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2017/05/30 18:09 |
『ファンレターズ』第一夜と第四夜を見比べてみた
 先月末、声優の下田麻美さんと劇団キャラメルボックスの温井摩耶さんによる朗読劇『ファンレターズ』を見て、非常に面白かったのですが、今回の公演は第一夜~第六夜を、それぞれ全く違った経歴・個性の声優と女優が演じるというコンセプト。それなら、別の人が演じる回も見たほうが、より双方の個性が際立って感じられるのでは? ということで、第四夜の長沢美樹さん、安藤聖さんの回を拝見してきました。

 個人的に意外に感じて、謝りたいと思ったのは、安藤聖さんがしっかりした芝居をする、ちゃんとした役者さんだったことです。最初、ラインナップが発表された際、主な経歴が「元・おはガール」というものだったことから、声優と女優ってコンセプト的にどうなんだろう、と正直思いました。しかし、実際に蓋を開けてみれば、本や演出に込められた意図を汲み上げて丁寧に演じていて好感を持ちました。若干、本を「読んでいる感」はありましたが、基本に忠実な芝居で、比較して見る上では基準軸になる回だったんじゃないかしらと思います。

 一方、面白かったのが長沢美樹さん。正直、演者によってここまで変わるのか、という要素を体現してくれました。『ファンレターズ』は、ストーカーと少女小説作家の2人が主人公の物語で、第一夜では温井さんがストーカー、下田さんが作家を。第四夜では長沢さんがストーカー、安藤さんが作家の役を演じていました。基本的にどちらも同じ台本を使っているのですが、温井さんの演じ方が常に抑えたトーンで、ヒタヒタと忍び寄るような狂気が内圧を高めていき、やがて爆発する! という感じなのに対し、長沢さんは登場時点では非常に陽性で、笑みを交えながらの独白を繰り広げます。しかし、その普通の女性の明るさの中にどこか危うさがあり、ある時点で一気に反転して狂気をむき出しにする「落差」が特徴ですね。

 ストーカーのエスカレートする行動・悪意の粘りつくような怖さでは温井版、日常生活では普通に生活する女性が、一歩道を踏み外すと向こう側に落ちてしまう怖さでは長沢版、という感じでしょうか。どちらにも違った魅力がありました。同じ文章でも温井さんは「……どうしてお返事頂けないんですか……」、長沢さんは「どうしてお返事頂けないんですかぁ♪」ぐらい違うんです。作品中の「笑い」という意味では、温井さんの抑えたテンションで、淡々と続く文脈の中で、大真面目に言っているおかしみのような落差があって、より笑えました。狂気シーンの迫力って意味では、長沢さんの「叫び」は、前半の様子からの落差が大きく印象に残りました。どちらも全く違う演出ですが、ともにギャップを意識した感じがあるのが面白かったです。

 そして、少女小説家の夢野愛サイドについて。前述した通り、安藤聖さんが非常にスタンダードな、台本に忠実な朗読を見せてくれたことで、改めて際立って感じられたのが、第一夜の下田麻美さんの芝居です。夢野愛という人間に対する肉付け、メールの相手や状況によるテンションや会話の調子の変化といった部分で、かなりプラスアルファの芝居をしてたんだな、と改めて感じました。あの芝居の表情の豊かさは、下田麻美オリジナルというか。下田さんの個性が溶け込んだ夢野愛は、第一夜のあの場にしかいなかったんだと思います。第四夜を見終わったあと、もう一度第一夜を見たくなりました。

 それ以外で感じたのは、場の空気の違いですね。第一夜は初日、下田さんの誕生日、コアなファン率の高さなどがあいまって、客席が非常に出来上がった空気がありました。終演後、2時間近くもファンとの交流があったりも異例中の異例でしたしね。一方、第四夜は、比較的落ち着いたムードで、声優ファン以外も結構いた感じ。客席も含めて、舞台というのは生き物なんだな、と感じた公演でもありました。
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2008/02/19 23:09 | Comments(0) | TrackBack(0) | 演劇・舞台

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