忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2025/02/09 11:44 |
“ゲーム脳”は存在するのか?
 “ゲーム脳”と聞くと、大抵のゲームファン、オタク層は顔をしかめるのではないでしょうか。元々“ゲーム脳”とは2002年に、日本大学文理学部体育学科の森昭雄教授が提唱した概念で、「ゲームに熱中する人間は認知症患者と同じ脳派パターンを示し、大脳皮質の前頭前野の活動レベルが低下、思考が衰える」といったものです。彼の著書のデータの信憑性や提示の仕方には各方面から批判がされており、ゲームに批判的な層にとって心地よい疑似科学の類である、という評価が広がっています。濃い目のネットユーザーなら、「ゲーム脳(笑)」という反応が一般的でしょう。

 このような議論がされる場合、ネットのオタク系コミュニティにおいては、ゲーム脳論者=情報に流されやすい馬鹿、といったレッテリングが多く見られます。性的要素や犯罪傾向の強いアダルトゲームに関しても、論調は変わりません。

 しかし、殺戮を繰り返すゲームや、性犯罪をテーマにしたようなゲームは、本当にプレイヤー、特に青少年に影響がないのでしょうか? 僕は、影響は大アリだと思います。僕の意見を一番ストレートに代弁してくれている作品は、うめさんの「東京トイボックス」です。この作品で、ソリダスワークスの仙水局長は、「人様の人生の時間を何十時間も拘束しておいて、後に何も残らないようなものは作っていない」というニュアンスの発言をしています。物語性のある作品を何時間、何十時間。オンラインゲームであれば何百時間、何千時間とプレイして、プレイヤーに対する影響が何もない、なんてことがあるでしょうか。アクション映画を見終わった後、気が大きくなってカンフーのポーズをとった覚えはありませんか? 人生を変えるような小説・本は1冊もありませんか? メディアを問わず、没入型のメディアは少なからず、その人の思想・信条──そしてその核である脳に影響を与えるはずです。

 リアルに人間を斬り殺すゲームを、子供に1日10時間ずつやらせてみました。成長上何らかの影響があるのは、当然じゃないですか? 犯罪的要素があるアダルトゲームを例にするなら、たとえば覗き見を趣味にしている教授が、毎日盗撮・痴漢物のゲームをプレイしていたらどうなるでしょうか。その教授は疑似体験の反復によって、心理的障壁が低くなって、実際に性犯罪を犯してしまうかもしれません。あるいは、ゲームプレイによって鬱屈した性衝動を吐き出すことによって、現実世界で実行に移すことを自制できるかもしれません。いずれにしても、まったく影響がない、なんてことはありえないのではないでしょうか。僕は基本的に、画一的な“ゲーム脳”論者に代表される規制派に与する立場ではありませんが、「規制されたら困る」という立場に立って、“ゲームが与えうる影響”に関して、ただ嘲笑して流す態度というのも、それはそれで不誠実なのでは……と思います。

 子供がゲームに触れる時間は規制すべきだ……という意見を最初にオープンに発した人物って誰だろう、と考えると、「ゲームは1日1時間!」と朗らかに語っていた名人がいたのを思い出しました。そこで以前、ご本人に「最近のゲームはプレイ時間が伸びていますが、今でもゲームは1日1時間とお考えですか?」と聞いてみたことがあります。その時の答は、「君たちは好きにすればいいんだよ。高校生ぐらいかな、そこからは自分で判断すればいい。でもね、子供はゲームは1日1時間。子供はね、外で友達と遊ぶべきだよ」というものでした。んー、α波がどうこう言うより、よっぽどストレートで説得力があるような気がします。
PR

2007/11/29 15:55 | Comments(1) | TrackBack() | 雑記(ゲーム系)
Wiiに見る広告スピードの変化
 新作ゲームの情報には情報解禁日というものがあり、それ以後、その作品の情報が世の中に出回ります。中には特定メディアのみ解禁日が早く、○○で第一報後、他メディアでも解禁……といったパターンもあります。こうした新タイトルの発売タイトルは、かつては数ヶ月、大作では半年ぐらい前から情報が公開されることが多かったように思います。これは、情報の伝達における「ゲーム専門誌」の比重が大きかったからです。小回りの効く週刊誌はいいですが、月刊誌などでは、どれほど作品を紹介したい気持ちがあっても、1ヶ月スパンの刊行スケジュールは固定で、ページ数も有限ですから、数度にわたって特集や情報を小出しにしようと思えば、どうしても数ヶ月単位での広報期間が必要になるのです。今でも、やりこみ要素が強いような、ゲーマーがお客さんのタイトルを主に扱っているメーカーさんには、早くから小まめに情報を送ってくれるところがあります。こうしたメーカーさんは、webメディアにとってもまめにネタを提供してくれるのでありがたいです。

 しかし任天堂に関しては、DSのヒット、そしてwiiに繋がる流れの中で、このペースに若干変化が出てきています。もちろん、ハードの購入を牽引するような目玉ソフトに関しては、他ハードメーカーと同様に、早々と開発を発表し、ユーザーを誘引する材料にしています。しかし、日常的にリリースされるソフトに関しては、かなり発表→発売のサイクルが早くなっているのです。これは、DSやWiiの購買層が、一般層に広く広がってきたことと無縁ではないでしょう。

 かつてのゲーム広報戦略では、このメーカーが好き、こんなジャンルの作品が好き、といった特定の顧客層に対してリーチするために、そこにマッチした広告媒体で宣伝を打つ必要がありました。しかし、今や「石を投げればDSに当たる」といった状況で、特定のメディアで宣伝を打つメリットが、それほど大きくありません。A誌に半年に渡って広告を掲載したところで、当然A誌の読者層にしかヒットしません。それなら限られた媒体に長期的に宣伝をさせるより、広告代理店を介して、短期間に全方位から大量の広告をばら撒いた方が、同じ予算ではるかに効果的な宣伝効果を上げることが出来るのです。JRで山手線を利用する人なら、WiiやDS絡みでの絨毯爆撃的な広告に覚えがあるでしょう。つまり、狭く深く掘り下げていかずとも、無差別に広告の弾幕をばら撒けばターゲットの顧客にヒットするだけのシェアを手に入れたからこそ、任天堂は長期の広報期間を必要としなくなりつつあるのではないでしょうか。例外として、「子供・若年層向け」に関しては、従来のペーパーメディアを介した広報を重視しているように見えるのが、任天堂という企業の隙の無さかもしれません。

 この辺の話は、突き詰めるとゲームメディア(とそこに書いているライター)が不要になる方向に行くので、ちょっと胃が痛いんですけどもね。「社長が訊く Wii」のような、あんな面白いコンテンツをオフィシャルの側から出されてしまうと、僕らは立場が無いよなぁ……という話は、よく身内でも持ち上がります。

2007/11/26 16:46 | Comments(0) | TrackBack() | 雑記(ゲーム系)
各ゲームハードの開発ハードル
新作ゲーム紹介関連の仕事をしていると、最近耳慣れないメーカーが増えたな、と思うことがあります。そのパターンにはふたつあって、これまでゲームにはあまりタッチしていなかった異業種が参入してきているパターンと、外資が絡んでいるパターン。異業種参入に関してはやはりDSが顕著で、素材をもらったりするにも、「え、これどのメーカーのどの部署に連絡取ったらいいの?」と悩むこともしばしばです。

というような話を業界の大先輩としていると、「そういう傾向はあるけど、プレイステーション黎明期はもっとすごかったよ」とのこと。…なるほど、言われてみれば。DSに参入してくる企業は結構な割合で、紙媒体などで持っているノウハウ、リソースをDSに転用して一山当たればラッキー、という感じで、ゲーム業界としては馴染みがなくても、企業名自体には覚えがあることが多いです。しかし、PS参入当時は、安価な開発環境の提供と、ロムメディアからディスクメディアへの以降による生産管理性の向上から、それまでは手が出せなかった新興ソフトハウスから、面白い商品が出ていた印象があります。ファミコン黎明期のような、どこも手探りで開発していた本当のジャングルに比べれば、技術的蓄積は進んでるわけですしね。

そう考えると、PSの後継機種たるプレイステーション3の開発難度が高く、コストやマンパワーを要求するために、中堅メーカーでも新作開発を躊躇しがち…という現状は、非常に歯がゆいものがあります。ソニーもそのあたりは当然考えていて、ゲームソフト開発環境の支援などを打ち出してきました。もっと早くにほしかった一手ですが、今後の動向にも注目ですね。開発支援の分野に関してはマイクロソフトが一歩先を行っていて、開発メーカーに対する手厚いサポートで知られています。ゲーム開発ツール「XNA Game Studio Express 1.0」の無償提供も2007年1月からスタートしており、開発の裾野を広げる意味でもマイクロソフトが一歩先を行っているのが現状ですね。…あくまで「世界では」ですが。

一方、任天堂は伝統的に、自社開発とセカンドパーティを重視する政策をとってきました。これは米国でのアタリショックを見ているからで、クソゲーの粗製濫造が進めば、最終的には市場全体が信頼を失う……と考えてのことです。だから、ハードメーカーとそのパートナーこそが最も信頼できるソフトメーカーでなければならないという任天堂の発想は、全くもって正しいと思います。サードの支援に力をそれほど入れなくても、任天ハードは基本的に開発ハードルが低いため、ハードシェアさえ確保すれば参入企業に困らないのは、DSの現状を見れば明らかですしね。

しかし、任天堂のハードが、PS3に代表される高スペック機に比べて開発が容易であれば、任天堂のハードで成功することはたやすいと言えるでしょうか? 答はNOです。DSは、「参入は容易だが、ブレイクすることはなかなかに難しい」市場になりつつあります。DSで出せばなんでも売れるという幻想は過去のもので、最近は二番煎じ……いや、五番煎じ、六番煎じ的なソフトは全く売れないケースが増えています。開発が容易な分、任天堂ハードは優れたアイデア、あるいは普遍性のあるコンテンツ価値を要求するのです。

「アイデアさえあれば、中小メーカーでも勝負できる」というのは、なんとなく耳に心地よい言葉ですが、実際のところ、ゲーム開発の企画を通せる立場にある人が特異なアイデアを出せる発想力を持っていて、企業側もそれを通す柔軟性を持っていて……というのは、なかなか稀有なことな気がします。最近だと面白いのはSNKプレイモアとかでしょうか。少なくとも、そうした人材と開発環境を広く育てる土壌が、ここ10年の業界に潤沢にあったとは言えません。任天ハードでは任天堂ソフト以外は売れない、とよく言われますが、それは「ハード面でのハードルが低いかもしれないが、ソフト制作のアイデア面でのハードルは決して低くない」からこそ生まれている気がします。

誰もが宮本茂になれるわけではない。一方、任天堂の内部では、任天堂の巨大資本と手厚いサポートをバックに、着々と宮本チルドレンが育ってるわけです。簡単には一人勝ちの状況は変わらないと思います。

2007/11/22 12:46 | Comments(0) | TrackBack() | 雑記(ゲーム系)

<<前のページ | HOME |
忍者ブログ[PR]