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2024/04/19 15:56 |
魔法の言葉イマジン
 昔はアニラジを聞くのには、ちょっとした準備がいりました。AMラジオ本体、毎週決まった時間にラジオの前に座ること、そして多少の雑音やハングルに耐える覚悟が必要でした。僕は週末はかなりのアニラジっ子(平日はオールナイトニッポンとかブンブンリクエストとか聞いてました)だったので、ラジオ大阪の「電撃系」番組の数々、ラジオ関西(AM神戸)の「ハートフルステーション」や「青春ラジメニア」などはデフォとして、井上喜久子さんや久川綾さんのラジオがあると聞けば山陽や山陰のラジオ、榊原良子さんのラジオドラマがあると聞けば沖縄、日高のり子さんの京都、私たちが翔んだり公平先生のラジオがあると聞けば東海……と、いろいろな地方に懸命にチューニングを合わせたものです。文化放送はKBS京都やハングルとの混線が厳しくて聞けなかったんですが。

 90年代のアニラジの代表的な形は、「1.人気声優が一人で、リスナーのハガキとのコミュニケーションを中心に進めるラジオ」「2.男女2人組の掛け合いトーク(下ネタ率結構あり)+ラジオドラマ」というものが多かったように思います。80年代型アニラジは、「男性アニメ好きアナウンサー+女性の声優/MCさん」が多いですね。ともあれ、僕らはアニラジ専門雑誌などをチェックしながら、あらゆる番組を網羅せんと奮闘していたのでした。

 しかし2009年現在、世で放送されている「アニラジ」を“全部聞いてるぜ”という人は、おそらくいないのではないかと思います。というか、物理的に不可能かもしれません。当時は「地上波AM」が9割、「FM」と「たんぱ(主に雪乃五月さん)」で1割というAM全盛の時代でしたが、今はデジタルラジオによる生番組が登場。そして中心はwebラジオに移っています。新番組の多くでインターネットラジオが放送され、声優さんが個人配信しているものなども含めると、その全貌を把握することすら困難な時代となっています。

 そうすると、番組の形も変わってきます。AMラジオが年単位、時には10年、20年と続いて地域のリスナーと一緒に歩んで行くのに対し、webラジオは早いものでは3か月程度で終了になります。そして番組数が激増した結果、ラジオの形式も変化していきました。「ハガキをベースに声優自身の日常感じたこと経験したことを語るトーク」……といった番組は、数を減じつつあります。それは、そうした濃密なコミュニケーションは、やはりある程度長期の交流が前提にあること。そして、ラジオ巧者の人が週に何本もラジオをかけもちする中、日常を取って出す形式には限界があるからです。

 そこで生まれたwebラジオのスタンダードと言える形式が、「2人の声優を組み合わせ、ゲストを呼び、そこに定番コーナーを投入することで番組を量産。複数の声優の組み合わせの化学変化による面白さを生む」というものです。定番コーナーを中心にするのは、トーク力にばらつきがあっても、最低限のクオリティが保障されるからです。トークメインのガールズトーク系番組は、番組を仕切れる人がいないとグダグダになるリスクをはらんでいますからね。化学変化系の成功例では、最近だと『鉄のラジオバレル』などは代表例と言っていいと思います。柿原さんのイケメンキャラを一定ラインから決して受け入れない能登さん、能登さんにデレデレなあまり変態紳士天元突破する柿原さん、暴走する柿原さんの勢いに引っ張られて、今までにないはっちゃけキャラになる能登さん……という、お互いにこれまでにない一面を楽しめる番組になっています。組み合わせの妙という意味では、日野さんと釘宮さん、小山力也さんを取り巻く女性たち、といった構図もその組み合わせならではのオリジナルと言えるでしょう。『アイマス』や『絶望放送』のように、独自の世界にリスナーを囲い込んで、継続とお約束で関係性を強固にしていく形も特異なパターンでのオリジナルですね。一方、伊藤静さんや生天目仁美さんのような、「誰と組み合わせても面白い、女の子が大好きな人たち」のラジオも人気です。このタイプは、番組名を差し替えても何も問題がないことが多く、webラジオでは非常に重宝されるタイプだと思います。

 そうした、無数に放送されるwebラジオと、旧来のアニラジのフォーマットを踏襲したAMラジオが両輪になっているのが今のアニラジ界だと思います。ソロで番組を引っ張るというのは相当にハードルが高く、個人のトーク力単体でAMラジオとして番組を成立させてるとなると、今の若手~中堅の世代だと田村ゆかりさんぐらいしかいないんじゃないかと思います。「その番組をやってるパーソナリティのファンなら面白い」という意味ならハードルがやや下がって、その分野のトップランナーが堀江由衣さんというところでしょうか。もっとも、文化放送はデジタルラジオの枠数に物を言わせてピンでの1時間、2時間番組をどんどんやらせてますから、そうした環境から新たなラジオスターが生まれてくることに期待してます。

 さてさて。そうしてラジオ界の主流になりつつあるフォーマットに沿った量産型webラジオですが、そうした番組のお約束に「番組ならではの挨拶」「番組の略称」「パーソナリティのニックネーム」などの募集があります。こういうお約束はリスナーも対応しやすいので、「お前全部のアニラジに送ってんじゃねーの」というぐらい、どの番組でも名前を聞く人もいますよね。こういうお約束って、中には「ないない」「かっこ悪い」と斜めに構えて拒否するタイプのパーソナリティさんもいるのですが、個人的にはこうしたお約束は、番組を構成する上で必要な儀式だと思っています。

 先ほどから書いている通り、こうしたフォーマットに沿った番組作りは、量産を前提にしたものです。しかしそうして数十、数百と制作される番組は、往々にしてパーソナリティやコーナーも“どこかで見た”ものになりがちです。その中で、その番組を固有のものとして認識してもらい、思い入れを持ってもらうためには、こうしたお約束を踏襲して、「一緒に番組の土台を作っていく」という儀式が必要なのではないかと思うのです。一緒に番組のガワを作り、お約束を共有した放送を重ねる中で、パーソナリティとリスナーの一体感を作っていくんですね。こってこての挨拶や愛称を馬鹿にする人には、「では、あなたはその分番組の個性や、リスナーを取り込むためのトーク・番組作りをしてる?」と問いかけたくなります。毒舌キャラで売ってるタイプの人は、ある意味当然の拒否だとは思うのですけどもね。

 さて、そんなあまたあるアニラジの中で、個人的に今、一番楽しんでいる番組がアークシステムワークスの『BLAZBLUE』公式WEBラジオ “ぶるらじ”です。杉田智和さん・近藤佳奈子さん・今井麻美さんの3人による番組で、3人+ゲストのトークと、トーク内容に合わせたSDキャラのアニメーションや挿入するイラストなどにとことんこだわった内容で、ラジオだけでなく動画としても楽しめるのが特徴です。

 で、この番組の何がいいって、この接点があまりないパーソナリティ3人を集めたことによるバランスの妙が素晴らしいんですよね。とにかく抜群にいいのが今井麻美さんと杉田智和さんの相性で、いつも通り暴走する杉田さんに対し、同じスピードで突っ走りながらツッコミの手数をバシバシ出していく今井さんというのが基本構図。ですが杉田さんの繰り出すネタを、結構な確率でキャッチできるツッコミ気質の女性声優って、かなり、非常に限られると思うんです。杉田さん自身も「今井さんうちにほしい」と言ってますしね。時としてその今井さんすらも置き去りにするぐらい杉田さんがコアなのも、どちらかというと日頃置き去りにする側の今井さんとしては新鮮です。

 ただ、コアなネタを共通認識として持ってるラジオって、時としてリスナーを置き去りにするんですね。今は亡き『週刊アニたま○曜日』シリーズとか、僕はおっさんたちと年代が一緒の漫画読みでプロレスも好きなのでゲラゲラ笑ってたのですが、果たしてネタが何一つわからないであろう10代のリスナーはどう思ってるのか、とふと心配になったりしたものです。ぶるらじはネタがコアからコアに走りそうになるところで、近藤さんがぽかーんとなるんですよね。で、今井さんも杉田さんも気づかいのできる人なので、そこである程度のブレーキがかかる。で、それとは別にイラストが上手だったり、朗読をしたりする近藤さんのほんわりした存在感が、番組に違ったアクセントを与えてるんですね。暴走する面白ボケ、暴走する面白ツッコミ、に対して3人目が一緒に暴走する必要はないんですよね。後ろをわたわたとついていく近藤さんが、実はバランスのいいペースを作っているのではないかという気がします。

 そんな“ぶるらじ”ですが、実は杉田さんやるな! と思ったのが第1回。今井さんに「イマジン」、近藤さんに「コンドム」というあだ名を一方的につけたところです。ぶるらじって、開始時点で聞いていたリスナーには、結構今井さんのファン、もっと言えばアイマス系のファンも多かったと思うんです。リスナーを増やすうえで『アイマス』のファン層の取り込みってのは非常に大きなメリットなんですけど、こうした「固有世界囲い込み型」のコンテンツのちょっとしたデメリットとして、内に向かって閉じてしまう傾向があるんですね。わかりやすい例で言えば、新谷さんが出演するラジオにはどこにでも絶望放送ネタを投稿する人っているじゃないですか。こういうの、気持ちはわかるんですが、よその番組のリスナーと特定のパーソナリティの間でだけ成立するお約束を他に持ち込むのって、新しい番組の世界の構築の上では結構ご法度だと思うんですね。その意味で、「ミンゴス」の名前の上に乗っかってる情報量の蓄積って、結構膨大なものがあると思うんです。たとえばぶるらじで“72”ネタが飛び交うようになったりすると、僕個人は萎えます。それは、その共通のコードを共有できる仲間たちの場でやるべきネタだと思うので。ただ、ラジオといえばどうしてもアイマスの今井さんを思い出すファンが多い中、杉田さんが「イマジン」「コンドム」というあだ名を押しつけたことによって、少なくとも杉田さんから今井さんと近藤さん、そしてリスナーからの距離が、等距離になったように思えるんです。じゃあ今後今井さんが「イマジン」になるかというとそんなことはないのですが、今井さんと杉田さんの間には「イマジン」「智君」という新しい共通のコードができ、近藤さんに関しても「コンドム」「こんちゃんです!」というお約束のコードが出来たわけで。「イマイアサミンゴス→ミンゴスの説明」という、「これまでのお約束コードの説明」をばっさり流して、無理やりなあだ名付けで上書きしたのって、結構新番組のカラーを決定する上で大きいアクションだったんじゃないかな、と思うんです。今はアイマスファン以外にもおもろいよ、とはっきり言える番組なので。

 番組としてのネックは、杉田さんのスペックが高すぎて、対戦コーナーがなかなか成立してないところかなと思います。杉田さんがシュールなネタに走った時にゲストが勝ちを拾って、頭の柔軟さを競うようなクイズでは杉田さんが強すぎるのが現状なので。近藤さんは「ふつうにがんばってる!」というのが役どころなので、ここはひとつ今井さんの奮起に期待して、天玉ゲットしてほしいところです。キスでもいいけどね。

 本当はもうひとつ、男性パーソナリティの強力な条件特性のひとつに「女性声優と絡んで必要以上に異性を感じさせない、変態、あるいはお兄ちゃんになれる能力」についても書くつもりだったのですが、長くなっちゃうので、本日はこれにて。

 それにしても女性声優3人に囲まれて、「くやしい、でもクリムゾン!」を2回押す杉田さんはちょっと頭がおかしい。大好きです。
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2009/06/19 23:59 | Comments(0) | TrackBack() | 雑記(アニメ系)

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