新作ゲーム紹介関連の仕事をしていると、最近耳慣れないメーカーが増えたな、と思うことがあります。そのパターンにはふたつあって、これまでゲームにはあまりタッチしていなかった異業種が参入してきているパターンと、外資が絡んでいるパターン。異業種参入に関してはやはりDSが顕著で、素材をもらったりするにも、「え、これどのメーカーのどの部署に連絡取ったらいいの?」と悩むこともしばしばです。
というような話を業界の大先輩としていると、「そういう傾向はあるけど、プレイステーション黎明期はもっとすごかったよ」とのこと。…なるほど、言われてみれば。DSに参入してくる企業は結構な割合で、紙媒体などで持っているノウハウ、リソースをDSに転用して一山当たればラッキー、という感じで、ゲーム業界としては馴染みがなくても、企業名自体には覚えがあることが多いです。しかし、PS参入当時は、安価な開発環境の提供と、ロムメディアからディスクメディアへの以降による生産管理性の向上から、それまでは手が出せなかった新興ソフトハウスから、面白い商品が出ていた印象があります。ファミコン黎明期のような、どこも手探りで開発していた本当のジャングルに比べれば、技術的蓄積は進んでるわけですしね。
そう考えると、PSの後継機種たるプレイステーション3の開発難度が高く、コストやマンパワーを要求するために、中堅メーカーでも新作開発を躊躇しがち…という現状は、非常に歯がゆいものがあります。ソニーもそのあたりは当然考えていて、ゲームソフト開発環境の支援などを打ち出してきました。もっと早くにほしかった一手ですが、今後の動向にも注目ですね。開発支援の分野に関してはマイクロソフトが一歩先を行っていて、開発メーカーに対する手厚いサポートで知られています。ゲーム開発ツール「XNA Game Studio Express 1.0」の無償提供も2007年1月からスタートしており、開発の裾野を広げる意味でもマイクロソフトが一歩先を行っているのが現状ですね。…あくまで「世界では」ですが。
一方、任天堂は伝統的に、自社開発とセカンドパーティを重視する政策をとってきました。これは米国でのアタリショックを見ているからで、クソゲーの粗製濫造が進めば、最終的には市場全体が信頼を失う……と考えてのことです。だから、ハードメーカーとそのパートナーこそが最も信頼できるソフトメーカーでなければならないという任天堂の発想は、全くもって正しいと思います。サードの支援に力をそれほど入れなくても、任天ハードは基本的に開発ハードルが低いため、ハードシェアさえ確保すれば参入企業に困らないのは、DSの現状を見れば明らかですしね。
しかし、任天堂のハードが、PS3に代表される高スペック機に比べて開発が容易であれば、任天堂のハードで成功することはたやすいと言えるでしょうか? 答はNOです。DSは、「参入は容易だが、ブレイクすることはなかなかに難しい」市場になりつつあります。DSで出せばなんでも売れるという幻想は過去のもので、最近は二番煎じ……いや、五番煎じ、六番煎じ的なソフトは全く売れないケースが増えています。開発が容易な分、任天堂ハードは優れたアイデア、あるいは普遍性のあるコンテンツ価値を要求するのです。
「アイデアさえあれば、中小メーカーでも勝負できる」というのは、なんとなく耳に心地よい言葉ですが、実際のところ、ゲーム開発の企画を通せる立場にある人が特異なアイデアを出せる発想力を持っていて、企業側もそれを通す柔軟性を持っていて……というのは、なかなか稀有なことな気がします。最近だと面白いのはSNKプレイモアとかでしょうか。少なくとも、そうした人材と開発環境を広く育てる土壌が、ここ10年の業界に潤沢にあったとは言えません。任天ハードでは任天堂ソフト以外は売れない、とよく言われますが、それは「ハード面でのハードルが低いかもしれないが、ソフト制作のアイデア面でのハードルは決して低くない」からこそ生まれている気がします。
誰もが宮本茂になれるわけではない。一方、任天堂の内部では、任天堂の巨大資本と手厚いサポートをバックに、着々と宮本チルドレンが育ってるわけです。簡単には一人勝ちの状況は変わらないと思います。
というような話を業界の大先輩としていると、「そういう傾向はあるけど、プレイステーション黎明期はもっとすごかったよ」とのこと。…なるほど、言われてみれば。DSに参入してくる企業は結構な割合で、紙媒体などで持っているノウハウ、リソースをDSに転用して一山当たればラッキー、という感じで、ゲーム業界としては馴染みがなくても、企業名自体には覚えがあることが多いです。しかし、PS参入当時は、安価な開発環境の提供と、ロムメディアからディスクメディアへの以降による生産管理性の向上から、それまでは手が出せなかった新興ソフトハウスから、面白い商品が出ていた印象があります。ファミコン黎明期のような、どこも手探りで開発していた本当のジャングルに比べれば、技術的蓄積は進んでるわけですしね。
そう考えると、PSの後継機種たるプレイステーション3の開発難度が高く、コストやマンパワーを要求するために、中堅メーカーでも新作開発を躊躇しがち…という現状は、非常に歯がゆいものがあります。ソニーもそのあたりは当然考えていて、ゲームソフト開発環境の支援などを打ち出してきました。もっと早くにほしかった一手ですが、今後の動向にも注目ですね。開発支援の分野に関してはマイクロソフトが一歩先を行っていて、開発メーカーに対する手厚いサポートで知られています。ゲーム開発ツール「XNA Game Studio Express 1.0」の無償提供も2007年1月からスタートしており、開発の裾野を広げる意味でもマイクロソフトが一歩先を行っているのが現状ですね。…あくまで「世界では」ですが。
一方、任天堂は伝統的に、自社開発とセカンドパーティを重視する政策をとってきました。これは米国でのアタリショックを見ているからで、クソゲーの粗製濫造が進めば、最終的には市場全体が信頼を失う……と考えてのことです。だから、ハードメーカーとそのパートナーこそが最も信頼できるソフトメーカーでなければならないという任天堂の発想は、全くもって正しいと思います。サードの支援に力をそれほど入れなくても、任天ハードは基本的に開発ハードルが低いため、ハードシェアさえ確保すれば参入企業に困らないのは、DSの現状を見れば明らかですしね。
しかし、任天堂のハードが、PS3に代表される高スペック機に比べて開発が容易であれば、任天堂のハードで成功することはたやすいと言えるでしょうか? 答はNOです。DSは、「参入は容易だが、ブレイクすることはなかなかに難しい」市場になりつつあります。DSで出せばなんでも売れるという幻想は過去のもので、最近は二番煎じ……いや、五番煎じ、六番煎じ的なソフトは全く売れないケースが増えています。開発が容易な分、任天堂ハードは優れたアイデア、あるいは普遍性のあるコンテンツ価値を要求するのです。
「アイデアさえあれば、中小メーカーでも勝負できる」というのは、なんとなく耳に心地よい言葉ですが、実際のところ、ゲーム開発の企画を通せる立場にある人が特異なアイデアを出せる発想力を持っていて、企業側もそれを通す柔軟性を持っていて……というのは、なかなか稀有なことな気がします。最近だと面白いのはSNKプレイモアとかでしょうか。少なくとも、そうした人材と開発環境を広く育てる土壌が、ここ10年の業界に潤沢にあったとは言えません。任天ハードでは任天堂ソフト以外は売れない、とよく言われますが、それは「ハード面でのハードルが低いかもしれないが、ソフト制作のアイデア面でのハードルは決して低くない」からこそ生まれている気がします。
誰もが宮本茂になれるわけではない。一方、任天堂の内部では、任天堂の巨大資本と手厚いサポートをバックに、着々と宮本チルドレンが育ってるわけです。簡単には一人勝ちの状況は変わらないと思います。
PR
『アイドルマスター ライブフォーユー!』の販促用動画が公開され、話題になっているのが「ファンからの声援」をテーマにした音ゲーを思わせるシステム。音楽にあわせてタイミングよく指定されたボタンを押すと、客席からの掛け声が再現され、ポイントが入る? というものです。このシステムに対しては賛否両論で、どちらかというと否……というより、“このシステム、大丈夫かな”という不安と期待が半ばの空気が漂っているように思います。
●“オタ芸”と“コール”
否定的な意見の中には、「グレパではオタ芸禁止の旨が発表されたのに、矛盾してない?」というものもあります。このあたりについて考える上では、オタ芸、そしてコールというものの定義を考えてみる必要があります。このあたりの議論が必ず混乱するのは、語っている人たちが、「オタ芸を楽しんでいる人たち」と「ステージを見る上で邪魔だと考える人たち」のどちらかの立ち位置で語っているからで、それぞれに自分の立ち位置にとって、具合のいい定義を前提に語るからです。この系統の議論として頻発するやり取りを例示すると、
A「オタ芸は危ないしステージ見てねーじゃん」
B「座ってお通夜みたいに見てろって言うのか?」
A「そんなことは言っていない、適度に飛んだりコールはいい」
B「はいはい、マグロは黙ってろよ。在宅涙目ww」
的なものです。かなり強調して書きましたが、オタ芸否定派は「オタ芸←→コールや掛け声」という前提で話しているのに対し、肯定派は「オタ芸・コールといった盛り上がり全般←→静かに聞きたい派」という前提で話しています。これでは会話が成立するはずがありません。どちらかというと、オタ芸肯定派が軸をずらしにかかっている印象があるのですが、彼らにとっては自分のライブの楽しみ方が否定されるか、許容されるかの瀬戸際なのですから、必死になるのも仕方がないと思います。
●そもそもオタ芸とは
どこまでがオタ芸、どこからがそれ以外という判断は難しいのですが、語る上では重要な差異なので、個人的な切り分けをしておくと……
□オタ芸
ロマンス:斜め上を指差す動作を、上体の回転を交えて左左右右左右左左、右右左左右左右右と繰り返す。高速バージョン、のけぞり、ペアで鏡合わせ、などのバリエーションも
OAD:オーバーアクションドルフィン。曲調に合わせ、頭の左右での手拍子をリズムよく繰り返す。上体を激しく回転させ、ロマンスに近い動きをすることも
マワリ:頭上で手を打ち合わせながらその場で回る
ロミオ:演者に向かって手を差し伸べる動きをさらに強調し、肩もはずれよとばかりに腕を伸ばす。最前列中央でよく見られる
□コールなど、肯定的に受け入れられることが多いアクション
PPPH:パン、パパン、ヒュー! と手拍子とともにリズムよく叫び、ヒューでジャンプを行うことも
ケチャ:手扇子、もしくはサイリウムを縁者に向けて差し伸べるように振る。会場全体で揃える
合いの手:「はーいはいはいはい!」「ほっちゃーん!」「まーすみん、まーすみん!」など、ボーカルの合間や、盛り上がりの前に入ることの多い掛け声
ヘイヘイ(名称不明):間奏中、「ヘイ! ヘイ!」と拳をつきあげながら叫ぶ。演者が煽ることも多い
□コール寄りだが、否定的に受けとられることが多いアクション
MIX:「タイガー! ファイヤー! サイバー! ファイバー! ダイバー! バイバー! ジャージャー!」などの独特の叫び
長台詞のコール:「愛する○○のためならば、世界におそれるものはない。~~」みたいな2、3行ぐらいのロングコール
話しかけ:トークに対し、演者が反応を求めていないところで介入していく
といったところです。基本的に、「自分が目立ちたい、個人的に演者に注目されたい」アクションは好まれず、「会場の一体感や演者の盛り上げを考えている」アクションが歓迎される傾向にあるように思います。これに「動きが大きく、周囲に迷惑を与えやすい」「ステージを見ていない?」といった要素が加わるものが、“オタ芸”と呼ばれやすいようです。
●演者の側は?
では、演じる側の舞台の声優さんやアニソン系歌手の皆さんは、どのように考えているのでしょうか。基本的に、公的なスタンスとしては、「コールなどで盛り上げてくれるのは大歓迎、過度のオタ芸に関しては言葉を濁す」というものが多いようです。肯定的なスタンスの代表は、桃井はるこさんでしょうか(※モモーイはアイドルノリは大好きだが、ロマンスなどオタ芸に関しては、必ずしも肯定的ではないとのご指摘を頂きました。確かに納得なので補足させていただきます)。ICHIKOさんもかなり積極的で、反応の薄い客層の場合、かなりアクティブにアクションを求めている印象があります。一方、オタ芸に対してかなり強烈に否定的なメッセージを送っているのが榊原ゆいさん。高いジャンプやオタ芸、危険行為をすべて禁じて、「自分の芸を見せに来るんじゃなく、ゆいの芸を見に来てくださぃ(笑)」と明言しています。その榊原さんも、声を出し、手を上げるライブとしての盛り上がりにはもちろん肯定的です。妖精帝國の妖精ゆい様は、過度のがっつきをする観客に対しては、「和を乱すものは帰れ! ……すまん、今のは言い過ぎたな」とツンデレっぷりを発揮していましたが、「会場全体のノリやアクションの共有、世界観の維持」に心を砕いているのが伝わってきます。こうして見ると、スタンスがはっきりしているのは、やはり歌手の人が多いですね。声優さんだと、アイマスの最初のシークレットライブで、若林直美さんがPPPHに本当に感激していたのを思い出します。
盛り上がってほしいが、主役はあくまでもステージ。言葉にするとしごく当たり前なことなのですが……。オタ芸を好む人が最もコアな常連客であることは否定できず、演者が未熟な場合は、彼らが盛り上げ役を担っているケースも多いのが、問題をさらに複雑にしているように思います。
●指針をはっきりさせることが大事
この話題が果てることはないのは、最初に書いたとおり、結局のところ「オタ芸やりたい人」と「やめてほしい人」の立場が断絶しており、一定のラインからは歩み寄る余地がないからです。では是非の基準をどこに置くのか、という線引きを、演者の側からはっきり提示するというのが、大事になってくるのではないでしょうか。その意味で、今回のアイマス関係の「オタ芸はやめてね。でも盛り上げるコールは歓迎よ」というメッセージは、不毛なやり取りに決着をつける一助にはなるでしょう。ルールがないところでお互いの希望をぶつけあって争いになるのなら、線引きをするのは主催者側が望ましいと思います。
もちろん、例外はあって、宝塚型の“ファンの間での統制・規律がしっかりしている集団”では、その客席ならではの慣習法が定められる余地はあると思います。声優業界で言えば、田村ゆかりさんのライブなどは、客席の側から規律・ムードが作られている好例だと思います。しかしなかなか、そこまでの経験値を重ねるのは難しいですね。
おまけ:客席の近辺や中で取材していて一番怖いのは、断トツでロミオとロマンスです。後ろ頭をはたかれるぐらいなら我慢しますが、商売道具のカメラを叩き落されるリスクは本当に怖いです。
●“オタ芸”と“コール”
否定的な意見の中には、「グレパではオタ芸禁止の旨が発表されたのに、矛盾してない?」というものもあります。このあたりについて考える上では、オタ芸、そしてコールというものの定義を考えてみる必要があります。このあたりの議論が必ず混乱するのは、語っている人たちが、「オタ芸を楽しんでいる人たち」と「ステージを見る上で邪魔だと考える人たち」のどちらかの立ち位置で語っているからで、それぞれに自分の立ち位置にとって、具合のいい定義を前提に語るからです。この系統の議論として頻発するやり取りを例示すると、
A「オタ芸は危ないしステージ見てねーじゃん」
B「座ってお通夜みたいに見てろって言うのか?」
A「そんなことは言っていない、適度に飛んだりコールはいい」
B「はいはい、マグロは黙ってろよ。在宅涙目ww」
的なものです。かなり強調して書きましたが、オタ芸否定派は「オタ芸←→コールや掛け声」という前提で話しているのに対し、肯定派は「オタ芸・コールといった盛り上がり全般←→静かに聞きたい派」という前提で話しています。これでは会話が成立するはずがありません。どちらかというと、オタ芸肯定派が軸をずらしにかかっている印象があるのですが、彼らにとっては自分のライブの楽しみ方が否定されるか、許容されるかの瀬戸際なのですから、必死になるのも仕方がないと思います。
●そもそもオタ芸とは
どこまでがオタ芸、どこからがそれ以外という判断は難しいのですが、語る上では重要な差異なので、個人的な切り分けをしておくと……
□オタ芸
ロマンス:斜め上を指差す動作を、上体の回転を交えて左左右右左右左左、右右左左右左右右と繰り返す。高速バージョン、のけぞり、ペアで鏡合わせ、などのバリエーションも
OAD:オーバーアクションドルフィン。曲調に合わせ、頭の左右での手拍子をリズムよく繰り返す。上体を激しく回転させ、ロマンスに近い動きをすることも
マワリ:頭上で手を打ち合わせながらその場で回る
ロミオ:演者に向かって手を差し伸べる動きをさらに強調し、肩もはずれよとばかりに腕を伸ばす。最前列中央でよく見られる
□コールなど、肯定的に受け入れられることが多いアクション
PPPH:パン、パパン、ヒュー! と手拍子とともにリズムよく叫び、ヒューでジャンプを行うことも
ケチャ:手扇子、もしくはサイリウムを縁者に向けて差し伸べるように振る。会場全体で揃える
合いの手:「はーいはいはいはい!」「ほっちゃーん!」「まーすみん、まーすみん!」など、ボーカルの合間や、盛り上がりの前に入ることの多い掛け声
ヘイヘイ(名称不明):間奏中、「ヘイ! ヘイ!」と拳をつきあげながら叫ぶ。演者が煽ることも多い
□コール寄りだが、否定的に受けとられることが多いアクション
MIX:「タイガー! ファイヤー! サイバー! ファイバー! ダイバー! バイバー! ジャージャー!」などの独特の叫び
長台詞のコール:「愛する○○のためならば、世界におそれるものはない。~~」みたいな2、3行ぐらいのロングコール
話しかけ:トークに対し、演者が反応を求めていないところで介入していく
といったところです。基本的に、「自分が目立ちたい、個人的に演者に注目されたい」アクションは好まれず、「会場の一体感や演者の盛り上げを考えている」アクションが歓迎される傾向にあるように思います。これに「動きが大きく、周囲に迷惑を与えやすい」「ステージを見ていない?」といった要素が加わるものが、“オタ芸”と呼ばれやすいようです。
●演者の側は?
では、演じる側の舞台の声優さんやアニソン系歌手の皆さんは、どのように考えているのでしょうか。基本的に、公的なスタンスとしては、「コールなどで盛り上げてくれるのは大歓迎、過度のオタ芸に関しては言葉を濁す」というものが多いようです。肯定的なスタンスの代表は、桃井はるこさんでしょうか(※モモーイはアイドルノリは大好きだが、ロマンスなどオタ芸に関しては、必ずしも肯定的ではないとのご指摘を頂きました。確かに納得なので補足させていただきます)。ICHIKOさんもかなり積極的で、反応の薄い客層の場合、かなりアクティブにアクションを求めている印象があります。一方、オタ芸に対してかなり強烈に否定的なメッセージを送っているのが榊原ゆいさん。高いジャンプやオタ芸、危険行為をすべて禁じて、「自分の芸を見せに来るんじゃなく、ゆいの芸を見に来てくださぃ(笑)」と明言しています。その榊原さんも、声を出し、手を上げるライブとしての盛り上がりにはもちろん肯定的です。妖精帝國の妖精ゆい様は、過度のがっつきをする観客に対しては、「和を乱すものは帰れ! ……すまん、今のは言い過ぎたな」とツンデレっぷりを発揮していましたが、「会場全体のノリやアクションの共有、世界観の維持」に心を砕いているのが伝わってきます。こうして見ると、スタンスがはっきりしているのは、やはり歌手の人が多いですね。声優さんだと、アイマスの最初のシークレットライブで、若林直美さんがPPPHに本当に感激していたのを思い出します。
盛り上がってほしいが、主役はあくまでもステージ。言葉にするとしごく当たり前なことなのですが……。オタ芸を好む人が最もコアな常連客であることは否定できず、演者が未熟な場合は、彼らが盛り上げ役を担っているケースも多いのが、問題をさらに複雑にしているように思います。
●指針をはっきりさせることが大事
この話題が果てることはないのは、最初に書いたとおり、結局のところ「オタ芸やりたい人」と「やめてほしい人」の立場が断絶しており、一定のラインからは歩み寄る余地がないからです。では是非の基準をどこに置くのか、という線引きを、演者の側からはっきり提示するというのが、大事になってくるのではないでしょうか。その意味で、今回のアイマス関係の「オタ芸はやめてね。でも盛り上げるコールは歓迎よ」というメッセージは、不毛なやり取りに決着をつける一助にはなるでしょう。ルールがないところでお互いの希望をぶつけあって争いになるのなら、線引きをするのは主催者側が望ましいと思います。
もちろん、例外はあって、宝塚型の“ファンの間での統制・規律がしっかりしている集団”では、その客席ならではの慣習法が定められる余地はあると思います。声優業界で言えば、田村ゆかりさんのライブなどは、客席の側から規律・ムードが作られている好例だと思います。しかしなかなか、そこまでの経験値を重ねるのは難しいですね。
おまけ:客席の近辺や中で取材していて一番怖いのは、断トツでロミオとロマンスです。後ろ頭をはたかれるぐらいなら我慢しますが、商売道具のカメラを叩き落されるリスクは本当に怖いです。
先日アイマスの売れ方は変わっている……という書き方をしたのですが、今日戦国BASARA絡みのメールをやりとりしていてふと思ったのが、『アイマス』のファン層・購買パターンは、オタ系よりも、いわゆる腐女子をターゲットにした女性向け作品の方が近いんじゃないかな、ということです。
まずファン層という意味で考えると、“アイマスの商品を買って支えている層”のメインは、20代後半~30代前半、そしてバイトして生活力のある大学生、て感じじゃないかと思います。カバー曲のチョイスの仕方なんかを見ても、パンナムさんの認識もそういう感じじゃないかな? これは理由を考えれば簡単で、アイマスというコンテンツが、入り口からして金食い虫だからです。アーケード版からやっているプレイヤーが集まれば、“投資金額6桁”なんて話はザラですし、Xbox 360版にしても、本体とソフトを買い、Xbox LIVEに接続する段階で約5万、そこからDLCでさらに……という追加投資が必要です。それらの購買力がある層、となると、独身の社会人がコアターゲット層になるのは自然の成り行きだと思います。ニコニコ動画等を視野に入れると、“アイマスというコンテンツに興味を持っている層”の年齢層は、ぐっと下にシフトするとは思いますが。
しかしアイマスに関し、実際に商品をコンプリートし、イベントに通い……というコア層が、非常に多いか、といえば答はNOだと思います。先日のグレートパーティでは、概算ですが東京1200人、大阪800人、東京+1200人ぐらいの来場者があったと思います。これが=アイマスには3200人のイベント集客力があるかといえば、実際には2、ないし3会場制覇したぜ、という人がかなりの人数いるわけで。数字にすれば来場した人間の実数ってのは、2000人ぐらいでしょう。残念ながらドームにはまだちょっと遠いですね。しかし、この複数会場をはしごする熱烈なファンによってイベントが支えられている……というのは、まさしく女性向けイベントのパターン。女性向けの声優イベントは、昼夜興行が非常に多いんです。声優さんの拘束時間や会場を借りるのが1日で済み、衣装やセットリストも使いまわせる……となればいいことづくめですよね。ただこれは、ご贔屓の声優さんが出演するのであれば、内容は似通っていても全部見たい! ちょっとしたフリートークの違いも聞き逃したくない! という忠誠度の高いファン層を抱えていて、初めて可能なイベント形式ですね。男性向けでいえば、『サクラ大戦歌謡ショウ』シリーズなどもこの系譜でしょうか。キャラクターと声優さんのシンクロ度が高く、コアなファンのサポートにより長期シリーズに……という意味では、アイマスとサクラ大戦にもある程度の類似性はあるかもしれません。
こうした、コア層の囲い込みで客単価が高いジャンルというのは、外部の印象以上の売り上げを叩きだします。たとえば、11月19日付のオリコン週間シングルチャートで、『家庭教師ヒットマン REBORN!』 の“Sakura addiction”(雲雀恭弥 vs 六道骸)が何枚売れたかご存知でしょうか。初週37411枚でオリコン7位です。 創聖のアクエリオンが13295枚で14位、 平野綾さんの“NEOPHILIA”が10429枚で17位であることを考えれば、男性オタにはぽかーん、て感じじゃないでしょうか。こうした、囲い込んだ輪の中で暴風雨が吹いている作品というのは、 外側からは認知しにくいものなんです。テニスの王子様のキャラソンが頻繁にCDTVに登場するのは男オタには理解しにくいことですが、アイマスにしても“それほど有名な声優も出てないのに…”という見方は業界の内部にもあります。しかし、キャラソン売り上げだけで見ると、伊織よりも千早の方が売り上げを伸ばしてるんですね。
10万人のファンが1000円ずつ使う作品と、1万人のファンが10000円を使う作品は、どちらが望ましいでしょうか。宣伝効果やスポンサーの事情を考えれば、明らかに小額を出す10万人のファンの方がメリットは大きいでしょう。しかし、“どちらが計算できるか”という意味では、1万人のファンの方がハンドリングがしやすいのではないでしょうか。で、当たり外れの大きいオタ業界では、この安打率の高さは十分な武器になると思います。ブームに乗って変動するファンに比べ、コアな信者は1年後、2年後にも変わらずついてくる可能性が高いですしね。それから、コア層の情熱ってのは、時としてスケールメリットを覆すんです。遠征するファンの比率が高くなるほど、全国ツアーは当然打ちやすくなります。それでも、“1会場に動員できるファン数の上限の絶対数は母数に依存する”という原則は変えられない……筈だったのですが、それさえも覆したのが9/20のAice5解散ライブ。平日の横アリは本来オーバーキャパだったと思うのですが、
少しでも良い席で最後を見届けたい熱心なファンが、複数のチケットを購入
↓
知り合いと自分の購入分を含めた中での、最良番以外をオークションに放流
↓
興味はあるが、定価でチケットを買うほどではないライトファンが安価に落札
というサイクルが成立したこともあり、結局横アリが満員という結果になりました。もちろん、良番確保のための複数購入やオークションでの売買は、必ずしもよいことではありません。しかし、この場合熱心なファンが余分に身銭を切ったことで、結果として売り上げ・動員数の面では、通常のソールドアウトと同じだけのお金と人が動いているわけです。やっぱコアなファンのパワーってのは、あなどれないものがあります。招待券で形だけ埋めるよりは、よっぽど健全…とまで書くと問題でしょうか(笑)。
…最後に蛇足ですが、声優さん同士の人間関係を観客的立ち位置から見ていたいってスタンス、その関係に異性(ファンから見て同性)が立ち入ることを嫌う、カップリング脳なんかもいわゆる腐女子的かな、とも思います。
まずファン層という意味で考えると、“アイマスの商品を買って支えている層”のメインは、20代後半~30代前半、そしてバイトして生活力のある大学生、て感じじゃないかと思います。カバー曲のチョイスの仕方なんかを見ても、パンナムさんの認識もそういう感じじゃないかな? これは理由を考えれば簡単で、アイマスというコンテンツが、入り口からして金食い虫だからです。アーケード版からやっているプレイヤーが集まれば、“投資金額6桁”なんて話はザラですし、Xbox 360版にしても、本体とソフトを買い、Xbox LIVEに接続する段階で約5万、そこからDLCでさらに……という追加投資が必要です。それらの購買力がある層、となると、独身の社会人がコアターゲット層になるのは自然の成り行きだと思います。ニコニコ動画等を視野に入れると、“アイマスというコンテンツに興味を持っている層”の年齢層は、ぐっと下にシフトするとは思いますが。
しかしアイマスに関し、実際に商品をコンプリートし、イベントに通い……というコア層が、非常に多いか、といえば答はNOだと思います。先日のグレートパーティでは、概算ですが東京1200人、大阪800人、東京+1200人ぐらいの来場者があったと思います。これが=アイマスには3200人のイベント集客力があるかといえば、実際には2、ないし3会場制覇したぜ、という人がかなりの人数いるわけで。数字にすれば来場した人間の実数ってのは、2000人ぐらいでしょう。残念ながらドームにはまだちょっと遠いですね。しかし、この複数会場をはしごする熱烈なファンによってイベントが支えられている……というのは、まさしく女性向けイベントのパターン。女性向けの声優イベントは、昼夜興行が非常に多いんです。声優さんの拘束時間や会場を借りるのが1日で済み、衣装やセットリストも使いまわせる……となればいいことづくめですよね。ただこれは、ご贔屓の声優さんが出演するのであれば、内容は似通っていても全部見たい! ちょっとしたフリートークの違いも聞き逃したくない! という忠誠度の高いファン層を抱えていて、初めて可能なイベント形式ですね。男性向けでいえば、『サクラ大戦歌謡ショウ』シリーズなどもこの系譜でしょうか。キャラクターと声優さんのシンクロ度が高く、コアなファンのサポートにより長期シリーズに……という意味では、アイマスとサクラ大戦にもある程度の類似性はあるかもしれません。
こうした、コア層の囲い込みで客単価が高いジャンルというのは、外部の印象以上の売り上げを叩きだします。たとえば、11月19日付のオリコン週間シングルチャートで、『家庭教師ヒットマン REBORN!』 の“Sakura addiction”(雲雀恭弥 vs 六道骸)が何枚売れたかご存知でしょうか。初週37411枚でオリコン7位です。 創聖のアクエリオンが13295枚で14位、 平野綾さんの“NEOPHILIA”が10429枚で17位であることを考えれば、男性オタにはぽかーん、て感じじゃないでしょうか。こうした、囲い込んだ輪の中で暴風雨が吹いている作品というのは、 外側からは認知しにくいものなんです。テニスの王子様のキャラソンが頻繁にCDTVに登場するのは男オタには理解しにくいことですが、アイマスにしても“それほど有名な声優も出てないのに…”という見方は業界の内部にもあります。しかし、キャラソン売り上げだけで見ると、伊織よりも千早の方が売り上げを伸ばしてるんですね。
10万人のファンが1000円ずつ使う作品と、1万人のファンが10000円を使う作品は、どちらが望ましいでしょうか。宣伝効果やスポンサーの事情を考えれば、明らかに小額を出す10万人のファンの方がメリットは大きいでしょう。しかし、“どちらが計算できるか”という意味では、1万人のファンの方がハンドリングがしやすいのではないでしょうか。で、当たり外れの大きいオタ業界では、この安打率の高さは十分な武器になると思います。ブームに乗って変動するファンに比べ、コアな信者は1年後、2年後にも変わらずついてくる可能性が高いですしね。それから、コア層の情熱ってのは、時としてスケールメリットを覆すんです。遠征するファンの比率が高くなるほど、全国ツアーは当然打ちやすくなります。それでも、“1会場に動員できるファン数の上限の絶対数は母数に依存する”という原則は変えられない……筈だったのですが、それさえも覆したのが9/20のAice5解散ライブ。平日の横アリは本来オーバーキャパだったと思うのですが、
少しでも良い席で最後を見届けたい熱心なファンが、複数のチケットを購入
↓
知り合いと自分の購入分を含めた中での、最良番以外をオークションに放流
↓
興味はあるが、定価でチケットを買うほどではないライトファンが安価に落札
というサイクルが成立したこともあり、結局横アリが満員という結果になりました。もちろん、良番確保のための複数購入やオークションでの売買は、必ずしもよいことではありません。しかし、この場合熱心なファンが余分に身銭を切ったことで、結果として売り上げ・動員数の面では、通常のソールドアウトと同じだけのお金と人が動いているわけです。やっぱコアなファンのパワーってのは、あなどれないものがあります。招待券で形だけ埋めるよりは、よっぽど健全…とまで書くと問題でしょうか(笑)。
…最後に蛇足ですが、声優さん同士の人間関係を観客的立ち位置から見ていたいってスタンス、その関係に異性(ファンから見て同性)が立ち入ることを嫌う、カップリング脳なんかもいわゆる腐女子的かな、とも思います。

