鏡音リンの双子、レンくんが発表されました。VOCALOID関係に関しては色々と、情報収集欠かさずしていたのですが、この件に関しては不意打ちだったので本当に驚きました。クリプトンGJ!! 初音ミクに続く第2弾としてどの程度伸びるかが注目されている鏡音兄妹ですが、このオプションでかなり勝算が出てきた気がします。
まず、DTMソフトとして見た場合、声質の幅はイメージの再現性において強力な武器になります。単純な性差に留まらず、エディットによって演歌調やチビロボボイスにも対応するようなので、さわっているだけでも楽しくなりそうなのは間違いありません。そして、さらにこの機能を存分にいじってくれそうなのが職人の皆さん。初めて作ってみたよ、系の動画を見れば、VOCALOID(初音ミク)は単体では声が細く、ボーカルが弱く感じます。チューンでのカバーには限界があるので、巧い人は若干音域等をずらした別声をコーラス的に加えることで音に膨らみを与えているようです。しかし、VOCALOIDは完璧なボーカリストすぎるため、同じような入力に対しては当然同じ出力を返すわけです。ですから、重ねることを前提に、差異を出しながらもバランスがとれるチューニングに職人は血涙を流すわけですが…。最初から少年声、少女声としての使い分けが用意されていれば、ベースとなる音声のバリエーションが劇的に増えます。そして元は同じ下田さんの声をベースにしているのだから、ユニゾンを取る上でのバランスが悪いはずがありません。
また、一下田ファンとしても、今回の発表は純粋に嬉しい。VOCALOID02の第2弾が下田さんと聞いたときに思ったのは、「あの七色のマジカルボイスを、1つの楽器にしてしまうのはもったいないな」ということでした。下田さんの演技の幅について知りたい人は、『乙女はお姉さまに恋してる』のアニメ版を見てみてくださいな。女生徒役で下田さんが喋ってますが、まったくわかりません。ほんとに。もっとも僕は、『リリカルなのはA's』の声を最初に聞いたとき「ヴィータって大谷育江さん?」と口走ったぽんこつ駄目絶対音感の持ち主なので、ブロの下田ィスタの皆さんだと、聞いた瞬間わかるのかもしれませんが。
声のバリエーションの多さという意味では、下田さんの物まね達者ぶりを思い出す人が多いと思いますが、彼女の真骨頂は、多彩な声色で“芝居”ができること。声優さんには声色に幅がある人が多くいます。しかし、抑えた声音のクールキャラができる人でも、そのキャラクターの個性を維持したままで、「叫び」の演技ができる人となるとぐっと限られてきます。必殺技を叫ぶシーンだけ地声になってしまう人って、結構多いですもんね。この、「キャラを作ったまま歌う」というワンスキルに限定した場合、下田さんは若手声優界では屈指の実力の持ち主なのでは、と思っています。そんな下田さんをひとつの音色に限定して使うのはもったいないなー、と考えていた僕にとっては、少年下田の声が聞ける……という一点でも「鏡音リン」は買いなのです。
ああ、それにしても。赤羽のシークレットライブの頃、下田さんは「亜美真美は人気投票最下位だけど応援してね」というニュアンスのことを元気に、ちょっと寂しそうに言っていました。それがここまでメジャーな存在になるとは、兄(C)嬉しいです。いや亜美真美じゃないですが。