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2025/01/23 00:48 |
魔法の言葉イマジン
 昔はアニラジを聞くのには、ちょっとした準備がいりました。AMラジオ本体、毎週決まった時間にラジオの前に座ること、そして多少の雑音やハングルに耐える覚悟が必要でした。僕は週末はかなりのアニラジっ子(平日はオールナイトニッポンとかブンブンリクエストとか聞いてました)だったので、ラジオ大阪の「電撃系」番組の数々、ラジオ関西(AM神戸)の「ハートフルステーション」や「青春ラジメニア」などはデフォとして、井上喜久子さんや久川綾さんのラジオがあると聞けば山陽や山陰のラジオ、榊原良子さんのラジオドラマがあると聞けば沖縄、日高のり子さんの京都、私たちが翔んだり公平先生のラジオがあると聞けば東海……と、いろいろな地方に懸命にチューニングを合わせたものです。文化放送はKBS京都やハングルとの混線が厳しくて聞けなかったんですが。

 90年代のアニラジの代表的な形は、「1.人気声優が一人で、リスナーのハガキとのコミュニケーションを中心に進めるラジオ」「2.男女2人組の掛け合いトーク(下ネタ率結構あり)+ラジオドラマ」というものが多かったように思います。80年代型アニラジは、「男性アニメ好きアナウンサー+女性の声優/MCさん」が多いですね。ともあれ、僕らはアニラジ専門雑誌などをチェックしながら、あらゆる番組を網羅せんと奮闘していたのでした。

 しかし2009年現在、世で放送されている「アニラジ」を“全部聞いてるぜ”という人は、おそらくいないのではないかと思います。というか、物理的に不可能かもしれません。当時は「地上波AM」が9割、「FM」と「たんぱ(主に雪乃五月さん)」で1割というAM全盛の時代でしたが、今はデジタルラジオによる生番組が登場。そして中心はwebラジオに移っています。新番組の多くでインターネットラジオが放送され、声優さんが個人配信しているものなども含めると、その全貌を把握することすら困難な時代となっています。

 そうすると、番組の形も変わってきます。AMラジオが年単位、時には10年、20年と続いて地域のリスナーと一緒に歩んで行くのに対し、webラジオは早いものでは3か月程度で終了になります。そして番組数が激増した結果、ラジオの形式も変化していきました。「ハガキをベースに声優自身の日常感じたこと経験したことを語るトーク」……といった番組は、数を減じつつあります。それは、そうした濃密なコミュニケーションは、やはりある程度長期の交流が前提にあること。そして、ラジオ巧者の人が週に何本もラジオをかけもちする中、日常を取って出す形式には限界があるからです。

 そこで生まれたwebラジオのスタンダードと言える形式が、「2人の声優を組み合わせ、ゲストを呼び、そこに定番コーナーを投入することで番組を量産。複数の声優の組み合わせの化学変化による面白さを生む」というものです。定番コーナーを中心にするのは、トーク力にばらつきがあっても、最低限のクオリティが保障されるからです。トークメインのガールズトーク系番組は、番組を仕切れる人がいないとグダグダになるリスクをはらんでいますからね。化学変化系の成功例では、最近だと『鉄のラジオバレル』などは代表例と言っていいと思います。柿原さんのイケメンキャラを一定ラインから決して受け入れない能登さん、能登さんにデレデレなあまり変態紳士天元突破する柿原さん、暴走する柿原さんの勢いに引っ張られて、今までにないはっちゃけキャラになる能登さん……という、お互いにこれまでにない一面を楽しめる番組になっています。組み合わせの妙という意味では、日野さんと釘宮さん、小山力也さんを取り巻く女性たち、といった構図もその組み合わせならではのオリジナルと言えるでしょう。『アイマス』や『絶望放送』のように、独自の世界にリスナーを囲い込んで、継続とお約束で関係性を強固にしていく形も特異なパターンでのオリジナルですね。一方、伊藤静さんや生天目仁美さんのような、「誰と組み合わせても面白い、女の子が大好きな人たち」のラジオも人気です。このタイプは、番組名を差し替えても何も問題がないことが多く、webラジオでは非常に重宝されるタイプだと思います。

 そうした、無数に放送されるwebラジオと、旧来のアニラジのフォーマットを踏襲したAMラジオが両輪になっているのが今のアニラジ界だと思います。ソロで番組を引っ張るというのは相当にハードルが高く、個人のトーク力単体でAMラジオとして番組を成立させてるとなると、今の若手~中堅の世代だと田村ゆかりさんぐらいしかいないんじゃないかと思います。「その番組をやってるパーソナリティのファンなら面白い」という意味ならハードルがやや下がって、その分野のトップランナーが堀江由衣さんというところでしょうか。もっとも、文化放送はデジタルラジオの枠数に物を言わせてピンでの1時間、2時間番組をどんどんやらせてますから、そうした環境から新たなラジオスターが生まれてくることに期待してます。

 さてさて。そうしてラジオ界の主流になりつつあるフォーマットに沿った量産型webラジオですが、そうした番組のお約束に「番組ならではの挨拶」「番組の略称」「パーソナリティのニックネーム」などの募集があります。こういうお約束はリスナーも対応しやすいので、「お前全部のアニラジに送ってんじゃねーの」というぐらい、どの番組でも名前を聞く人もいますよね。こういうお約束って、中には「ないない」「かっこ悪い」と斜めに構えて拒否するタイプのパーソナリティさんもいるのですが、個人的にはこうしたお約束は、番組を構成する上で必要な儀式だと思っています。

 先ほどから書いている通り、こうしたフォーマットに沿った番組作りは、量産を前提にしたものです。しかしそうして数十、数百と制作される番組は、往々にしてパーソナリティやコーナーも“どこかで見た”ものになりがちです。その中で、その番組を固有のものとして認識してもらい、思い入れを持ってもらうためには、こうしたお約束を踏襲して、「一緒に番組の土台を作っていく」という儀式が必要なのではないかと思うのです。一緒に番組のガワを作り、お約束を共有した放送を重ねる中で、パーソナリティとリスナーの一体感を作っていくんですね。こってこての挨拶や愛称を馬鹿にする人には、「では、あなたはその分番組の個性や、リスナーを取り込むためのトーク・番組作りをしてる?」と問いかけたくなります。毒舌キャラで売ってるタイプの人は、ある意味当然の拒否だとは思うのですけどもね。

 さて、そんなあまたあるアニラジの中で、個人的に今、一番楽しんでいる番組がアークシステムワークスの『BLAZBLUE』公式WEBラジオ “ぶるらじ”です。杉田智和さん・近藤佳奈子さん・今井麻美さんの3人による番組で、3人+ゲストのトークと、トーク内容に合わせたSDキャラのアニメーションや挿入するイラストなどにとことんこだわった内容で、ラジオだけでなく動画としても楽しめるのが特徴です。

 で、この番組の何がいいって、この接点があまりないパーソナリティ3人を集めたことによるバランスの妙が素晴らしいんですよね。とにかく抜群にいいのが今井麻美さんと杉田智和さんの相性で、いつも通り暴走する杉田さんに対し、同じスピードで突っ走りながらツッコミの手数をバシバシ出していく今井さんというのが基本構図。ですが杉田さんの繰り出すネタを、結構な確率でキャッチできるツッコミ気質の女性声優って、かなり、非常に限られると思うんです。杉田さん自身も「今井さんうちにほしい」と言ってますしね。時としてその今井さんすらも置き去りにするぐらい杉田さんがコアなのも、どちらかというと日頃置き去りにする側の今井さんとしては新鮮です。

 ただ、コアなネタを共通認識として持ってるラジオって、時としてリスナーを置き去りにするんですね。今は亡き『週刊アニたま○曜日』シリーズとか、僕はおっさんたちと年代が一緒の漫画読みでプロレスも好きなのでゲラゲラ笑ってたのですが、果たしてネタが何一つわからないであろう10代のリスナーはどう思ってるのか、とふと心配になったりしたものです。ぶるらじはネタがコアからコアに走りそうになるところで、近藤さんがぽかーんとなるんですよね。で、今井さんも杉田さんも気づかいのできる人なので、そこである程度のブレーキがかかる。で、それとは別にイラストが上手だったり、朗読をしたりする近藤さんのほんわりした存在感が、番組に違ったアクセントを与えてるんですね。暴走する面白ボケ、暴走する面白ツッコミ、に対して3人目が一緒に暴走する必要はないんですよね。後ろをわたわたとついていく近藤さんが、実はバランスのいいペースを作っているのではないかという気がします。

 そんな“ぶるらじ”ですが、実は杉田さんやるな! と思ったのが第1回。今井さんに「イマジン」、近藤さんに「コンドム」というあだ名を一方的につけたところです。ぶるらじって、開始時点で聞いていたリスナーには、結構今井さんのファン、もっと言えばアイマス系のファンも多かったと思うんです。リスナーを増やすうえで『アイマス』のファン層の取り込みってのは非常に大きなメリットなんですけど、こうした「固有世界囲い込み型」のコンテンツのちょっとしたデメリットとして、内に向かって閉じてしまう傾向があるんですね。わかりやすい例で言えば、新谷さんが出演するラジオにはどこにでも絶望放送ネタを投稿する人っているじゃないですか。こういうの、気持ちはわかるんですが、よその番組のリスナーと特定のパーソナリティの間でだけ成立するお約束を他に持ち込むのって、新しい番組の世界の構築の上では結構ご法度だと思うんですね。その意味で、「ミンゴス」の名前の上に乗っかってる情報量の蓄積って、結構膨大なものがあると思うんです。たとえばぶるらじで“72”ネタが飛び交うようになったりすると、僕個人は萎えます。それは、その共通のコードを共有できる仲間たちの場でやるべきネタだと思うので。ただ、ラジオといえばどうしてもアイマスの今井さんを思い出すファンが多い中、杉田さんが「イマジン」「コンドム」というあだ名を押しつけたことによって、少なくとも杉田さんから今井さんと近藤さん、そしてリスナーからの距離が、等距離になったように思えるんです。じゃあ今後今井さんが「イマジン」になるかというとそんなことはないのですが、今井さんと杉田さんの間には「イマジン」「智君」という新しい共通のコードができ、近藤さんに関しても「コンドム」「こんちゃんです!」というお約束のコードが出来たわけで。「イマイアサミンゴス→ミンゴスの説明」という、「これまでのお約束コードの説明」をばっさり流して、無理やりなあだ名付けで上書きしたのって、結構新番組のカラーを決定する上で大きいアクションだったんじゃないかな、と思うんです。今はアイマスファン以外にもおもろいよ、とはっきり言える番組なので。

 番組としてのネックは、杉田さんのスペックが高すぎて、対戦コーナーがなかなか成立してないところかなと思います。杉田さんがシュールなネタに走った時にゲストが勝ちを拾って、頭の柔軟さを競うようなクイズでは杉田さんが強すぎるのが現状なので。近藤さんは「ふつうにがんばってる!」というのが役どころなので、ここはひとつ今井さんの奮起に期待して、天玉ゲットしてほしいところです。キスでもいいけどね。

 本当はもうひとつ、男性パーソナリティの強力な条件特性のひとつに「女性声優と絡んで必要以上に異性を感じさせない、変態、あるいはお兄ちゃんになれる能力」についても書くつもりだったのですが、長くなっちゃうので、本日はこれにて。

 それにしても女性声優3人に囲まれて、「くやしい、でもクリムゾン!」を2回押す杉田さんはちょっと頭がおかしい。大好きです。
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2009/06/19 23:59 | Comments(0) | TrackBack() | 雑記(アニメ系)
「Prism」ってキャラソンなの?
 最近、オリコンチャートを声優さんのCDやアニソンが席巻することが珍しくなくなってきました。先だって水樹奈々さんが、ついに念願のオリコン1位を達成したことが大きなニュースとなりましたが、今週も「桂ヒナギク with 白皇学院生徒会三人娘 starring 伊藤静 with 矢作紗友里&中尾衣里&浅野真澄」が歌う「本日、満開ワタシ色!」がオリコンウィークリー7位に、アルバムでも「鏡音リン・レン featuring 下田麻美」の「Prism」が26位に新規ランクイン。桜高軽音部の「Don't say“lazy”」や水樹奈々さんの「ULTIMATE DIAMOND」もしっかり上位に残って存在感を発揮しています。

 このような「声優・アニソン系CDのランクイン」の嚆矢となったのは、やはり林原めぐみさんでしょう。1991年頃から本格的な歌手活動を開始した林原さんは、97年のアルバム「iravati」でオリコンの記録では27万枚を販売。女性声優の歌手活動自体がほとんど無かった時代に道を切り開いてのこの数字は、やはり不滅のものといえるでしょう。当時の林原さん関連CDの売り上げには、ほぼ全て僕の1枚が含まれています(笑)。そして林原さんが入り口の扉を開いたあと、「ライブ」での活動を精力的に行い、声優アーティストというポジションを確立したのが國府田マリ子さんであり、椎名へきるさんです。

 その時代に比べて、アニソンの上位ランクインが珍しくなくなった今、アニソン・声優CDがより売れているのか? と言えば、そんなことはありません。消費者が音楽を購入するルートが多様化した結果、「音楽CD」というマーケットが縮小傾向にあります。しかしそのマーケットの中で、アニソンは以前とそれほど変わらず売れているために、相対的にアニソンのチャートにおける番付が上がってるんですね。そうした中、声優・アニソン界隈で一番売れているジャンルは? と言えば、キャラソンです。そして一番売れないジャンルは、と言えば、これもまたキャラソンなのです。

 ここ数年の男性向けキャラソン市場の最大の特徴は、強烈な寡占化です。『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』『けいおん!』といった、京アニ作品を中心とした作品のCDを“みんな買い”、それ以外は“みんな買わない”という、特異な右へ倣え型の市場が形成されているのです。この流れに非京アニで割り込んだのは、最近だと『マクロスF』ぐらいでしょうか。「もってけ!セーラーふく」が17万枚売れた、「涼宮ハルヒの詰合」が13万枚売れたと聞くとキャラソンが売れるように錯覚しますが、実際は一般のキャラクターソング市場では、歌い手にかなりの人気声優を起用しても、1000枚~3000枚が上限というのが現状です(※記載を若干変更しました)。歌い手ではなく作品に依存するのがキャラソンの売り上げなんですね。

 だからこそ、“固定ファン”を抱え込んだ作品というのは強く、『アイドルマスター』や『ハヤテのごとく!』のように、コンスタントにキャラソンが売れるタイトルというのは極めて例外的です。主題歌に限れば、『とらドラ!』『みなみけ』などの数字の取れるタイトルもあるのですが。

 と、売り上げ動向に興味がある人には「基礎知識」と言えることを書き連ねてきたのですが、なぜ今こんなことを書いたかと言えば、下田麻美さんの「Prism」のオリコン26位、7000枚という数字をどう受け取っていいのかに戸惑っている人が結構いるように感じたからです。若手声優のデビューアルバムと考えた場合は、7,000枚という数字は破格の大成功です。しかし、初音ミク界隈のCDと考えると、オリコン上位ランクインはもはや珍しくありません。ですが、「ボーカロイド楽曲を中の人がカバー!」という事例は史上初めてですし(※KAITOの風雅なおとさんによる「卑怯戦隊うろたんだー」カバーが先とのご指摘を頂きました。)、そもそもボーカロイドの市場における市場価値という意味では、現時点では緑の子と黄色の子の間には大きな隔たりがあるのが実情です。ですが、しかし。いろんなファクターが右往左往しており、受け取り方が非常に難しい結果になっているなぁというのが率直なところです。

 個人的な捉え方でいえば、「Prism」は“広報チャンネルとしてボーカロイドを使った”下田麻美さん個人名義CDと考えています。今の時代、CDを売るためには、「広さ」と「高さ」の両方のハードルを超える必要があります。まず、こんなCDがあり、こんな魅力があるという、商品の存在そのものを「広く」知らせることが条件になります。TVアニメの主題歌タイアップなどは、そのもっともシンプルな近道です。しかし、楽曲と商品の存在を広く知らせても、そこから先、「その商品に対し1000円~3000円の投資をしたい」と思わせる高さのハードルがあります。その高さを突破するのに必要なのが、「楽曲自体の力」「歌い手の魅力」「歌い手に対するサポーターとしての支援」です。

 このベクトルの違うハードルを越える上で、「幅広く宣伝する」という部分で、ボーカロイドを中の人がカバーするという形式をとることによるメリットは計り知れません。そして、楽曲の魅力と言う点でも、数限りないボーカロイド楽曲の中から、数十万、数百万といったアクセスの支持を受けた楽曲を選別してチョイスできるメリットは非常に大きな物があります。

 ただ、ボーカロイドによる支援が期待できるのは、潜在的な顧客層に対するファーストコンタクトと、楽曲の素材が出揃うまで。そこから先、楽曲にどんな味付けをして、どんな風に歌うか。曲に込めた想いをどんな風に取材などで聞き手に届けるか、それらは下田さん個人の領分だと思います。いわゆる「キャラクターソング」と「Prism」との最大の違いは、明確な形を持った「元キャラクター」というものが存在しないことです。公式にはパッケージイラスト以外を用意しないボーカロイドは、作り手と聞き手の数だけ違った顔を持っています。その中から、“たくさんのリンレンを愛する人々の中にあるイメージ”、そして“下田さんの中にあるリンレンのイメージ”を掬い上げ、形にする作業というのは非常にクリエイティブで、どちらかといえばゼロからキャラクターを作り上げる舞台に近いものだと思います。たぶん、予備知識の無い人にリンレンの設定画と「Prism」を渡して聞いてもらったら、歌手としての評価よりも前に「声優さん(役者)ってすげーな」という感想を持つのではないかと思うのです。ある意味完璧な歌い手であるボーカロイドに対して、人間ならではの演技・芝居というアプローチをぶつけるのは、個人的には非常に正しく、面白いアプローチなのではと、思います。

 「Prism」は個人名義の音楽CDなの? キャラクターソングなの? という区分けに関しては、どっちでもないんじゃね、というのが正直なところです(笑)。むしろドラマCDや朗読といった、役者として演技をするCDに近いのではないかと。その表現形態のひとつが、たまたま“歌”だったという。たびたび引き合いに出しますが、釘宮理恵さんの一連のキャラクターソングに対する取り組みが、まさに「歌を通して演技をする」という感じだと思います。

 そんなわけで、「Prism」は、ボーカロイドという存在を媒介することでたくさんの人に音を届けつつも、実質としての中身には下田麻美の魅力が詰まっていくという、なんだかずるっけな商品になっていると思います。ですが歌手として役者としての魅力的な下田さん、そして鏡音リンレンの楽曲という魅力的な素材があれば、それをうまくサポートしてうまいこと売るのは周りの大人たちの仕事だと思うのですよね(笑)。それでCDがたくさん売れて、僕のような「ミクは結構知ってるけどリンレンやルカの楽曲はそれほど詳しくないのよね」というにわかがリンレンの元楽曲の数々に触れるきっかけができたのですから、こういう関わった“みんなで幸せになろうよ”型のビジネスにはがんがん広がってほしいところなのです。

2009/06/18 23:59 | Comments(6) | TrackBack() | 雑記(アニメ系)
ゲームの進化の焦点は入力デバイスへ
 6月2日~4日、ロサンゼルスで世界最大のゲーム・エンターテイメント見本市“E3 2009”が開催されました。ここ数年、規模縮小傾向だったE3ですが、今年はかつてに近い規模での開催となりました。国内ではさまざまな兼ね合いから東京ゲームショウなどには出展しない任天堂ですが、E3には参加。SCE、マイクロソフト、任天堂の3大ハードホルダーが揃って新発表を繰り広げる勝負の場がE3なのです。僕は2006年、同じくロサンゼルスで開催された縮小前最後のE3に参加したのですが、その時の会場は“次世代ハード”一色。プレイステーション3の発売時期と価格を発表(発売前に改定されましたが)したSCE、そしてゲームキューブの開発資源の流用により、『ゼルダ』『メトロイド』など錚々たるラインナップを揃え、Wiiの新しいゲームデバイスが大きな可能性を感じさせた任天堂、という感じでした。マイクロソフトは一年先行していたこともあり、2006年に関してはさほど存在感が無かったのが正直なところです。

 その後3年がたち、“次世代”と呼ばれたハードたちもかなりこなれてきました。今年のE3では、任天堂は「既存タイトルの続編を中心とした分厚いラインナップ」、SCEは「オンライン版FFXVIという巨大な目玉」を中心にすえてきました。マイクロソフトは「本日お見せするのは売り上げチャートやグラフではなく、未発表のゲーム 10本。」という鮮烈な挨拶からスタートし、隠し玉としてXbox 360版のメタルギアソリッドを発表するなど、プレゼンテーションの巧みさで他社を圧倒しました。個人的には、タイトルの豪華さなら任天堂も負けてはいなかったと思うのですが、やはりイメージ作りって大事ですよね。

 しかし、今回注目したいのは、やはりPS3のモーションコントローラとXbox 360の「Project Natal」です。既存のWiiなどで採用されているのに近いコントローラーデバイスとEyeToyの延長……といった印象のPS陣営に対し、マイクロソフトは“コントローラーが不要、プレイヤー自身がコントロールデバイス”というコンセプトを提唱。テレビの前で手ぶらで様々なゲームプレイを見せる姿をムービーで見せ、新しい何かが始まる予感、新たな時代を感じさせる技術という意味では、プレゼンテーションはマイクロソフトの圧勝に終わりました。ゲームにおけるインタラクティブな要素の分野ではSCEはマイクロソフトよりずっと先を走っていたはずですし、数年前の時点でPS3で『THE EYE OF JUDGMENT』など、カメラを用いたかなり先進的なシステム(=遊戯王のコミックの世界だった、カードモンスターの視覚化)にチャレンジしていました。ですが、任天堂がWiiで仕掛けた「映像ではなく、入力デバイスの変化による新しいゲーム表現」という戦争に対して、より鋭敏に反応して実用デモのレベルまで仕上げたマイクロソフトの奇襲が成功した、というところでしょう。SCEの開発チームは歯噛みしてるんじゃないでしょうか。特に、話題の焦点が映像美から入力デバイスに移る中、そのワンターム前のプレゼンそのものをしてしまった『FFXIII』チームは気の毒でした。もっとも話題の上では主に、自社の『FFXVI』に食われてましたけれども。

 ですが、本当に重要なのは今回のイベントにおける勝敗ではありません。これまではWiiの「枯れた安価な技術+斬新な入力デバイス+アイデア」というコンセプトに、「最新のゲーム・映像テクノロジー」で対抗するという他陣営、という構図でした。特に久夛良木さん体制下のSCEでは「こんだけものすっごい技術を詰め込んだハードなんだからユーザーはついてくるっしょ」という意識が見えていたように思えます。しかし、ここに来ての他ハードでの新規デバイスの採用は、立ち上げ後3年の前半戦では、Wiiが事実上勝利したことを認め、膝を折ったに等しい出来事です。しかし任天堂は安穏としてはいられません。なりふりかまわず新入力デバイスの導入に他社が踏み切ったことで、今後はXbox 360やPS3のハードスペックに物を言わせた新たなラインナップが登場することでしょう。純然たるハードとしてできること、できる表現で言えばWiiはPS3や360には太刀打ちできないわけで、少なくとも今後2年ほど、ゲームショウなどでは、任天堂は他陣営が見せる先進的な表現に対して、ブランド力とアイデアで対抗する、ちょっとつらい時期が続く可能性は高そうです。

 いずれにしても、「容量」と「処理能力」、そして「映像表現」という限られた分野での競争に終始してきたゲーム業界ですが、入力デバイスの分野に競争が持ち込まれたことで、今後飛躍的な進化を遂げる可能性があります。こうした「コントローラー以外の入力デバイスを用いる」というアイデア自体は1984年の時点で、すでにファミコンの『ワイルドガンマン』で実現されており、やっぱり横井軍平は怪物だと思うしかないのですが、今後数年の長足の進歩は、ゲーム性そのものを改革してくれるんじゃないかという予感があります。

 と、ここでちょっと脱線。

 いつの世も技術を発展させてきたのは、エロの分野です。日本でもPCにおける3D人体表現のジャンルでは、美少女ゲームメーカーのイリュージョンがちょっと別格のような扱いを受けてきました。やはりPCベースでがっつり力を入れて開発してる国内ゲームメーカーとなると、アダルトの方が強いですからね。そんな中、ちょっと気になるソフトが6月26日にTEATIMEより発売される『Tech48』です。なんとwebカメラを同梱し、フェイストラッキングシステムを搭載。画面の中のキャラクターが、スクリーンのこちらを見つめている状況を再現しています。カメラの前で左右に動けば視点がそのとおりに動き、画面に近づけばキスができ、下のほうに頭を下げればスカートの中を覗き込める(!)という、ある意味夢のシステムを搭載しているようです。

 ま、生まれたての技術ということでどれぐらいのことができるのか、まだわからない部分はあるのですが、こういう双方向性的な技術と、家庭用ゲーム機の入力デバイスの進化の流れを見ていると、ちょっと夢が膨らむ部分ではあります。たとえば『アイドルマスター2(か3)』では、ハイターッチ! がもっとインタラクティブにできるのではないか。プロデューサーさんのえっち! と怒られてしまうのではないか。その場合のゲームのレイティングはどうなってしまうのか。……夢と妄想は尽きません。

2009/06/17 23:59 | Comments(1) | TrackBack() | 雑記(ゲーム系)

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