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2024/03/28 21:17 |
雪歩の爪痕
 アイマスライブから一週間。セットリストを何度となく穴が開くほど見つめたのですが、落ち着いた状態でセットリストを見て、改めて気づいたことがあります。それは、このセットリストに雪歩がいないことです。

 落合さんがライブに不参加なんだから、雪歩がいないのは当然です。ただ、漠然といないんじゃないんですよ。徹底的に排除されている。オリジナルナンバーやマスターアーティスト曲が軒並み並んでいる中、雪歩の「First stage」だけがありません。雪歩の持ち歌とはいえ、今回のライブ、「蒼い鳥」や「魔法をかけて」といった本人マスト曲を除いては、メインの持ち歌以外の人が担当していることがほとんどです。本来、「First stage」を歌わない理由はないんですね。「Kosmos,Cosmos」は当然歌うはずがないですが、一部で取りざたされた「団結」の歌詞変えもありませんでしたし、一番不自然なのは「バレンタイン」と「メリー」を歌ったのに、直前に発売された「サニー」がセットリストに含まれていないことです。言うまでもなくサニーには雪歩も参加しています。「メリー」を伊織が入った3人で歌うのがOKなら、本来夏の歌「サニー」は当然入ってしかるべきです。

 「inferno」はどうなんだ、と思われるかもしれません。しかしあれは、「歌姫楽園」の延長だと考えています。「inferno」は楽曲としても良いですが、やはり真骨頂は中二テイストあふれる台詞パートから紡がれる世界観です。台詞をカットした今井さん・たかはしさんの組み合わせの「inferno」は、原曲よりも歌としての完成度は高いですが、逆に言えば巧いだけです。雪歩のかわりにあずささん、ではないんですね。あれは「今井・たかはしが歌うinferno」という別の作品なんです。セットリスト全体を眺めていると、「雪歩にかわりはいないし、用意するつもりもない」というディレ1さんの強いメッセージを感じるような気がします。

 それでも、ライブにはさまざまな形で雪歩と落合さんが、わざとらしいまでに「登場」します。ドラマの冒頭でビジュアル審査員から逃げていったことだけが描写されたり、パンフレットに小さく雪歩の紹介があったり。これをもってハブられた、と考える人もいるようですが、逆に言えば、当日落合さんが参加しない以上、別にパンフレットに記載する必要はないのです。でも、敢えて小ささが目立つ構成で掲載している。そして最たるものは、あのビデオメッセージですよ。雪歩ファンのお怒りを覚悟で書きますが、あのビデオメッセージ、なんの内容もなかったですよね? 前の曲を紹介して、雪歩で一言台詞を言って、小鳥さんにバトンタッチをするだけ。しかも次に登場した小鳥さんには幻聴扱いされています。ゆりしーを「参加」させたいのであれば、もっと客席やメンバーへのメッセージを語らせたり、そのムービーをアイマスガールズが一緒に見る、といった演出があったはずです。しかし実際はどうかといえば、ゆりしームービー+小鳥さんとビジュアル審査員のやりとりは、メンバーの衣装替えタイムでした。なんの意味もないつなぎだったんですね。

 これまた、雪歩ハブだ、ゆりしーいじめだと短絡に飛ぶ人がいそうですが、それなら、そもそもビデオメッセージなど用意する必要はなかったのです。僕は、これらはすべて、「今回のイベントには雪歩とゆりしーはいなかった」という、ディレ1からの再三に渡るメッセージだと思うのです。

 ゆりしーの欠席に関しては、事前に公式でスケジュールの都合として発表されていました。しかしそれは「大人の事情」であり、アイマスのステージ上の、スポットライトに照らされた物語ではありません。何もしなければ、ゆりしーのことを「忘れて」イベントは進行したでしょう。「意識しない、存在自体がない」のと「不在を前提にし、意識した欠席」はまったく違うものなのです。

 このことには、ふたつの意味と狙いがあると思います。それは、いずれ雪歩が次のオールスターなりに帰ってくるときの、取っ掛かりを残すこと。異分子ではなく、欠席していた仲間が帰ってくる形にするうえで、どんなささやかでも「関与していた事実」は重要です。美希の話でも書きましたが、思い入れや物語は人間関係から生まれます。最近、アイマスガールズとの絡みがないこと、他のフィールドでの仕事が多いことから、「雪歩=ゆりしー」ではあっても、「ゆりしー=アイマスガールズ」という糸は薄れつつあります。僕にとってのゆりしーとアイマスガールズとのつながりといえば、やはり第1期ラジましょであり、最後の公録でのゆりしーと今井さん、中村さんの抱擁であり、ゆりしーの「…やっぱり忘れないで…」という心の叫びです。あの日の思い出があるから繋がりを感じていられる。

 ただ、それを考えてゾッとしたんですよ。今のファン層を考えると、パシフィコに集まったファンの過半数は、おそらくラジましょの1期を知らない。そして、曳船の公録に居合わせた人は1割にも満たない。僕は正直、アイマスガールズとゆりしーにつながりを少し遠く感じて(悲しいことですが)いる部分がありますが、では、かつてのつながりを知らない人にとってはどうなのか。あるいは、悪意でゆがめられた動画を“歴史”と信じている人にとっては。そう考えると、“ゆりしーの不在”を明確に歴史に記したパシフィコはの演出は、意味があるのかな、と。

 そして、もうひとつの狙いは、パシフィコを完璧なライブにしないことではないか思うのです。この前のライブは、楽曲を聞かせるライブとしては、ひとつの到達点でした。クオリティ、楽曲の収録数共に、です。楽曲と発表を限界まで詰め込んだ3時間のセットリストには美しさすらあります。しかし、次以降のライブではこうはいかないでしょう。ライブで歌える楽曲数には上限があり、次回以降961プロが参戦すれば、どうしても「歌う楽曲の選別」という作業は必要になります。アイマスというコンテンツにもっとも油が乗った今のあの密度のライブ、今後のライブはすべて、パシフィコ3周年と比べられることになるでしょう。

 だからこそ、雪歩の不在の強調、なのです。仮に次のオールスターにゆりしーが参加できれば、あの時できなかった楽曲をリストに加えることで前にはできなかった何かが提示できますし、仮に次回がオールスターにならなくても、パシフィコを完全無欠なライブとして神格化することがなければ、相対的に違った何かを提示することはできるはずです。僕はよくドームドームと言っていますが、本当にアイマスがドーム公演をやることは実は望んでいません。だって、ドームをやったその先には、何もないじゃないですか。与太話としてなら、千早マジソンスクエアガーデンコンサートとかは言えますけども(笑)。

 「いつかはドームへ」を合言葉に進み続けることがアイマスの魅力なんであり、ゴールにたどり着く姿は、実は僕は見たくありません。それと同様に、「パシフィコは、決して完璧なライブではなかった」というくさびをうつため、そして「いつでも雪歩が帰ってくる場所を残すため」の、セットリストだったのではないかと、思った次第です。
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2008/08/03 01:49 | Comments(8) | TrackBack() | アイドルマスター

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コメント

今回の「ゆりしー不参加」で一部叩いている人がいますが、
確かに解せない点も(事情をよく知らない人にとっては)多く、
ビデオレターが流れた時にも「辞めないで」と言った人がいたそうです。
自分としても「大人の事情」とはいえ、納得いかない点も多いですが、
今回の構成は不在をフォローしているな、と思える事は同意ですね。
何より、「団結」「i」が歌われなかった事が大きい。
PSPの「美希の離反」の発表があるから、なのかもしれませんが
雪歩がいないのなら歌う意味が無いという考えだったとしたら、
ファンとしても納得です。

あとドームでのコンサート開催は、ある意味「終着点」なので
次が無いと考えがちだと思いますが、自分的には2回、3回と
続ければ良いじゃない?とポジティブに思います。
東京、大阪、ナゴヤ、福岡…と日本には何箇所もあるんですよ?w

まぁ、ドームの前に武道館ですよね、アイマス的には。
まださいたまスーパーアリーナとかの大型会場も残ってますし。
posted by ume_black URL at 2008/08/03 07:15 [ コメントを修正する ]
油が乗った→脂が乗った ではないかな~、とか。

大人の事情で参加できなかったのはわかるのですが、
その事情の公開の仕方がまずかったような気がします。
具体的にはブログなんですが、とても第三者のチェックが
なされていないように感じました。
こういう商売の人のブログはちょっとしたことで発火しますから
マネージャーさんなどが一言一句直すくらいの慎重さが求められると
思います。
posted by kuma at 2008/08/03 10:04 [ コメントを修正する ]
団結、iが歌われなかったことに対する漠然とした感覚が
纏まった思いです。ありがとうございます。

ゆりしー不参加に対する不満はやはりぬぐえませんし、映像が流れたときには僕自身微妙な笑いが出てきていました。

だた、やはりファンサービスとして雪歩の存在を曖昧にせず、映像という形で演出し、そしてセットリストにおいてもそれを徹底するスタッフの想いはさすがであると感じます。

なんというか、そういう気持ちのよさ、を感じるからこそアイマスが好きであるのは間違いないな、と確信できました。
posted by NONAME at 2008/08/03 22:27 [ コメントを修正する ]
私は今でも曳舟の公録をはっきりと覚えています。
だから、またいつかトリコロールジャージに身を包んだ3人がともにステージにあがる日を信じて待つことができます。
posted by ゴトー at 2008/08/03 22:51 [ コメントを修正する ]
>「辞めないで」
これ某掲示板でも見たんですが、それこそ都市伝説のような…。
ホントに聞いたって人居るんでしょうかね?
私の周りでは「ゆりしー待ってるぞー!」という声が上がって
暖かい気持ちになったりしたんですが。

それはそうと、中里さんほど理論的な言葉としてはまとめてなかったのですが
私自身もライブ終了直後(ホントにライブ会場からそのまま行った飲み会)から、友人たちに
「今回のライブは最高だったが、95点だ。なぜなら雪歩/ゆりしーが居ないから」と言ってました。
おそらく、制作サイドもあえて100点満点にならないように工夫したんじゃないかなあと思います。
だからこそ私は次回オールスターライブを要望し続ける!

>パシフィコに集まったファンの過半数は、おそらくラジましょの1期を知らない
この層との温度差は、先日の美希移籍情報に対するライブ参加組/不参加組以上に感じますね。
曳舟公録には私も参加できず文字通り涙をのんだんですが
配信された公録放送での三人の関係性はとても素晴らしかったです。
やはりTORICOが好きだった自分としても、もう一度あの3人で組んだステージをぜひ見せて欲しいですね。
posted by 青面獣 at 2008/08/03 23:41 [ コメントを修正する ]
ども。この所のアイマスライブに関する記事を読みまして、どの記事にも非常に共感しています。自分で言語化出来ていない部分に納得したり、疑問が明確になったり。

今回のセットリスト、「i」「団結」「いっしょ」の三曲がないことに明確なメッセージがこめられていると強く感じました。いっしょにいった友人とも話したのですが、これは次があるんだ、まだまだ奴等はやる気だなと(笑)

>ドームイベント
これに関しては(妄想はいりまーす)引退コンサートのイメージが強すぎて^^; ドームを実際にやるときにはラストのホントにこれで終わりという時にしか……うわっ。だめだ、想像してしまっただけで(ry

>辞めないでコール
これに関しては、私のところで確かに聞こえてはいました。ただ、他にもいろいろな「ネタ」を叫ばれている方のようでしたので、ニュアンスはそう深くはなかったかなと勝手に思っております。
posted by t-mago URL at 2008/08/04 00:16 [ コメントを修正する ]
>ume_blackさん
正直ドームコンサートに魅力を感じないんですよね。
見えない聞こえない、音も歓声もずれる。
アイマスを楽しめる上限は、武道館までじゃないかと思います。

変に箱を大きくすることを目的化してもそれは違う気がするので、
来年もパシフィコでやるのがまず目標でいい気がします。

>kumaさん
うーん、むずかしいですね。
慎重に検閲されたゆりしーブログを、ゆりしーファンは求めてないと思います。さりとて、うーん。

>003
あくまでも、僕の捉え方ではあるのですが。
基本的に僕はディレ1陰謀史観なので、アイマスのすべての一手には石原さんのなんらかの狙いがあると思いがちです^^;

>ゴトーさん
見たいですよね3人…。
そういえば、最近中村さんプレゼントお賽銭箱問題が再燃していて、歴史は繰り返すのだと思いました。

>青面獣さん
ゆりしー映像のときは、あの日唯一の混沌とした空気でしたね。
5000人いれば、いろんな人がいて当然です。
だからこそ、締めるべき場面でマナーがとてもよかった紳士たちは素晴らしい。

>t-magoさん
僕の中では、『サクラ大戦』のラストの武道館が印象に残ってます。会場は等身大からちょっと背伸びしたぐらいまでに留める。思い出作りより現在進行形のライブとして一番いい会場を、と思います。
posted by なかざと at 2008/08/04 03:13 [ コメントを修正する ]
赤坂でも伊織を捜せってコーナーがあったことですし(行ってないけど(/_;))
かなりの率でハズしてないんじゃないかと思います

あと、ディレ1陰謀説は自分も大いに支持します
ロケテの時に小山さんも知らないとこで覇王を仕込んでた人ですし
posted by ・w・ at 2008/08/04 09:26 [ コメントを修正する ]

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