叶姉妹をモデルにしたアニメ『ABUNAI SISTERS KOKO&MIKA』が、1枚3万円? ということでネットで話題になっているようです。3万円といってもDVD-BOXではありません。ショートアニメが10本入ったDVDが単体で3万円です。
これにはもちろん理由があって、DVDの価格は3万円からスタートしますが、1,501枚予約されれば25,000円、3,001枚予約されれば20,000円……と下がっていき、10,001枚売れると6,000円、最終的には90,001枚以上で2,500円となります。『ABUNAI SISTERS KOKO&MIKA』が『空の境界』ぐらい売れたら、2,500円でDVDが買えてしまうわけです。なかなか魅力的な妄想です。そして、価格だけでなく、特典も段階的に増えていきます。なんと500名までは「ABUNAIプライベートパーティにご招待」で本人に会える! エンドロールに出る! 1500名までは16cmフィギュアが! 2000名までは、“本人”とは決して書かれていない直筆サインがもらえるのです。こうした特典の積み増し方式は、ギャルゲーの店舗特典などで見かけるようになってきた方式ですね。
どうしてこういう勘違いをしてしまったのか? 考えてみると、なんとなく勘違いのルートはわかります。おそらく、念頭にあるのはパフィをモデルにしたアニメ「Hi Hi Puffy Ami Yumi」の米国でのヒットでしょう。制作Production I.G、ファミ通の表紙でおなじみ松下進さんの起用など、作品として狙っているスタイリッシュさというか、いわゆる萌えアニメとの差別化を考えているのは理解できます。
●アニメは足し算ではない。
ここにあるのは、足し算の発想です。アニメファンに定評と人気のあるProduction I.G、萌えオタ以外にアピールするキャラクターデザイン、叶姉妹の起用でアニメファン以外の女性層にもアピール…といった、ヒットレンジを広げていく発想です。しかし、この広く薄く、というのが致命的な間違いでした。現在、アニメはなかなか売れません。そんななかDVDを売るには、「広く商品の認知度を上げる」よりも「狙ったターゲット層に購入に踏み切らせるだけの魅力を高く積み増す」ことが求められるのです。「欲しい」という欲求が購入するラインを超えた段階で、初めて知名度は数字に繋がるのです。そのためには、足し合わせるのではなく、各要素が同じベクトルを向いた、相乗効果による掛け算が必要になるんですね。様々な要素が、別々のターゲット層をでたらめにさしているのでは、購入にいたるエネルギーは生まれません。
●リスクではなく、メリットを提供しなければ意味がない。
特典追加商法から連想して、通販サイトのまとめ買い形式を取り込んだのは面白い着想だと思います。たくさん売れたら安く手に入る、特典も豪華に……売れればみんなが幸せ。売れる商材でやったら、面白いモデルケースになったかもしれません。しかし、それは、スタートラインに値頃感があれば、の話です。通販サイトで、ティッシュ5箱5000円からスタート! というまとめ買いを仕掛けても、誰も最初は手をあげないと思います。業者が大量買いをいれてから、みんな雪崩を打って飛びつくでしょうが。開始時点の価格が高すぎる場合、最初の購入者には大きなリスクがあります。当たり前です、3万円のDVD、誰が買いますか? その均衡をとるための机上のシステムが、この場合はイベント参加権です。最悪でも、イベント参加に3万円の価値があると思えば、最初の500人はすぐ埋まるわけです。ですから、この場合叶姉妹の商品価値が問題になります。
●叶姉妹はプラスなのか。
結局のところ、このパーティー参加権が3万円の価値があるかが問題なわけです。こうした情報に最初にふれるであろうネットコアユーザーやアニメファンが、3万円を出して叶姉妹パーティに行きたいでしょうか? 残念ながら、NOだと思います。煌びやかな会場に叶姉妹が登場し、「あら美香さん、キモメンズの群れですわ」「お姉さま、消毒液をどうぞ」てなやりとりがされる中、僕らは会場の隅っこで「元を取らなきゃ」と薄いローストビーフをむさぼったりするわけです。「あら美香さん、あの生き物たちはそんなに飢えているのかしら……」「畜生のむれですねお姉さま」といった光景が想像されそもそもパーティーに着ていく服がない。はっきり申せば、「3万円もらってノンカメラなら行く」という人も多いように思います。
そもそも叶姉妹は「抜群の知名度と人目をひく効果はあるが、人気の実態は誰にもわからない」という種類の方々です。ワイドショーにおいてこそ輝く人気なのですね。そうした、マスのメディアに特化した知名度というのは、ネットやオタク層といったマイナー・ニッチに向かう層では、むしろマイナスなのです。
残念ながら、『ABUNAI SISTERS KOKO&MIKA』のここからの逆転は非常に厳しそうです。最初の500人にプレミアムをつけてしまった以上、上げ底もできません。少しでも元を取るのであれば、500人に近いラインでまずこの販売を締め切ってパーティーを行い、そのあと廉価版を特典なしで2,500円で販売するぐらいしか思いつきません。
●もったいない。
しかし、本当にもったいない。Production I.Gが松下進さんの絵で、(主人公はノンタイの動物系キャラでいい)ちゃんとした子供向けのアニメを本気で作ったら、今のアニメ業界の流れに対するくさびのひとつにはなったと思います。多分TSUTAYAには並んだと思う。そして、画期的な販売方法が、大きなリスクを伴ったイメージになってしまったのもおしい。
これがもし、「yukari & yui」だったり「nana & fukuenn」だったり「chihaya & haruka」だったり「kugyu & hinochama」だったり「takki- & tubasa」だったり「tezuka & atobe」だったり「kinki & kidz」だったり「sheryl & ranka」だったり「mamiko & ayachi-」だったりすれば、戦局は大きく変わっていたのではないでしょうか。
今なら間に合います。副音声の日本語吹き替えを釘宮理恵さんと田村ゆかりさんにしましょう。で、パーティ二部制にして、第二部は声優をよびましょう。500人は瞬殺です。
ちなみに肝心のアニメの内容ですが、キッズステーションで放送してるのが流れてきたら、一応見るかなって感じです。欧米で売れるといいですね。
これにはもちろん理由があって、DVDの価格は3万円からスタートしますが、1,501枚予約されれば25,000円、3,001枚予約されれば20,000円……と下がっていき、10,001枚売れると6,000円、最終的には90,001枚以上で2,500円となります。『ABUNAI SISTERS KOKO&MIKA』が『空の境界』ぐらい売れたら、2,500円でDVDが買えてしまうわけです。なかなか魅力的な妄想です。そして、価格だけでなく、特典も段階的に増えていきます。なんと500名までは「ABUNAIプライベートパーティにご招待」で本人に会える! エンドロールに出る! 1500名までは16cmフィギュアが! 2000名までは、“本人”とは決して書かれていない直筆サインがもらえるのです。こうした特典の積み増し方式は、ギャルゲーの店舗特典などで見かけるようになってきた方式ですね。
どうしてこういう勘違いをしてしまったのか? 考えてみると、なんとなく勘違いのルートはわかります。おそらく、念頭にあるのはパフィをモデルにしたアニメ「Hi Hi Puffy Ami Yumi」の米国でのヒットでしょう。制作Production I.G、ファミ通の表紙でおなじみ松下進さんの起用など、作品として狙っているスタイリッシュさというか、いわゆる萌えアニメとの差別化を考えているのは理解できます。
●アニメは足し算ではない。
ここにあるのは、足し算の発想です。アニメファンに定評と人気のあるProduction I.G、萌えオタ以外にアピールするキャラクターデザイン、叶姉妹の起用でアニメファン以外の女性層にもアピール…といった、ヒットレンジを広げていく発想です。しかし、この広く薄く、というのが致命的な間違いでした。現在、アニメはなかなか売れません。そんななかDVDを売るには、「広く商品の認知度を上げる」よりも「狙ったターゲット層に購入に踏み切らせるだけの魅力を高く積み増す」ことが求められるのです。「欲しい」という欲求が購入するラインを超えた段階で、初めて知名度は数字に繋がるのです。そのためには、足し合わせるのではなく、各要素が同じベクトルを向いた、相乗効果による掛け算が必要になるんですね。様々な要素が、別々のターゲット層をでたらめにさしているのでは、購入にいたるエネルギーは生まれません。
●リスクではなく、メリットを提供しなければ意味がない。
特典追加商法から連想して、通販サイトのまとめ買い形式を取り込んだのは面白い着想だと思います。たくさん売れたら安く手に入る、特典も豪華に……売れればみんなが幸せ。売れる商材でやったら、面白いモデルケースになったかもしれません。しかし、それは、スタートラインに値頃感があれば、の話です。通販サイトで、ティッシュ5箱5000円からスタート! というまとめ買いを仕掛けても、誰も最初は手をあげないと思います。業者が大量買いをいれてから、みんな雪崩を打って飛びつくでしょうが。開始時点の価格が高すぎる場合、最初の購入者には大きなリスクがあります。当たり前です、3万円のDVD、誰が買いますか? その均衡をとるための机上のシステムが、この場合はイベント参加権です。最悪でも、イベント参加に3万円の価値があると思えば、最初の500人はすぐ埋まるわけです。ですから、この場合叶姉妹の商品価値が問題になります。
●叶姉妹はプラスなのか。
結局のところ、このパーティー参加権が3万円の価値があるかが問題なわけです。こうした情報に最初にふれるであろうネットコアユーザーやアニメファンが、3万円を出して叶姉妹パーティに行きたいでしょうか? 残念ながら、NOだと思います。煌びやかな会場に叶姉妹が登場し、「あら美香さん、キモメンズの群れですわ」「お姉さま、消毒液をどうぞ」てなやりとりがされる中、僕らは会場の隅っこで「元を取らなきゃ」と薄いローストビーフをむさぼったりするわけです。「あら美香さん、あの生き物たちはそんなに飢えているのかしら……」「畜生のむれですねお姉さま」といった光景が想像されそもそもパーティーに着ていく服がない。はっきり申せば、「3万円もらってノンカメラなら行く」という人も多いように思います。
そもそも叶姉妹は「抜群の知名度と人目をひく効果はあるが、人気の実態は誰にもわからない」という種類の方々です。ワイドショーにおいてこそ輝く人気なのですね。そうした、マスのメディアに特化した知名度というのは、ネットやオタク層といったマイナー・ニッチに向かう層では、むしろマイナスなのです。
残念ながら、『ABUNAI SISTERS KOKO&MIKA』のここからの逆転は非常に厳しそうです。最初の500人にプレミアムをつけてしまった以上、上げ底もできません。少しでも元を取るのであれば、500人に近いラインでまずこの販売を締め切ってパーティーを行い、そのあと廉価版を特典なしで2,500円で販売するぐらいしか思いつきません。
●もったいない。
しかし、本当にもったいない。Production I.Gが松下進さんの絵で、(主人公はノンタイの動物系キャラでいい)ちゃんとした子供向けのアニメを本気で作ったら、今のアニメ業界の流れに対するくさびのひとつにはなったと思います。多分TSUTAYAには並んだと思う。そして、画期的な販売方法が、大きなリスクを伴ったイメージになってしまったのもおしい。
これがもし、「yukari & yui」だったり「nana & fukuenn」だったり「chihaya & haruka」だったり「kugyu & hinochama」だったり「takki- & tubasa」だったり「tezuka & atobe」だったり「kinki & kidz」だったり「sheryl & ranka」だったり「mamiko & ayachi-」だったりすれば、戦局は大きく変わっていたのではないでしょうか。
今なら間に合います。副音声の日本語吹き替えを釘宮理恵さんと田村ゆかりさんにしましょう。で、パーティ二部制にして、第二部は声優をよびましょう。500人は瞬殺です。
ちなみに肝心のアニメの内容ですが、キッズステーションで放送してるのが流れてきたら、一応見るかなって感じです。欧米で売れるといいですね。
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500人で3万いや5万でも捌けますね。
やまなこカンバーック!!