WebLab.otaさんに、ニコニコ動画の本当の影響力というトピックがありました。読んでいてどこか違和感があるな……と感じたのは、おそらく「広報媒体としてのニコニコ動画」と「流通経路としてのニコニコ動画(市場)」を同じカテゴリーで語っているところではないかと思います。
WebLab.otaさんでは初音ミクのニコニコ市場における売り上げから「ニコニコ市場の売り上げが市場全体に占める売り上げ」というざっくりとした計算を書いていますが、ここでまず気をつけないといけないことは、「ニコニコ動画=ニコニコ市場」ではないということです。認知度という点で、ニコニコ市場の存在を知っている人は、ニコニコ動画視聴者の母数よりも少なくなります。リンクで張られている動画を見るだけの人は、ニコニコ市場にまで興味は払わないでしょう。
そして、ニコニコ市場を利用する習慣のあるユーザー……となると、その数字はさらに大幅に減少するはずです。ある程度webにおける自衛習慣のあるユーザーなら、得体の知れないリンクを踏むことはしません。実際のところ、ニコニコ市場は従来のamazonアフィリエイトと大きな差異はありませんが、いわゆるアフィリエイトにしても、「よくわからない内に、自分の踏んだリンクによって何らかのお金の流れが発生している」ということに対して、違和感や嫌悪感を覚えるユーザーは少なくありません。実際にニコニコ市場に貼り付けられている商品をランダムに10点~20点も見て回れば、市場全体におけるニコニコ市場の影響力が(現時点では)取るに足らないものであることがわかります。
しかし、ニコニコ市場が時として大きな数字を生むことがあります。その典型が、初音ミクのねんどろいどフィギュアです。amazon予約の10000体中2000体がニコニコ市場から……を多いと見るか、少ないと見るかは、ニコニコ市場の影響力に対する捉え方によるでしょう。僕は、異常に多いと感じているので、それを前提に書きます。ニコニコ市場でのミクの売り上げを考える上で外せないのが、2ちゃんねるから派生したネット文化における「祭」の存在です。ネットでその時旬のムーブメントに大勢で参加することは、高揚感と満足感を与えてくれます。ニコニコ動画の弾幕などは、「盛り上がりに参加している高揚感・満足感」を手軽に与えてくれる最たるものと言えるでしょう。
「祭」は大きければ大きいほど、熱ければ熱いほど、参加による充足感を増します。そして、それは自然と「俺の参加してる祭はこんなにすごい」ということを対外的にアピールしたい欲求へとつながります。ニコニコしかり、それ以前の2ちゃんねるでのハピマテ祭などしかり、対象に対して時間・情熱を傾けているコアユーザーほど、自分が参加している「場」そのものの権威を求める(=つまらない行為に時間を浪費している、という見方に対する反発)傾向が強いように思います。
そうした意味で、ニコニコ動画内の初音ミクコミュニティに対して愛着を持っている人ほど、「初音ミクの成功とニコニコは不可分で、ニコニコのおかげで初音ミクは売れた」という結果を示したい人の割合も増えるのではないでしょうか。つまり、ニコニコでみっくみくにされた人は、より積極的にニコニコ市場経由で商品を購入し、購入者数の数字を跳ねあげるモチベーションがあるということです。現時点において、「初音ミク」と「アイドルマスター」はニコニコで流行したオタコンテンツの中でも群を抜いて商業的成功につながっているタイトルであり、これらをサンプルとしてニコニコ市場全体の影響力を語るのは、難しいのではないでしょうか。
もちろん、僕はニコニコ動画に影響力がない、と考えているのではありません。少なくとも、「タイトルそのものの知名度」を広げる広報チャンネルとしてのニコニコ動画の影響力は、非常に大きいと思います。ここで最初に戻りますが、「広報媒体としてのニコニコ動画」と「流通経路としてのニコニコ動画(市場)」はまったく別だということです。僕は、現時点でのニコニコ動画が影響力を大きく持っているのは、基本的には広告・宣伝部門での話だと思います。つまり、ニコニコ動画と対置されるべきなのは他の流通経路ではなく、地上派・CSを含めたテレビ・ラジオなどでの放送・CMや、紙媒体での広告などなのではないかと思うのです。
ただし、僕はニコニコ動画がアニメの売り上げにプラスの貢献をするかには、今のところ懐疑的です。アニメやwebラジオなどの無料配信は、大抵の場合、期間が限定されています。だからこそ販促効果があるわけですが、そのコンテンツがweb上にずっと放置されているとしたら、敢えて画質や音質だけを目当てにDVD・CDを購入するユーザーはかなり減少すると思います。僕自身、アイマスのCDの売り上げの特異性を考える上で、ニコニコ動画の影響力は少なくない……とは思いますが、たとえばマスターアーティストの内容が、音質は悪くてもニコニコに丸々アップされていたら、売り上げは半減しているんじゃないでしょうか。
WebLab.otaさんでは初音ミクのニコニコ市場における売り上げから「ニコニコ市場の売り上げが市場全体に占める売り上げ」というざっくりとした計算を書いていますが、ここでまず気をつけないといけないことは、「ニコニコ動画=ニコニコ市場」ではないということです。認知度という点で、ニコニコ市場の存在を知っている人は、ニコニコ動画視聴者の母数よりも少なくなります。リンクで張られている動画を見るだけの人は、ニコニコ市場にまで興味は払わないでしょう。
そして、ニコニコ市場を利用する習慣のあるユーザー……となると、その数字はさらに大幅に減少するはずです。ある程度webにおける自衛習慣のあるユーザーなら、得体の知れないリンクを踏むことはしません。実際のところ、ニコニコ市場は従来のamazonアフィリエイトと大きな差異はありませんが、いわゆるアフィリエイトにしても、「よくわからない内に、自分の踏んだリンクによって何らかのお金の流れが発生している」ということに対して、違和感や嫌悪感を覚えるユーザーは少なくありません。実際にニコニコ市場に貼り付けられている商品をランダムに10点~20点も見て回れば、市場全体におけるニコニコ市場の影響力が(現時点では)取るに足らないものであることがわかります。
しかし、ニコニコ市場が時として大きな数字を生むことがあります。その典型が、初音ミクのねんどろいどフィギュアです。amazon予約の10000体中2000体がニコニコ市場から……を多いと見るか、少ないと見るかは、ニコニコ市場の影響力に対する捉え方によるでしょう。僕は、異常に多いと感じているので、それを前提に書きます。ニコニコ市場でのミクの売り上げを考える上で外せないのが、2ちゃんねるから派生したネット文化における「祭」の存在です。ネットでその時旬のムーブメントに大勢で参加することは、高揚感と満足感を与えてくれます。ニコニコ動画の弾幕などは、「盛り上がりに参加している高揚感・満足感」を手軽に与えてくれる最たるものと言えるでしょう。
「祭」は大きければ大きいほど、熱ければ熱いほど、参加による充足感を増します。そして、それは自然と「俺の参加してる祭はこんなにすごい」ということを対外的にアピールしたい欲求へとつながります。ニコニコしかり、それ以前の2ちゃんねるでのハピマテ祭などしかり、対象に対して時間・情熱を傾けているコアユーザーほど、自分が参加している「場」そのものの権威を求める(=つまらない行為に時間を浪費している、という見方に対する反発)傾向が強いように思います。
そうした意味で、ニコニコ動画内の初音ミクコミュニティに対して愛着を持っている人ほど、「初音ミクの成功とニコニコは不可分で、ニコニコのおかげで初音ミクは売れた」という結果を示したい人の割合も増えるのではないでしょうか。つまり、ニコニコでみっくみくにされた人は、より積極的にニコニコ市場経由で商品を購入し、購入者数の数字を跳ねあげるモチベーションがあるということです。現時点において、「初音ミク」と「アイドルマスター」はニコニコで流行したオタコンテンツの中でも群を抜いて商業的成功につながっているタイトルであり、これらをサンプルとしてニコニコ市場全体の影響力を語るのは、難しいのではないでしょうか。
もちろん、僕はニコニコ動画に影響力がない、と考えているのではありません。少なくとも、「タイトルそのものの知名度」を広げる広報チャンネルとしてのニコニコ動画の影響力は、非常に大きいと思います。ここで最初に戻りますが、「広報媒体としてのニコニコ動画」と「流通経路としてのニコニコ動画(市場)」はまったく別だということです。僕は、現時点でのニコニコ動画が影響力を大きく持っているのは、基本的には広告・宣伝部門での話だと思います。つまり、ニコニコ動画と対置されるべきなのは他の流通経路ではなく、地上派・CSを含めたテレビ・ラジオなどでの放送・CMや、紙媒体での広告などなのではないかと思うのです。
ただし、僕はニコニコ動画がアニメの売り上げにプラスの貢献をするかには、今のところ懐疑的です。アニメやwebラジオなどの無料配信は、大抵の場合、期間が限定されています。だからこそ販促効果があるわけですが、そのコンテンツがweb上にずっと放置されているとしたら、敢えて画質や音質だけを目当てにDVD・CDを購入するユーザーはかなり減少すると思います。僕自身、アイマスのCDの売り上げの特異性を考える上で、ニコニコ動画の影響力は少なくない……とは思いますが、たとえばマスターアーティストの内容が、音質は悪くてもニコニコに丸々アップされていたら、売り上げは半減しているんじゃないでしょうか。
PR
トラックバック
トラックバックURL: