最近本当によく聞かれるんです。
「ラブライブ!ってどうですか/魅力はなんですか」
「ラブライブ!の何がいいんですか?」
これに対して僕は楽曲の素晴らしさ、全曲を畑亜貴が担当する詩の世界観、PVのクオリティ、そのPVとシンクロするダンスと生歌の素晴らしさ……といった要素を語って来ました。その結果ハマってくれる人もいれば、そうでもない人もいて。
相性の問題はあるとはいえ、何がその差なんだろう…というのを考えた時、↑の質問の温度差に思い至ったのです。僕はどちらの質問にも“『ラブライブ!』の魅力”を語って来ました。ですが、後者の人たちの質問の裏にあるのは、「何故中里をはじめとした多くの人間は、こんなに熱狂的にオチたのか」が純粋にわからない戸惑い、だったのです。
後者の質問に適切に答えるには、単純な客観的魅力の列挙ではなく、「何故自分がこうなってしまったのか」。自分の内面で起こっていたことを語るべきだったのです。
なので、今回は“僕が『ラブライブ!』に引き寄せられた理由”を順を追って解きほぐしてみたいと思います。
●最初は全然ピンとこなかった。
『ラブライブ!』というコンテンツを知ったきっかけは、たぶん『ミルキィホームズ』プロデューサー・のぶちゃんPを筆頭とする業界の人たちが「『ラブライブ!』ヤバいw」といった発言をよくしていたことだったと思います。一応僕もコンテンツ業界の端っこでライター業をしている者ですから、どんな作品か気になって検索します。そして、PVがあるのか…と1stシングル「僕らのLIVE 君とのLIFE」を見ました。
そして。「ふーん」と思いました。
ピンと来なかったのです。この理由を自分で考えてみます。
・全体を捉えたカメラワークが多く、動きが画一的で、個のキャラの魅力がよくわからなかった。ふわっとした印象だけ残った。
・『ミルキィホームズ』の三森さん、徳井さん、fripSideの南條さん以外の役者さんを、あまり知らない。知らないので、興味をかきたてるフックが少なかった。
・自分が応援している『アイドルマスター』を脅かす(笑)コンテンツなのか、ライバルを見定める目で見ていた。
概ねこのあたりだったと思います。
それからしばらく、僕は「『ラブライブ!』か。ふーん。それよりアイマスの6周年ライブツアーとアニメ追いかけなきゃ!」とスルーしてしまったのです。馬鹿!
●内田彩の涙にぶん殴られる。
再会は意外に早く訪れました。2011年9月、μ's3rdシングル「夏色えがおで1,2,Jump!」の発売を記念したイベントが高田馬場BIGBOXで行なわれ、僕は取材ライターとして会場を訪れました。そのイベント自体は打ち上げの名前通り、メンバーと一緒に乾杯して、軽食を食べながらトークを見る…というゆるくて普通の物でした。
ところがその壇上、ランティス木皿さんが軽い感じで「人気投票の中間発表です」と、第3回の中間発表をしたんです。『ラブライブ!』が人気投票でセンターを決めたりすることは、事前情報で知っていました。ところが、
1位 矢澤にこ(CV.徳井青空)
2位 園田海未(CV.三森すずこ)
3位 高坂穂乃果(CV.新田恵海)
4位 南ことり(CV.内田彩)
という順位が発表されたところでですね、内田さんがぽろぽろぽろっと、突然大粒の涙を流したんですよ。自分でも止めようとしてるのに押さえられなくて、泣き笑いみたいになってる。これがもうなんか、ショックだったんです。まだ中間発表だよと。仲間が泣いてるわけで、1位のにこ役の徳井さんも手放しで喜んじゃいけない感じになっていて、これはなんだと。よくわからんが異様なリアリティを感じてしまったのです。
ああ、少なくともこの内田彩さんは、中間発表の結果にここまで心をかき乱されてしまうぐらい、本気でこのコンテンツに入れ込んでいるのだと。その涙が非常に気になってしまったのです。これは、ちょっとこの作品を調べてみようと。
その結果、第1回の総選挙では内田さん演じることりが最下位だったこと。今回の人気投票のベスト3にはシングルCDのリリース権が与えられること。中間発表前はことりは圏内にいたこと(これはちょっとうろ覚えです)などがわかってきました。
内田さんの涙の理由となったであろうμ'sの歴史をなぞっているうちに、このコンテンツはちょっと大変だぞと思うようになりました。そして腰を据えてPVをチェックしなおして、名曲と名高い2nd「Snow halation」のPVに出会いました。思えばこの時点でほぼ半分ハマってたのだと思いますが、僕の場合は内田さんの涙をきっかけに、予断を全て取り払って『ラブライブ!』というコンテンツに向き合えたのでした。
●μ's First LoveLive!
年が明けて2011年。『ラブライブ!』μ'sが最初のライブをやるということで、知り合いの編集さんに頼んで取材を担当することになりました。この頃にはリリースされている楽曲は全てある程度聴き込んでいましたが、やはり、ライブでその真価を感じてみたかった。
そしてライブが始まってほどなくして、このコンテンツは思っていた以上にとんでもないぞ…と自分の認識が甘かったことに気がつきました。
通常アニメ発で声優さんがライブをやる場合、まず最初に必要な作業は「省略」です。声優はダンサーではありません。声の役者です。なのでそれぞれの技量に合わせて、現実に合わせたダンスをつけていくわけです。といってもコレオグラファー(振付師)や舞台監督がついてライブをやるような作品は一握りですから、出演者の中でダンスが得意な人が周りの振り付けの面倒を見るケースも多いです。
『ラブライブ!』のようによく動くダンスPVの場合、その要素をとりだして、踊りやすくしながらもそれっぽくするのが重要です。足りない場合は、バックにプロのダンサーさんを入れましょう。
ところがですね。現地で見たμ'sのメンバーは、なんかあの人たちPVのままに踊ってるんですよ。
その後ろでPV流して、おんなじことやってるんですね。
えええええええ。
僕は仕事柄声優さんのライブを取材することが多いですし、その裏側もちらっと垣間見ることがあります。そうすると、たぶん初めてライブを見る人に比べるとわかってしまうんですね、この彼女たちの初ステージがいかにありえないものか。単純にフリを全曲入れることもですが、9人の統一したフォーメーションを維持すること、何よりあのダンスを踊りながら生歌を聴かせること。
舞台上のパフォーマンスの裏にある膨大な努力が透けて見えたことに、改めて打ちのめされたのです。
●ライターとしての陥落
こうしたライブに行くとき、僕はぼんやりどんな記事にするかな、と事前に幾つかアイデアを転がすことがあります。予断を持ちすぎると独りよがりになってしまいますが、ある程度テーマを持って注目点を絞りこんだほうが、拾える情報量が増えるので。で、この時は裏テーマとして「やっぱりみんなミルキィ組をよく知ってるだろうし、僕も知ってる。今回は歌手やグラビアなど、他の出身の人ならではの良さを見つけよう」と思ってたんです。
ところがここでも『ラブライブ!』は僕の予想を軽く打ち砕いてくれました。結果として、僕がこの日一番見入ってしまったのは、「私たちは未来の花」をソロで歌う三森さんの、今まで見たことのないような輝きだったのです。三森さんは意外とコンディションや感情がステージに出るタイプだと思うのですが、この日のパフォーマンスには圧倒されるほかありませんでした。同じく『ミルキィホームズ』にも参加してる徳井さんも、ひきこもり的な自虐ネタのイメージがあったので、アンコールで彼女が誇らしげに見せた力こぶにまたぶん殴られた気がしました。これ以降僕は「そらまるの電池が切れる」的なネタを冗談でも言わなくなりました。
そしてライブの最後。
本編ラストナンバーの「Snow halation」で舞台から押し寄せてくる存在感と感情の洪水を真正面から受けた感覚は、今でも忘れられません。
アンコールで、やり遂げたμ'sのメンバーたちの達成感と感謝にあふれた輝きも。
そのこちらの想像を全て超えてくるところに、ライターとしてもとてつもなく面白く感じたのです。なんとか、この魅力を伝えることはできないだろうかと。
●どこかで、撃鉄が落ちるように転換点が来る
これはライブレポなんかにも書いてるのですが、1stで非常に面白かった現象として、一曲目の「僕らのLIVE 君とのLIFE」と、アンコールの「僕らのLIVE 君とのLIFE」が全く違う楽曲に聴こえる経験をしました。パフォーマンスとしての完成度を追求した1曲目と、感情と客席への愛情を爆発させるアンコールでは驚くほど違うんですね。
これと似たことが、しばらくしてから起こりました。
昔ピンとこなかった「僕らのLIVE 君とのLIFE」のPVを見たら、なんかすごくいいんですよ。その後作品を知るにつれ、この楽曲とPVはますます好きになりました。
何度かの布教の成功と失敗を経て、わかったのは、
・1st「僕らのLIVE 君とのLIFE」は、作品やキャラを知るほど好きになるスルメ曲である
・初めて見てハマる人は、むしろ2nd「Snow halation」に衝撃を受ける
・1stから5thを続けて見ると技術の進歩がわかるが、そこまで行く前に結論を出す人が多い
といったことでした。一発目がスルメ曲で、PV技術的にも発展途上なんですね。
多くの『ラブライブ!』に魂を持っていかれた人は、どこかで転換点を迎えると思うのです。それがライブで生のパフォーマンスを見た人なこともあれば、第一印象でビビッと来た人もいるでしょう。僕は結構時間がかかった口です。
どこかで一度ガチンと価値観の転換が来ると、見え方が全く変わるんです。
たとえば最初に挙げた声優さんの中に知らない人もいる、ということは、知らない人を知っていく喜び、新しく飛び込む世界で成長する姿を見る嬉しさに変わります。1stPVの技術的な未完成さは、その後いかにどんどん良くなっていったかを知る物差しになります。
TVアニメが放送されて、多くの一見さんが「で、この子はどんな子なんだい」と見ている時に、僕らは海未の背中を押すことりの笑顔一発でもう幸せになっていたりするんです。そうした見え方や体験のギャップが、周りの怪訝な顔をしている人には「…こいつはなんでこんなに幸せいっぱいなんだ?」という疑問につながっていたわけです。
そりゃ、表面的に良さを並べてもわかりませんよね。
なので今は、説明を重ねるよりも、ストレートに魅力が伝わりやすい2ndPV「Snow halation」と、中の人がどれだけ頑張っていてすごいかがわかるライブPVダイジェストを見てもらっています。そして何かを感じたら、アニメやライブでμ'sの9人を見てほしいと伝えています。
その中から、一人でも一緒にこの作品の素晴らしさを共有できる人が増えたらいいのですが。実は一昨日『ラブライブ!』のベストアルバムが発売され、現在アニメの第1話がバンダイチャンネルで一週間無料配信中です。
少し興味を持って触れてもらえば、きっと後悔はさせないと僕は思っています。
長文にお付き合い下さり、ありがとうございました。
もっと読んでもいいという奇特な方は「リスアニ! Vol.10.1 別冊キャラクター・ソング」でがっつり『ラブライブ!』を紹介させてもらってたり、今月(2013年1月)26日発売の声優パラダイスvol.15に『ラブライブ!』新年ライブ密着レポートが載る予定ですので、ご笑覧頂けると幸いです。
※アンコールの「僕らのLIVE 君とのLIFE」について勘違いの記述があったので修正しました。
「ラブライブ!ってどうですか/魅力はなんですか」
「ラブライブ!の何がいいんですか?」
これに対して僕は楽曲の素晴らしさ、全曲を畑亜貴が担当する詩の世界観、PVのクオリティ、そのPVとシンクロするダンスと生歌の素晴らしさ……といった要素を語って来ました。その結果ハマってくれる人もいれば、そうでもない人もいて。
相性の問題はあるとはいえ、何がその差なんだろう…というのを考えた時、↑の質問の温度差に思い至ったのです。僕はどちらの質問にも“『ラブライブ!』の魅力”を語って来ました。ですが、後者の人たちの質問の裏にあるのは、「何故中里をはじめとした多くの人間は、こんなに熱狂的にオチたのか」が純粋にわからない戸惑い、だったのです。
後者の質問に適切に答えるには、単純な客観的魅力の列挙ではなく、「何故自分がこうなってしまったのか」。自分の内面で起こっていたことを語るべきだったのです。
なので、今回は“僕が『ラブライブ!』に引き寄せられた理由”を順を追って解きほぐしてみたいと思います。
●最初は全然ピンとこなかった。
『ラブライブ!』というコンテンツを知ったきっかけは、たぶん『ミルキィホームズ』プロデューサー・のぶちゃんPを筆頭とする業界の人たちが「『ラブライブ!』ヤバいw」といった発言をよくしていたことだったと思います。一応僕もコンテンツ業界の端っこでライター業をしている者ですから、どんな作品か気になって検索します。そして、PVがあるのか…と1stシングル「僕らのLIVE 君とのLIFE」を見ました。
そして。「ふーん」と思いました。
ピンと来なかったのです。この理由を自分で考えてみます。
・全体を捉えたカメラワークが多く、動きが画一的で、個のキャラの魅力がよくわからなかった。ふわっとした印象だけ残った。
・『ミルキィホームズ』の三森さん、徳井さん、fripSideの南條さん以外の役者さんを、あまり知らない。知らないので、興味をかきたてるフックが少なかった。
・自分が応援している『アイドルマスター』を脅かす(笑)コンテンツなのか、ライバルを見定める目で見ていた。
概ねこのあたりだったと思います。
それからしばらく、僕は「『ラブライブ!』か。ふーん。それよりアイマスの6周年ライブツアーとアニメ追いかけなきゃ!」とスルーしてしまったのです。馬鹿!
●内田彩の涙にぶん殴られる。
再会は意外に早く訪れました。2011年9月、μ's3rdシングル「夏色えがおで1,2,Jump!」の発売を記念したイベントが高田馬場BIGBOXで行なわれ、僕は取材ライターとして会場を訪れました。そのイベント自体は打ち上げの名前通り、メンバーと一緒に乾杯して、軽食を食べながらトークを見る…というゆるくて普通の物でした。
ところがその壇上、ランティス木皿さんが軽い感じで「人気投票の中間発表です」と、第3回の中間発表をしたんです。『ラブライブ!』が人気投票でセンターを決めたりすることは、事前情報で知っていました。ところが、
1位 矢澤にこ(CV.徳井青空)
2位 園田海未(CV.三森すずこ)
3位 高坂穂乃果(CV.新田恵海)
4位 南ことり(CV.内田彩)
という順位が発表されたところでですね、内田さんがぽろぽろぽろっと、突然大粒の涙を流したんですよ。自分でも止めようとしてるのに押さえられなくて、泣き笑いみたいになってる。これがもうなんか、ショックだったんです。まだ中間発表だよと。仲間が泣いてるわけで、1位のにこ役の徳井さんも手放しで喜んじゃいけない感じになっていて、これはなんだと。よくわからんが異様なリアリティを感じてしまったのです。
ああ、少なくともこの内田彩さんは、中間発表の結果にここまで心をかき乱されてしまうぐらい、本気でこのコンテンツに入れ込んでいるのだと。その涙が非常に気になってしまったのです。これは、ちょっとこの作品を調べてみようと。
その結果、第1回の総選挙では内田さん演じることりが最下位だったこと。今回の人気投票のベスト3にはシングルCDのリリース権が与えられること。中間発表前はことりは圏内にいたこと(これはちょっとうろ覚えです)などがわかってきました。
内田さんの涙の理由となったであろうμ'sの歴史をなぞっているうちに、このコンテンツはちょっと大変だぞと思うようになりました。そして腰を据えてPVをチェックしなおして、名曲と名高い2nd「Snow halation」のPVに出会いました。思えばこの時点でほぼ半分ハマってたのだと思いますが、僕の場合は内田さんの涙をきっかけに、予断を全て取り払って『ラブライブ!』というコンテンツに向き合えたのでした。
●μ's First LoveLive!
年が明けて2011年。『ラブライブ!』μ'sが最初のライブをやるということで、知り合いの編集さんに頼んで取材を担当することになりました。この頃にはリリースされている楽曲は全てある程度聴き込んでいましたが、やはり、ライブでその真価を感じてみたかった。
そしてライブが始まってほどなくして、このコンテンツは思っていた以上にとんでもないぞ…と自分の認識が甘かったことに気がつきました。
通常アニメ発で声優さんがライブをやる場合、まず最初に必要な作業は「省略」です。声優はダンサーではありません。声の役者です。なのでそれぞれの技量に合わせて、現実に合わせたダンスをつけていくわけです。といってもコレオグラファー(振付師)や舞台監督がついてライブをやるような作品は一握りですから、出演者の中でダンスが得意な人が周りの振り付けの面倒を見るケースも多いです。
『ラブライブ!』のようによく動くダンスPVの場合、その要素をとりだして、踊りやすくしながらもそれっぽくするのが重要です。足りない場合は、バックにプロのダンサーさんを入れましょう。
ところがですね。現地で見たμ'sのメンバーは、なんかあの人たちPVのままに踊ってるんですよ。
その後ろでPV流して、おんなじことやってるんですね。
えええええええ。
僕は仕事柄声優さんのライブを取材することが多いですし、その裏側もちらっと垣間見ることがあります。そうすると、たぶん初めてライブを見る人に比べるとわかってしまうんですね、この彼女たちの初ステージがいかにありえないものか。単純にフリを全曲入れることもですが、9人の統一したフォーメーションを維持すること、何よりあのダンスを踊りながら生歌を聴かせること。
舞台上のパフォーマンスの裏にある膨大な努力が透けて見えたことに、改めて打ちのめされたのです。
●ライターとしての陥落
こうしたライブに行くとき、僕はぼんやりどんな記事にするかな、と事前に幾つかアイデアを転がすことがあります。予断を持ちすぎると独りよがりになってしまいますが、ある程度テーマを持って注目点を絞りこんだほうが、拾える情報量が増えるので。で、この時は裏テーマとして「やっぱりみんなミルキィ組をよく知ってるだろうし、僕も知ってる。今回は歌手やグラビアなど、他の出身の人ならではの良さを見つけよう」と思ってたんです。
ところがここでも『ラブライブ!』は僕の予想を軽く打ち砕いてくれました。結果として、僕がこの日一番見入ってしまったのは、「私たちは未来の花」をソロで歌う三森さんの、今まで見たことのないような輝きだったのです。三森さんは意外とコンディションや感情がステージに出るタイプだと思うのですが、この日のパフォーマンスには圧倒されるほかありませんでした。同じく『ミルキィホームズ』にも参加してる徳井さんも、ひきこもり的な自虐ネタのイメージがあったので、アンコールで彼女が誇らしげに見せた力こぶにまたぶん殴られた気がしました。これ以降僕は「そらまるの電池が切れる」的なネタを冗談でも言わなくなりました。
そしてライブの最後。
本編ラストナンバーの「Snow halation」で舞台から押し寄せてくる存在感と感情の洪水を真正面から受けた感覚は、今でも忘れられません。
アンコールで、やり遂げたμ'sのメンバーたちの達成感と感謝にあふれた輝きも。
そのこちらの想像を全て超えてくるところに、ライターとしてもとてつもなく面白く感じたのです。なんとか、この魅力を伝えることはできないだろうかと。
●どこかで、撃鉄が落ちるように転換点が来る
これはライブレポなんかにも書いてるのですが、1stで非常に面白かった現象として、一曲目の「僕らのLIVE 君とのLIFE」と、アンコールの「僕らのLIVE 君とのLIFE」が全く違う楽曲に聴こえる経験をしました。パフォーマンスとしての完成度を追求した1曲目と、感情と客席への愛情を爆発させるアンコールでは驚くほど違うんですね。
これと似たことが、しばらくしてから起こりました。
昔ピンとこなかった「僕らのLIVE 君とのLIFE」のPVを見たら、なんかすごくいいんですよ。その後作品を知るにつれ、この楽曲とPVはますます好きになりました。
何度かの布教の成功と失敗を経て、わかったのは、
・1st「僕らのLIVE 君とのLIFE」は、作品やキャラを知るほど好きになるスルメ曲である
・初めて見てハマる人は、むしろ2nd「Snow halation」に衝撃を受ける
・1stから5thを続けて見ると技術の進歩がわかるが、そこまで行く前に結論を出す人が多い
といったことでした。一発目がスルメ曲で、PV技術的にも発展途上なんですね。
多くの『ラブライブ!』に魂を持っていかれた人は、どこかで転換点を迎えると思うのです。それがライブで生のパフォーマンスを見た人なこともあれば、第一印象でビビッと来た人もいるでしょう。僕は結構時間がかかった口です。
どこかで一度ガチンと価値観の転換が来ると、見え方が全く変わるんです。
たとえば最初に挙げた声優さんの中に知らない人もいる、ということは、知らない人を知っていく喜び、新しく飛び込む世界で成長する姿を見る嬉しさに変わります。1stPVの技術的な未完成さは、その後いかにどんどん良くなっていったかを知る物差しになります。
TVアニメが放送されて、多くの一見さんが「で、この子はどんな子なんだい」と見ている時に、僕らは海未の背中を押すことりの笑顔一発でもう幸せになっていたりするんです。そうした見え方や体験のギャップが、周りの怪訝な顔をしている人には「…こいつはなんでこんなに幸せいっぱいなんだ?」という疑問につながっていたわけです。
そりゃ、表面的に良さを並べてもわかりませんよね。
なので今は、説明を重ねるよりも、ストレートに魅力が伝わりやすい2ndPV「Snow halation」と、中の人がどれだけ頑張っていてすごいかがわかるライブPVダイジェストを見てもらっています。そして何かを感じたら、アニメやライブでμ'sの9人を見てほしいと伝えています。
その中から、一人でも一緒にこの作品の素晴らしさを共有できる人が増えたらいいのですが。実は一昨日『ラブライブ!』のベストアルバムが発売され、現在アニメの第1話がバンダイチャンネルで一週間無料配信中です。
少し興味を持って触れてもらえば、きっと後悔はさせないと僕は思っています。
長文にお付き合い下さり、ありがとうございました。
もっと読んでもいいという奇特な方は「リスアニ! Vol.10.1 別冊キャラクター・ソング」でがっつり『ラブライブ!』を紹介させてもらってたり、今月(2013年1月)26日発売の声優パラダイスvol.15に『ラブライブ!』新年ライブ密着レポートが載る予定ですので、ご笑覧頂けると幸いです。
※アンコールの「僕らのLIVE 君とのLIFE」について勘違いの記述があったので修正しました。
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