




そして約2時間後。おやつの時間に我らはやってきました。本日のメインイベント、「高級甘味 梅むら」です。高級といっても、来店者のほとんどが注文する「豆かん」は450円と手ごろなお値段です。カウンター数席と小上がりのテーブル2つという地元民以外お断りなムードのカウンターに腰掛けて豆かんを注文。手早く豆の水を切って、寒天を勢いよくもっていきます。仕事が早い。出てきた豆かんはイメージと通りシンプルなもので、大量の豆と、角砂糖のようなサイズの寒天、そしてそこに黒蜜をかけた、それだけのもの。
ひとさじすくう…もむもむ。ふたさじ、みさじ。
同行の書店員と顔を見合わせます……これうまいわ。
僕は小豆をはじめとする豆類が得意ではないんですが、「梅むら」のは上品にしっとりと煮上がったやさしい味で、雑味や癖がまったくありません。寒天も「寒天の風味」がしっかりとあります。そして、それぞれの味わいと食感がまったく別の主張をしていて、口の中がとても楽しい。そしてそのまったく別の要素を、さらっとして、全くべたつかない黒蜜がきゅっとひとつにまとめているのです。見た目以上に豆はたっぷり入っていて、食べ応えも十分。お茶はごく普通のものでしたが、これも相性が最高。名店なめてました。和のすいーつ侮りがたし。唯一残念なのは、「煮込み雑炊」などのメニューはなくなってたんですよね。ああ、もう「ですから、雑煮は冬しかやってないんです」の声は聞けないようです。


僕は本当に肉好きで、都内のとんかつ店は100店以上行ってる馬鹿なんですが、それでもこの日の印象度では、「豆かん>洋食」でした。お土産もやってますが、浅草寺や仲見世を歩いて、演芸場で松鶴家千とせ師匠の名前を見つけてはしゃいで……といった空気の中で食べると、さらにおいしいような気がします。つくばエクスプレスで秋葉原から数分でつくようになりましたし、地方の友達が秋葉原見物をしたがったときは、ちょっと浅草まで足を伸ばしてみるコースもありかな、と思いました。
「豆かんってどんな食べ物?」
ふと、書店員の友人が呟いたのがきっかけでした。豆と寒天で豆かんだというのはもちろんあるのですが、自分の味覚のライブラリーの中に「豆かん」というものがないのです。いかに「孤独のグルメ」のグルメ要素がわりとどうでもいい(グルメ漫画で「コンビニで夕食」とか「病院食」とかテーマにならないでしょう)とはいえ、やはり味がわからないことには内容に共感がしにくい。というわけで、作品に登場する「松むら」のモデルになった浅草「梅むら」に行ってみることにしました。
作中ではすきっ腹で甘味→その後近くの洋食屋「佐久間」に駆け込む、という展開でしたが、僕らはやはりおいしく食べたいってことで逆回しで攻めることに。まずはこちらもモデルとなった洋食「佐久良」をランチで訪問しました。メニューから悩んだ末、「ビーフシチュー」と「ハンバーグ」、「カニクリームコロッケ」をシェアして、+それぞれにんにくライスをオーダーすることに。待つことしばし、最初に運ばれてきたのはビーフシチュー。一見してゴロゴロとビーフが塊で入ってます。高いとこのビーフシチューというとシチューというかこれはソースじゃね? ぐらいの感じが多いイメージですが、ここは濃厚ないわゆる「シチュー」ですね。肉と野菜の旨みがぎゅっと凝縮しつつも、肉がとろっとろでほんとおいしい。後で厚焼きトーストもオーダーしたんですが、ここのメニューは基本的に「ご飯を食べる」ためのものな感じがしました。ハンバーグは一口食べて「肉!」という一品。いわゆる肉汁したたるような、という感じとは違いますが、牛肉の風味がしっかりと詰まって、それでいてぱさつきはせず。半熟の目玉焼きを崩しながら食べるのが楽しいです。カニクリームコロッケは、お店の奥さんから「何もつけないで食べるといいよ」と言われたのが納得なぐらい、ふわぁっとした濃厚さが口の中にあふれます。握りこぶし大の球形のカニクリームコロッケなんて初めて食べた。何もつけなくても十分でしたが、卓上の小瓶のソース(リーアンドペリンみたいな感じでした)をちょびっとつけてもおいしかったです。
会計は2人で6700円。ちょっと値の張るランチですが、値段分は堪能しました。井之頭先生なら、小腹がすけばこれぐらい食べるはずです。はぁ、満足……! しかし、今回のメインはこれではないのです。浅草界隈を散策、カラオケに立ち寄りなどして腹をこなします。浅草寺、仲見世や近辺の刀剣店などをぶらつくのも楽しいですが、なんでもない街中を歩いているのも楽しいです。小料理屋が並ぶ住宅街に、唐突に現れる「ミスターデンジャー(プロレスラー・松永のステーキ屋)」や「アニマル浜口ジム」、駅前にそびえるうんこビルなどが旅情を満たしてくれます。
そして約2時間後。おやつの時間に我らはやってきました。本日のメインイベント、「高級甘味 梅むら」です。高級といっても、来店者のほとんどが注文する「豆かん」は450円と手ごろなお値段です。カウンター数席と小上がりのテーブル2つという地元民以外お断りなムードのカウンターに腰掛けて豆かんを注文。手早く豆の水を切って、寒天を勢いよくもっていきます。仕事が早い。出てきた豆かんはイメージと通りシンプルなもので、大量の豆と、角砂糖のようなサイズの寒天、そしてそこに黒蜜をかけた、それだけのもの。
ひとさじすくう…もむもむ。ふたさじ、みさじ。
同行の書店員と顔を見合わせます……これうまいわ。
僕は小豆をはじめとする豆類が得意ではないんですが、「梅むら」のは上品にしっとりと煮上がったやさしい味で、雑味や癖がまったくありません。寒天も「寒天の風味」がしっかりとあります。そして、それぞれの味わいと食感がまったく別の主張をしていて、口の中がとても楽しい。そしてそのまったく別の要素を、さらっとして、全くべたつかない黒蜜がきゅっとひとつにまとめているのです。見た目以上に豆はたっぷり入っていて、食べ応えも十分。お茶はごく普通のものでしたが、これも相性が最高。名店なめてました。和のすいーつ侮りがたし。唯一残念なのは、「煮込み雑炊」などのメニューはなくなってたんですよね。ああ、もう「ですから、雑煮は冬しかやってないんです」の声は聞けないようです。
僕は本当に肉好きで、都内のとんかつ店は100店以上行ってる馬鹿なんですが、それでもこの日の印象度では、「豆かん>洋食」でした。お土産もやってますが、浅草寺や仲見世を歩いて、演芸場で松鶴家千とせ師匠の名前を見つけてはしゃいで……といった空気の中で食べると、さらにおいしいような気がします。つくばエクスプレスで秋葉原から数分でつくようになりましたし、地方の友達が秋葉原見物をしたがったときは、ちょっと浅草まで足を伸ばしてみるコースもありかな、と思いました。

