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2026/01/22 21:10 |
ライターは嘘つきなのか
ちょっと前の記事になりますが、かーずさんのところ経由で気になる記事を見つけました。「かさぶた。」さんの記事なんですが、まずこちらをお読みください。

http://gamenokasabuta.blog86.fc2.com/blog-entry-389.html

一応ゲームメディアで書いているライターの端くれとしてレスポンスさせてもらうと、かなり痛い部分を突かれたなぁ、という感触があります。具体的に言えば、「良識あるライターは嘘は書かないけれど、書くか、書かないかを選別することはある」ということです。たとえばグラフィックが素晴らしいがゲーム性はクソである……という作品があった場合、基本的には「グラフィックが素晴らしい」ことを第一に書くでしょうね、たしかに。その上で、ゲーム性の難に関してどの程度切り込んでいくかは、その媒体のカラー、路線によるでしょう。

ライターという職業に関してよく誤解されることですが、ライターという仕事は、それほどクリエイティブなものではありません。基本的に、代替が効く作業であり、執筆する内容もその媒体の方針やルールにのっとったものです。仮に、「無条件に製品を持ち上げる提灯記事を書いてください」という依頼があった場合、僕らライターにはふたつの選択肢があります。「そういうものは自分の職業意識上書けない」と仕事を断るか、仕事を引き受けた以上、全力で提灯持ちになるかです。「提灯持ちますよ~」と引き受けた仕事で、「いやいやプロとしてそうは書けない」なんて言いだすのはアマチュアであり、ごちゃごちゃ言うならそういう仕事は最初から受けるべきではないのです。

もちろん、ライターとてロボットではありませんから、自分のカラー、意見の入る余地はあります。その場合に僕が心がけているのは、ユーザーに対して嘘はつかないことです。面白くないものを「面白い!」とは書きませんし、グラフィックが糞なものを素晴らしい絵とは書きません。そうした個人の主義と、媒体のカラーや方針が衝突した時にライターが取る方法が「書くことと書かないことの選別」なのです。僕はフリーランスのライターですから、比較的自由度が高い立場にあります。どうしても自分の主義に合わない記事は断ることが出来るのですから。しかし、企業に所属する形で社員として働いている人たちを、お前たちは嘘つきだ、提灯持ちだと糾弾するのはいささか酷だなぁ、というのが正直なところ。しかし基本的に、批判的なカラーでない媒体の場合、ゲーム関連の記事は“良かった探し”になる傾向があるのは、確かなことです。ですから、読み手の側としても、商業媒体のテキストは選択する上の判断基準のひとつに留めて、その上で行間やニュアンスも読んで頂ければ、と。良心的なライターなら、一部を書かないことはあっても、まるっきりの嘘を並べ立てることはしない筈です。それではジャーナリストではないだろう…という指摘に対しては、はい、僕らはジャーナリストではなくライターです、という返答になってしまうのですが。

……と。ここまで書いてきてなんなんですが。この枠に当てはまらないのが、「テンプレート原稿」です。たくさんの商品・作品を紹介する枠の場合、ひとつひとつのゲーム・音楽・映画などを細かくチェックしていては、とても追いつかないし、採算にあわないような仕事というのは存在します。わりと頻繁に。そうした仕事の場合、メーカーから回ってきたリリースをベースにテキストを作ることになります。メーカーから回ってくる資料に短所が書いてあるはずがありませんから、どうしたって長点のオンパレードになるわけですね。

表現方法にもテンプレートというものはあって、僕個人の場合、できればこれはあんまりだから使いたくないなぁ……というものも幾つかあります。ゲーム関係で言えば、PS3ソフトを「プレイステーション3ならではの映像クオリティ」と評したり、Wiiソフトを「Wiiならではの直感的な操作」と評したりですね。直感的な操作、というのを体系立てて説明できる人がどれぐらいいるでしょうか。でも、なんとなくニュアンスが伝わりそうな便利な言葉として頻繁に使われています。

ゲームライター仲間との笑い話で最近盛り上がったのが、「Wii版の『上海』、お前ならどう紹介する?」という話。案の定、どこのサイトも(おそらくメーカーリリースにそう書いてあるのでしょう)“Wiiならではの直感的な操作で「上海」が楽しめる”て書いてあるんですけどね。読めば読むほど、上海でWiiならではの直感的な操作……て、ちょっと面白くありませんか。でも、定められた文字数を埋めることが仕事のライターにとって、定型テンプレートの誘惑ってのは、案外抗いがたいものがあるんですよね。そもそも、ライター個人の個性が求められる仕事なんて、ごくごく限られますから。
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2007/11/19 14:15 | Comments(0) | TrackBack() | ライター・テキスト
『アイドルマスター』というコンテンツの特異性
アーケードからXbox 360に移植され、2008年2月には新作のXbox 360『Live fou YOU』の発売も予定されている『アイドルマスター』。企画のスタートが2001年頃である頃を考えると、本当に息の長い企画です。もちろん世の中には、大きな人気が出て、もっと長いスパンで愛されている作品はたくさんあります。しかし『アイドルマスター』の毛色が違うのは、アーケードでは商業的に必ずしも成功した作品とは言えないことです。ナムコからの出荷ベースでは順調だったのかもしれませんが、実際にゲームセンターにおけるインカムが順調だったとは必ずしも言えず、店舗によっては赤字を出したところも多いようです。これはアイドルマスターというタイトルに魅力が足りなかったからでは無く、ゲームセンターという公共の場において、ギャルゲーテイストの大型筐体機をプレイするというハードルが、想像以上に高かった、という要素が大きいように思います。僕はアーケード版アイドルマスターは、“ファーストプロデュースで惨敗した時の痛みと後悔、アイドルに対する申し訳なさ”を知った時が本当のスタートだと考えていますが、そこまでには最低2000円~3000円程度の投資が必要です。オーディションの厳しさもあり、アーケードでの『アイドルマスター』というタイトルは、そのポテンシャルをユーザーに完全には伝え切れていない部分があったのは事実でしょう。

●固定ファンからの圧倒的な支持
その後Xbox 360版発売を契機にコンテンツとしての復活を果たす『アイドルマスター』ですが、その企画にGOが出るきっかけとして、固定ファンからの応援の熱さは決して無縁ではないでしょう。赤羽会館でのシークレットイベントを皮切りに、アイマス関係のイベントは軒並みソールドアウト(※赤羽は高倍率の抽選)。必ずしもよいことではありませんが、前列の席がオークションに数万円で高騰したり、アブレイズ行徳で、100名のイベント募集枠に、早朝5時には推定500名のファンが殺到したり。僕も取材で伺いましたが、店長さんの憔悴した様子が印象的でした。そうしたファンの熱さが、新作企画の背中を押したのは間違いないでしょう。

しかし『アイドルマスター』が現在のような人気を獲得するまでには、幾つもの奇跡と幸運がありました。まず、ハードにXbox 360を選んだこと。家庭用版が、アーケードを上回ることのない単なる移植作であれば、アケ版ユーザーが流れてくることはなかったでしょう。スペック的に成算のあるハードはXbox 360かPS3でしたが、比較的ナムコと関係の深いPS3を選んでいたら、今日の結果があったかどうか。そして、ユーザー以上に作り手のモチベーションの高さがあったことも大きな要因でしょう。2006年の東京ゲームショーで、初めて流れた「GO MY WAY」と美希の動画には、非アイマスユーザーを揺さぶるだけの圧倒的な説得力がありました。2007年頭に発売されたXbox 360版は、初週売り上げは25,000本前後でしたが、DLC(ダウンロードコンテンツ)が爆発的な売り上げを記録し、発売半年で売り上げ1億円……という、新しいビジネスモデルを確立したといってもいい成功を果たしたのでした。

●「XENOGLOSSIA」が追い風に?
この“売り上げ人数の絶対数は多くないが、コアユーザーが筋金入りに強く、お金をちゃんと落とす”という構造はアイマス特有と言ってもいいのですが、何がユーザーの忠誠度の高さを支えているのでしょうか。それを考える上で、避けて通れないのがアニメ『アイドルマスター XENOGLOSSIA』の存在だと思います。2007年初頭にもたらされた、アニメ版アイマスのキャストが堀江由衣さん、田村ゆかりさんといった人気声優に一新され、ストーリーはロボット物に……という知らせは、多くの原作ユーザーを打ちのめしました。アニメ版がどれほど豪華な内容であっても、既存のファンは原作ゲームをベースにしたアニメ化をイメージしており、多くのファンの願いは、“アイマスの声優さんたちに晴れ舞台を!”という物だったと思うのです。しかし、結果として、この経験こそがアイマスファンをひとつにしたのではないかと、僕は思います。いわばアーケード版における、ファーストプロデュースの失敗にあたる出来事なのかな、と。

「XENOGLOSSIA」のキャストの豪華さ、舞HiMEチームによる制作という売り文句は破壊力満点で、「これからはアニメ版が主流だな……」という空気が、2007年頭には間違いなく漂っていました。最近知った人には信じがたいことかもしれませんが、2007年4月のオールスターライブが、ゲーム版アイマス声優の最後の舞台だと信じていた人は少なくないのです。その時僕は、「他の媒体やライターが全部アニメ版を支持しても、自分だけはゲーム版に張り続けますよ」と大きな口を叩いていたのですが(笑)、それと同じことを、全国のプロデューサーが思ってくれたからこそ今がある。そう信じています。

●アイマスはちゃんと儲かる
しかし、ファンが熱心だから、開発者や関係者の思い入れが強いから、だけで続編が出たのでしょうか。そういう要素も大いにあるにせよ、続編が出たのは、利益が出ているからです。たまに、アニメやゲームの制作者に対する言説として、「なんだ、所詮金のためにやってるのか」というような意見・書き込みを目にして眩暈がするのですが……商品を作って売るのは、基本的にお金を儲けるためです。僕も、明日のご飯をちゃんと食べるためにライティングをしています。もちろん、“お金のためにだけやっているのか?”という質問に対してはNOと言えますが、仮にもプロなんですから、収益を目指すことはなんら恥ずかしいことではありません。アイマスの人気の爆発の契機としてニコニコ動画があることは間違いないですが、バンダイナムコのような大企業が新作開発を考えるのに、「ニコニコで大人気だから売れるよ」なんて企画書を出したらひっぱたかれるでしょう。あくまでも、DLCがXbox 360の記録を塗り替えるほど売れてしまったからこそ、『L4U』の企画も通ったはずです。

●『MASTER ARTIST』シリーズの安定した売れ方
『アイドルマスター』がビジネスになるコンテンツとして、一番サンプルになるのが、コロムビアさんから出ているマスターアーティストシリーズだと思います。声優関連CDデータベースver.1.01から抜粋すると、2007年のキャラクターソングアルバムの売り上げは以下の通り。

順位      タイトル      アーティスト      推定枚数      最高      登場      発売日
1     TVアニメ『らき☆すた』後半エンディングテーマ集 白石みのるの男のララバイ     白石みのる(白石稔)     13912枚     23位     4回※     2007/10/17
2     THE IDOLM@STER MASTER ARTIST FINALE     765プロ ALLSTARS     11776枚     21位     2回※     2007/10/24
3     THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 05 如月千早     如月千早(今井麻美)     11641枚     22位     3回     2007/8/22
4     THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 07
三浦あずさ     三浦あずさ(たかはし智秋)     11184枚     24位     4回     2007/9/5
5     THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 09
萩原雪歩     萩原雪歩(落合祐里香)     11179枚     17位     2回     2007/10/3
6     THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 02
高槻やよい     高槻やよい(仁後真耶子)     10819枚     19位     3回     2007/7/18
7     ハヤテのごとく!キャラクターCD4/桂ヒナギク     桂ヒナギク     10753枚     27位     4回     2007/7/25
8     THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 10 秋月律子     秋月律子(若林直美)     10630枚     34位     3回     2007/9/19
9     ハヤテのごとく!キャラクターCD3/三千院ナギ     三千院ナギ     10368枚     30位     4回     2007/7/25
10     THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 06 双海亜美/真美     双海亜美/真美(下田麻美)     9419枚     26位     2回     2007/8/22

オリコンや売り上げ枚数に興味が無い人なら、アイマス関連ってそんなに売れてるの? と驚いたんじゃないでしょうか。シングルでも、現在最強の販売力を持っている『らき☆すた』のキャラソンの売り上げが15,000枚から25,000枚前後。キャラクターソング市場におけるアイマスの強さは際立っていると言っていいでしょう。元来キャラクターソングとはそれほど売れるものではなく、あの平野綾さんでさえ、『ギャラクシーエンジェル2』では1000枚前後。3000枚売れればかなり好調と言えるキャラソン市場において、数ヶ月で11枚というハイペースリリースのミニアルバムが、平均10,000枚売れるというのは、実際かなり特異なことなのです。

「THE IDOLM@STER Christmas for you!」や「THE IDOLM@STER RADIO MASTER DIVA」の発売が発表されていますが、これだけ売れるのですから、次を企画しないわけがありません。DLCの価格設定など、ユーザーの立場としては「俺たち絞られてんなぁ」と思うこともあると思いますが、重要なのは、いかに気持ちよく絞ってくれるかがプロの技ではないでしょうか。思い入れのあるコンテンツに対してユーザーがお金を落とし、そのおかげで新作が出せるサイクルというのは、双方にとって実に幸せな関係だと思います。全国のアーケードから筐体が撤去され始めたとき、アニメ版の路線が発表されたとき……もう『アイドルマスター』というコンテンツとはお別れなのか、と感じたときの絶望を思えば、新作や関連製品でコンスタントにお財布を工面するプロデューサーの顔は、実に幸せそうだと思うのは僕だけでしょうか。『アイドルマスター』の売れ方は特殊ですが、コンテンツが本来あるべき極めて健全なサイクルでもあると思います。

今日、『LIVE for YOU!』に向けて、 「アイドルマスター Radio For You!」が始まることが発表されました。ラジましょスタッフにはまたやられた感がありますが、冷静に考えて、このタイミングの番組終了は無いですよね。これからもこのコンテンツとつきあってけるように、とりあえず『LIVE for YOU!』の予約をしましょうか。とりあえず僕は、アニメDVD付、notドール付を購入するつもりです。

2007/11/15 18:26 | Comments(4) | TrackBack() | アイドルマスター

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